プレスリリース
〜ウイルス感染に伴う炎症や疲労を改善する可能性〜
タウリンは炎症に伴う免疫細胞へのダメージを軽減する
〜ウイルス感染に伴う炎症や疲労を改善する可能性〜
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大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、タウリンが免疫細胞において、ウイルス感染に関連する炎症性サイトカイン※1の遺伝子発現の増加を抑制し、細胞内エネルギー(ATP※2)量の低下を軽減することを明らかにしました。本発見から、タウリンがウイルス感染に伴う炎症や長引く疲労を抑えることが期待されます。
本研究内容は2024年11月に開催された第47回日本分子生物学会年会にて発表いたしました。
■背景
近年、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスの流行をうけて、免疫や感染対策への関心が高まっています。ウイルス感染症は発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状を引き起こし、高齢者や免疫が低下している方では肺炎などの、重症化につながるケースも少なくありません。また、解熱後も全身の疲労や倦怠感が続く場合もあります。これらの重症化や解熱後の疲労は、炎症性サイトカインの過剰な分泌や細胞内ATP量の低下と深く関係しております。
当社は長年にわたり、タウリンの研究を行ってまいりました。タウリンは疲労回復作用や抗老化作用など、様々な効果を持つことが報告されています。しかし、ウイルス感染に伴う炎症に対するタウリンの作用は、ほとんど明らかになっていません。
そこで、今回の研究では、免疫細胞においてウイルス感染に関連する炎症性サイトカインの遺伝子発現と細胞内ATP量に対するタウリンの影響を評価しました。
※1 炎症性サイトカイン:ウイルス感染時に、主に免疫系細胞から分泌され、炎症を引き起こすタンパク質
※2 ATP:全ての細胞が活動する上で必要となる物質 ATP: Adenosine TriPhosphate
■研究成果
免疫細胞であるマクロファージはウイルス感染時に、炎症性サイトカインを分泌し、ウイルス除去を促します。一方で、炎症性サイトカインは細胞内ATP量の低下と関係するなど、悪影響を及ぼす場合もあります。特に、過剰な炎症性サイトカインの分泌はサイトカインストームと呼ばれ、強い炎症を引き起こします。本研究ではウイルスを認識するToll様受容体7(以下、TLR7)を活性化させることでウイルス感染に伴う炎症を模倣し、マクロファージの炎症性サイトカインの遺伝子発現と細胞内ATP量に対するタウリンの作用を解析しました。
【研究成果1:タウリンはマクロファージの炎症性サイトカインの遺伝子発現増加を抑制する】
ウイルス感染に関連する炎症性サイトカインのうち、IL1β、IL6、TNFαの3つに着目し、遺伝子発現量にタウリンが与える効果について評価しました。その結果、TLR7活性化によるIL1β、IL6、TNFαの遺伝子発現量の増加は、タウリンによって抑制されました(図1)。
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図1 タウリンがTLR7活性化マクロファージの炎症性サイトカインの遺伝子発現に与える影響
(a)IL1β発現量(b)IL6発現量(c)TNFα発現量
平均値± 標準誤差,*p<0.05,**p<0.01,Dunnett検定,N.D. : Not Determined,n=6
【研究成果2:タウリンはマクロファージ細胞内ATP量の低下を軽減する】
ウイルス感染時の重症化に関連する細胞内ATP量にタウリンが与える影響を評価しました。
その結果、TLR7活性化による細胞内ATP量の低下は、タウリンによって軽減されました(図2)。
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図2 タウリンがTLR7活性化マクロファージの細胞内ATP量に与える影響
平均値± 標準誤差, ***p<0.001,Studentのt検定,###p<0.001,Dunnett検定,n=6
【研究成果のまとめ】
本研究では、ウイルスを認識するTLR7活性化によってウイルス感染を模倣し、炎症性サイトカインの発現異常と、細胞内ATP量の低下をタウリンが抑制することを明らかにしました。この発見は、タウリンがウイルス感染時の炎症や長引く疲労に効果を発揮する可能性を示唆しています。
当社はこれまで、タウリンの健康への効果について様々な角度から研究を進めてきました。今後もタウリン研究を進め、新しい知見を世の中にフィードバックしていくことで、生活者の皆さまの健康で充実した生活をサポートしてまいります。
本件に関するお問合わせ先
大正製薬株式会社 メディア推進部 03-3985-1153
梶田 寛文 h-kajita@taisho.co.jp