プレスリリース
昭和女子大学(東京都世田谷区/学長:小原奈津子)食健康科学部管理栄養学科の林真理子准教授らによる研究グループはこのほど、「神経細胞によるアストロサイトの成熟誘導」についての研究成果を、分子に関わる生物学研究をカバーする査読付きのオープンアクセス科学ジャーナル「International Journal of Molecular Sciences」で発表しました。
この研究は、神経細胞をサポートする細胞「アストロサイト」が重なりなく空間を敷き詰めるように突起を伸ばす様子を明らかにしたもので、健康な神経の働きの維持を目指す今後の研究に繋がります。この研究成果は、東京大学、国立医薬品食品衛生研究所との共同研究です。
【研究の背景】
神経細胞は大量のエネルギーを必要としますが、栄養を運ぶ血管に接していません。アストロサイトは神経細胞と血管の両方にアプローチし、栄養を運ぶほか、伝達物質を回収したり、不要物を除いたりしています。アストロサイトは神経細胞を確実にサポートするため、細かい突起をもち、タイルのように脳に敷き詰めています。しかし、どのように突起が伸びていくのかについてはわかっていませんでした。
【研究概要・結果・展望】
ラット脳から調製した神経細胞とアストロサイトを培養して突起が伸びる様子を観察しました。アストロサイトが枝分かれしながら他のアストロサイトが存在しない領域に突起を伸ばしていくことで、漏れ重なりなく敷き詰めていく様子を明らかにできました。
この研究で、培養したアストロサイトを使って脳でみられるような複雑な形態を再現できたことは、神経細胞とアストロサイトがどのように連絡を取り合っているかを解き明かす手がかりになります。そして、健康な神経の働きを維持するためにはアストロサイトの働きをどう支えれば良いかを調べるのに利用できます。
【論文情報】
「Neurons Induce Tiled Astrocytes with Branches That Avoid Each Other」
林真理子(昭和女子大学 食健康科学部 管理栄養学科 准教授)・佐藤薫(国立医薬品食品衛生研究所薬理部 室長)・関野祐子(東京大学大学院薬学系研究科ヒト細胞創薬学寄付講座 特任教授)
・掲載紙:Int. J. Mol. Sci. 2022, 23, 4161.
【参考リンク】
https://www.mdpi.com/1422-0067/23/8/4161
▼本件に関する問い合わせ先
昭和女子大学 広報部
TEL:03-3411-6597
メール:kouhou@swu.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/