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1930年に旧甲子園ホテルとして竣工した阪神間モダニズムを代表する名建築・武庫川女子大学の甲子園会館で、竣工以来初の瓦の全面葺き替えが始まりました。

(Digital PR Platform) 2022年02月10日(木)08時05分配信 Digital PR Platform



旧甲子園ホテルはフランク・ロイド・ライトの愛弟子である建築家・遠藤新が設計。東の帝国ホテルと並び称される名建築であり、華やかな社交場でしたが、戦争のためわずか14年で閉業しました。紆余曲折を経て1965年に武庫川女子大学のキャンパスとなり、現在は建築学部の学び舎になっています。阪神・淡路大震災にも耐えた堅牢な建物ながら、近年は外装部の傷みが目立つようになり、2030年の100周年を前に4か年計画で大規模改修に乗り出しました。瓦の全面葺き替えは竣工以来初。名建築を次代に受け継ぐ大プロジェクトのスタートです。




旧甲子園ホテルのオリジナル瓦は和風の緑釉 (りょくゆう)瓦 で、周囲の松林に溶け込む「織部 (おりべ) 色 」(暗緑色)が特徴です。瓦の一辺に尻剣 (しりけん)と呼ばれる出っ張りがあり、この出っ張りを桟 (さん)木にひっかけて釘で固定しています。桟木の下には防水シートが敷かれていますが、近年の暴風雨により、瓦の一部がひび割れたり、持ち上がったりして雨漏り被害の修復に追われるようになっていました。 2007年に瓦約6000枚を新調して一部を葺き替えましたが、「経年変化した日華石の壁となじまず、名建築の雰囲気を損ねかねない」として中断。その後、瓦業者の廃業等で同じ瓦を造ることが難しくなったこともあり、とん挫していました。


旧甲子園ホテルの竣工から100年となる2030年を前に「次の100年に受け継ぐ修復を」と、大改修を決定。屋根は名建築の趣を壊さず強度を高めるため、状態の良いオリジナルの瓦約1万枚を再利用して新しい瓦と市松模様に組み合わせる方法を採用することで、阪神間モダニズムを彩った織部色を再現します。

強度を調べるため、建築学部の教員がオリジナル瓦を垂直に引っ張ってどの程度の風圧に耐えられるかや、上から力を加えてどの程度の荷重に耐えうるかの実験を繰り返し、安全性を確認しました。現在の防災瓦に合わせ、オリジナル瓦の裏側の一角にステンレス製の板を取り付けてツメを作り、斜め両隣の瓦の角と組んで、吹き上がり防止の工夫をしました。


2022年1月から、保管していた約6000枚を使用し、まず東棟の屋根から葺き替えに着手しました。平瓦のみならず、隅棟瓦や軒瓦、棟飾りなどもいったん解体して撤去し、新しい防水シートと縦横の桟木を組んでから、瓦を葺く作業に入ります。2023年中に約25000枚の全瓦を葺き替える予定です。


武庫川女子大学では2006年に女子大初の建築学科を開設。2020年に建築学部となり、建築学科と景観建築学科の2学科が甲子園会館のある上甲子園キャンパスで学んでいます。学生にとって甲子園会館はまさに生きた教材。建築学部の岡崎甚幸学部長は「甲子園会館の屋根瓦は学生の実習でも活用しており、葺き替えの工程を間近で見ることができるまたとない機会。名建築を継承するための教員の研究にもつながります」と話しています。 すべての大規模改修が完了するのは2025年の予定です。

▼本件に関する問い合わせ先
武庫川女子大学広報室
住所:兵庫県西宮市池開町6−46
TEL:0798453533
メール:kohos@mukogawa-u.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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