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プレスリリース
【矢野経済研究所プレスリリース】リチウムイオン電池劣化診断機器・サービス市場に関する調査を実施(2024年)〜リチウムイオン電池劣化診断機器・サービス市場は2035年に19億7千万円規模を予測〜
株式会社矢野経済研究所(代表取締役:水越孝)は、国内のリチウムイオン電池劣化診断機器・サービス市場を調査し、用途別動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
リチウムイオン電池(LiB)は使用に伴い経年劣化し、電池残容量が低下する。カーボンニュートラル実現に向けた脱炭素への流れを受け、電気自動車(EV)を始めとする電動車や定置用蓄電池(ESS)の市場は成長基調にある。
適切な診断時間や充電コストなど、効率的なLiB劣化診断機器の実用化には、中古EVの流通活性化やリユースLiB活用を含むESSの最適な運用を実施する上で注目度が高まっており、LiB劣化診断機器の開発やサービス展開に向けた取り組みが活発化している。
2.注目トピック〜EV用LiB向け劣化診断のニーズとオートリース業界に向けた市場展望〜
オートリース業界では、法人ユーザーが脱炭素に向けた取り組みの1つとして進める社用車のEVシフトに対応する動きが見られる。そこで、企業のEVリース車の導入拡大に向けて、課題の1つであるEV残価価値設定のソリューションとして、LiB劣化診断機器・サービス導入の検討が進められている。
現状は、環境意識の高い大手企業による社用車としてのEV導入がメインになっている。大手企業以外へのEV導入拡大、並びにオートリース会社各社がEV提案を推進する事による今後のリース価格競争の激化を見据えると、EV残価価値設定問題の解決、価格競争力向上を実現する取り組みが、同業界において今後重要なポイントになると考えられる。
LiB劣化診断技術を導入することで、オートリース各社はEVの残価価値設定に対し、一定の指標を得ることが可能になり、同指標による自社のアセットとしてのEV価値の最大化や残価分を踏まえたリース料金の引き下げ実現等に繋がると想定する。
3.将来展望
日本国内におけるLiB劣化診断機器・サービス市場規模(事業者売上高ベース)は、2035年には19億7,700万円に拡大すると予測する。
LiB劣化診断機器・サービス市場は足元において黎明期の状況にあるが、今後、EV向けでの立ち上がりが先行し、次いでESS向けで展開される見通しである。
ESS向けはLCA(ライフサイクルアセスメント)の観点を含め、リユースLiBの活用が注目されており、LiB劣化診断技術との組み合わせによる最適運用、アセット最大化の実現が期待される。但し、足元における日本国内のEV市場規模、並びに使用済み車載用LiBの回収状況を踏まえると、ESS用LiB向け市場の立ち上がり時期はEV用LiB向け劣化診断に次ぐ形になると予測する。
また、その他民生小型機器用LiB劣化診断に関しては、2024年時点で先行して事業化事例が見られ、今後もLiB搭載機器の増加に伴い需要拡大は見込めるものの、金額ベースの市場規模で見ると、上記2つの用途に比べて小規模に留まると予測する。
なお、LiB劣化診断は電池の中の安全状態を見る事にも繋がる側面を有する。車載用LiB市場、ESS用LiB市場の成長の一方で、近年、海外をはじめLiB発火事故の事例が増加している状況を踏まえると、今後、リユースLiB向けを含む安全性診断の重要性は増す流れにあると考える。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3618
調査要綱
1.調査期間: 2024年6月〜8月
2.調査対象: リチウムイオン電池劣化診断技術を開発するセルメーカー、充放電検査装置メーカー、計測機器メーカー、リユース企業、研究開発受託企業など
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2024年08月30日
お問い合わせ
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株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
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