• トップ
  • リリース
  • 日建設計と住友林業 木質梁とRC床版(しょうばん)を接合した「合成梁構法」を共同開発 〜中大規模木造建築の普及を後押し〜

プレスリリース

  • 記事画像1
  • 記事画像2
  • 記事画像3
  • 記事画像4

住友林業株式会社

日建設計と住友林業 木質梁とRC床版(しょうばん)を接合した「合成梁構法」を共同開発 〜中大規模木造建築の普及を後押し〜

(Digital PR Platform) 2022年05月27日(金)13時00分配信 Digital PR Platform

 株式会社日建設計(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大松敦)と住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎、本社:東京都千代田区)はのこぎり状に凹凸をつけた木質梁とRC床版(鉄筋コンクリ―トを用いた床版)を組み合わせた合成梁構法を共同開発しました。木とコンクリートの圧縮強度が近い特性を活かし両者を強固に接合しロングスパンを実現する構法です。梁せい(梁の高さ)を抑えられるため建物の階数増加にもつながり、オフィスや学校、病院などの中大規模木造建築の普及を推進します。

■ 木質梁とRC床版を組み合わせ、「のこぎり形接合」による「合成梁構法」を開発
 木材は軽くて強く、身近な建築用材として広く使用されている素材です。中大規模建築を木造化する場合、課題は床に用いると振動が伝わりやすく居住性に影響があること、強度を担保するためには木材の断面を大きくする必要があり空間を圧迫してしまうこと等です。
 これらの課題を解決し、中大規模建築に対応できる汎用性のある木質梁を開発するため、日建設計と住友林業はプロジェクトチームを2016年に立ち上げ綿密な実験・検証を実施。その結果、木質梁そのものに凹凸をつけRC床版とつなげる「のこぎり形接合」による「合成梁構法」が完成しました。

■ 「合成梁構法」特長
 本構法は木とコンクリートの圧縮強度が近いという特性を活かしお互いを強固に接合させる構法です。RC床版が木造梁の剛性を高めるため揺れにくく、鉄骨造とコンクリートスラブによる床と比べても遜色のない揺れにくい床を実現しました。梁の長さは、従来の梁に比べ倍の約12mのロングスパンを実現できるようになり、大きな床面積の中大規模建築にも対応可能になりました。梁せいが非合成梁の場合通常120p程度なのに対し、90cmと約4分の3にでき、高層化の際には階高を抑え階数を増やす増床にもつながります。梁せいの高さを抑えることは耐火被覆面積の削減、建物全体の高さの抑制となり建築費の削減が可能です。集成材、LVL等が使用でき木材の樹種の制約も少なく汎用性が高く、非住宅の中大規模木造建築の促進に寄与します。

 「合成梁構法」は2022年4月に日本ERI株式会社で構造性能評価※1を取得しました。床工法との組合せ自由度が高く、在来型枠工法※2にも活用でき、デッキプレート※3など様々な型枠にも対応しています。

[画像1]https://user.pr-automation.jp/simg/1897/59258/450_211_20220526183015628f48a7ee0b1.png
[画像2]https://user.pr-automation.jp/simg/1897/59258/250_209_20220526183018628f48aa15829.png


 住友林業の「木ぐるみ」シリーズ※4をはじめとする耐火構造の木質梁に本構法を適用することも可能です。「合成梁構法」は木質構造でハードルの高い高層建築はじめ、建物の構造の種別や高さ、階数を問わず活用できます。

[画像3]https://user.pr-automation.jp/simg/1897/59258/450_374_20220526183020628f48acd769f.png
[画像4]https://user.pr-automation.jp/simg/1897/59258/250_423_20220526183024628f48b0358a8.png

■ W350計画に向けた技術開発
 住友林業は1691年の創業から350周年となる2041年に向けて、街を森にかえる環境木化都市の実現をめざす研究技術開発構想である「W350計画」を2018年に発表しました。日建設計はこの計画のモデル建築となる木造超高層ビルを設計しました。この度開発した合成梁構法も中大規模建築に活用できる技術のひとつです。
 日建設計と住友林業は、誰もが使いやすい合成梁構法の普及と共に、2050年の温室効果ガス実質ゼロという目標に向け、木質構造の技術開発と普及を進めていきます。

■ 脱炭素社会の実現へ
 国土の3分の2が森林で覆われている日本は戦後に植林された人工林が伐採期を迎えており、森林資源の循環や国土の保全の観点から国産木材の積極的な活用が求められています。非住宅市場の木造化率は10%弱に留まっており、国産材を含めた木材需要を増やすためには中大規模物件の木造化、非住宅物件の木造化が重要です。2021年10月には建築物一般で木材利用を促進する「改正木材利用促進法」※5が施行されるなど、積極的な木材利用による森林循環の必要性がいっそう高まっています。


※1 構造性能評価:建築基準法で定められていない「特殊な構造方法を用いた建築物や構法」を審査し評価することで、複雑な手続きがなく通常の確認申請で適用可能となる評価制度。
※2 在来型枠工法:合板と桟木等で構成された型枠を用いてRC床版を打設する工法のこと。
※3 デッキプレート:RC床版を構築するための仮設材で、薄い鋼板で構成された型枠のこと。
※4 「木ぐるみFR(R)」および「木ぐるみCT(R)」があります。
 木ぐるみFR(R):1時間耐火構造の大臣認定を取得。難燃処理した木材で荷重支持部を被覆して耐火性能を確保した純木質構造部材で、木を現しにした耐火木造建築を実現。
https://sfc.jp/treecycle/value/kigurumi_fr.html

 木ぐるみCT(R):耐火被覆材に一般流通品であるCLTや不燃材などを使用した耐火部材で、1時間および2時間、3時間耐火構造の大臣認定をそれぞれ取得。(https://sfc.jp/information/news/2021/2021-03-31-02.html

※5 脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律

■ 日建設計について
 日建設計は、建築の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務をうプロフェッショナル・サービス・ファームです。1900年の創業以来120年にわたって、社会の要請とクライアントの皆様の様々なご要望にお応えすべく、顕在的・潜在的な社会課題に対して解決を図る「社会環境デザイン」を通じた価値創造に取り組んできました。これまで本、中国、ASEAN、中東でさまざまなプロジェクトに携わり、近年はインド、欧州にも展開しています。2021年3月には、脱炭素社会への取り組みに向けた「気候非常事態宣言」を発出しました。
URL:https://www.nikken.jp/ja/

■ 住友林業について
 住友林業は国内外で森林経営から木材建材の調達・製造、木造建築、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業を展開しています。本年2月に、SDGsの目標年である2030年を見据え、脱炭素社会に向けてあるべき姿を事業構想に組み込んだ長期ビジョン「Mission TREEING 2030」を発表しました。木を伐採・加工、利用、再利用、植林という住友林業の「ウッドサイクル」を回すことで森林のCO2吸収量を増やし、木材の活用で炭素を長く固定し続けます。世界の脱炭素シフトへのパートナーとして当社グループ独自の「ウッドソリューション」を提供し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
URL:https://sfc.jp/information/ir/settlement/2021-4q_2_chuki.pdf


本件に関するお問合わせ先
■ 本件に関するお問い合わせ先
株式会社日建設計 広報室 Tel. 03-5226-3030(代表) e-mail:webmaster@nikken.jp
住友林業株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 Tel. 03-3214-2270 e-mail:ccom@sfc.co.jp

関連リンク
日建設計について
https://www.nikken.jp/ja/
住友林業について
https://sfc.jp/information/ir/settlement/2021-4q_2_chuki.pdf

このページの先頭へ戻る