プレスリリース
アース製薬と大阪大学大学院医学系研究科による共同研究講座「口腔内微生物制御学共同研究講座」を設置 オーラルケアによる新型コロナ感染リスクの軽減を目指す!
アース製薬株式会社(本社:東京都千代田区、社長:川端克宜、以下 「アース製薬」)と国立大学法人大阪大学(総長:西尾 章治郎、以下「大阪大学」)は2022年6月1日、大阪大学大学院医学系研究科に共同研究講座(講座名:口腔内微生物制御学共同研究講座)を設置いたしました。
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アース製薬株式会社 代表取締役社長CEO 川端克宜(写真左)と
大阪大学大学院医学系研究科 感染制御学 教授 忽那賢志(写真右)
1.本講座の目的
新型コロナウイルスが唾液腺で増殖し、唾液を介した飛沫感染の原因になることに着目し、オーラルケア製品に利用されている殺菌成分が口中(唾液中)のウイルスを不活化することで、飛沫感染を予防できるのではないかと推察し、オーラルケア製品の口腔ケアによる感染伝播の制御に着目しました。
これまで、in vitro試験※1において、オーラルケア製品に利用されている殺菌成分の新型コロナウイルスに対する不活化効果は実証されてきていますが、今回、さらに臨床的評価を進めていくため、新型コロナウイルス感染症罹患者の口腔内や唾液中、飛沫中の新型コロナウイルスに対するオーラルケア製品の効果と感染伝播抑制に対する有用性を検証していきます。
2.本講座の設置に至った経緯
新型コロナウイルスにより、わたしたちは人との接触場面においてマスク着用が常に必要な生活を余儀なくされていますが、日常生活において食事や運動の場面などマスクを外さざるを得ない状況は存在し、少しでも感染リスクを減らす対策が必要です。日常生活(マスク非着用時)における感染伝播を抑制し、人々の健康で快適な暮しの実現に貢献するためには、新型コロナウイルス感染症の罹患者を対象とした臨床研究により有用性を検証していくことが必要であると考えました。
アース製薬は、1892年の創業以来、人々の健康と快適な生活の実現に向け、常に「お客様目線」を大切にし、日常生活に寄り添った数々の製品開発を行い、お客様の生活の質向上のためより良い製品開発に取り組み続けています。オーラルケア製品も手掛けており、口腔内細菌に対して殺菌性能に優れたCPC(塩化セチルピリジニウム)を活用した洗口液を展開しています。また、日本発の革新的酸化制御技術である「MA-T」※2の普及と価値向上に向け、「MA-T」※2を活用したオーラルケア製品の開発にも着手しています。
今回、アース製薬が有する社会課題を解決し得る技術や製品と、大阪大学大学院医学系研究科が有する専門知識を持つ人材や医療体制とを連携して迅速に研究を進めるため、共同研究講座を開設して臨床研究を推進し、オーラルケア製品による口腔ケアが感染伝播制御へ有用であることを臨床的に実証できれば、マスクを外した状況での感染リスクの減少に貢献できるものと考えております。
3.共同研究講座の研究課題
この講座で今回臨床研究を進めていくため、新型コロナウイルス感染症に罹患した患者(療養施設内の軽症罹患者)にオーラルケア製品による口腔ケアを実施していただき、新型コロナウイルス感染症罹患者の口腔内や唾液中、飛沫中の新型コロナウイルス量やその経時的変化など、感染伝播抑制に対する有用性を検証していきます。これにより日常生活における食事や運動などの、人との接触場面において新型コロナウイルス感染伝播を抑制する方法を臨床的に実証することを研究課題と考えております。
4.共同研究講座の概要
この講座では大阪大学大学院医学系研究科 感染制御学の忽那賢志教授を中心に研究を進めていきます。
1.講座名 :口腔内微生物制御学共同研究講座
2.設置場所:大阪大学大学院医学系研究科
3.設置期間:2022年6月1日〜2024年5月31日
4.研究体制:忽那 賢志 (研究代表者:大阪大学大学院医学系研究科 感染制御学 教授)
小野塚 大介(大阪大学大学院医学系研究科・共同研究講座特任准教授(常勤))
高寺 智子 (大阪大学大学院医学系研究科・共同研究講座特任研究員(常勤))
浅野 健人 (大阪大学医学部附属病院未来医療開発部・特任准教授(常勤))
山岸 義晃 (大阪大学医学部附属病院 未来医療開発部・特任准教授(常勤))
佐田 竜一 (大阪大学大学院医学系研究科・寄附講座准教授)
松尾 裕央 (大阪大学医学部附属病院 感染制御部・講師)
吉田 寿雄 (大阪大学医学部附属病院 感染制御部・副部長)
濱口 重人 (大阪大学大学院医学系研究科・寄附講座准教授)
山本 舜悟 (大阪大学大学院医学系研究科・寄附講座准教授)
5.研究代表者からのメッセージ(大阪大学大学院医学系研究科 感染制御学 教授 忽那賢志)
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)は1918年のスペインかぜ以来の100年に一度の感染症の流行と表現されることがあります。この感染症によって世界は根本から揺さぶられ、現在もまだ大きな影響を被っています。しかし、ワクチンや治療薬の開発によって、徐々に私たちはCOVID-19以前の生活に戻ろうとしています。唯一、十分に改善されていないのは日常の感染対策、中でも会食などの感染リスクです。私たちは、新型コロナウイルスの感染経路が口腔内の唾液を含む飛沫による感染で広がっていることに着目し、日常生活でのオーラルケアの重要性、食事前や運動前などのマスクを外す際のオーラルケアの方法などを提案したいと考えています。
6.アース製薬代表者からのメッセージ(アース製薬株式会社 代表取締役社長CEO 川端克宜)
アース製薬は、「感染症トータルケアカンパニー」を全面に掲げて活動を進めています。世界は今なお、新型コロナウイルス感染症の脅威にさらされています。事業への取り組み方や働き方が一変するような急激な変化の中にあって、虫媒介感染症を予防する虫ケア用品をコア事業としてきた当社としても、創業以来、事業の根底にある「感染症に立ち向かう」という考え方に立ち返り、より広いフィールドでその使命を果たしていきたいと考えています。さらに口腔環境を起因とした疾病リスクの存在を社会課題として認識し、オーラルケア製品の普及を通じて口腔衛生の重要性を発信し、人々の健康で快適な暮らしの実現の一助にしてまいります。
※1:試験管内で行う試験(in vitroの語源はラテン語で「ガラスの中で」という意味です)
※2:Matching Transformation System(R)の略称で、亜塩素酸イオンから必要な時に必要な量の活性種(水性ラジカル)を発生させることで、微生物制御分野だけなく、農薬・医薬品分野など幅広く応用が期待されている技術です。