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プレスリリース
【矢野経済研究所プレスリリース】障がい者自立支援サービス市場に関する調査を実施(2024年)〜障がい者自立支援サービスの2023年度市場規模は1兆6,192億円、調査対象5分野すべてが市場拡大〜
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の障がい者自立支援サービス市場について調査を実施し、分野別の市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
2023年度の障がい者自立支援サービス市場規模(「就労移行支援・就労定着支援」「就労継続支援A型・B型」「人材紹介・採用代行サービス」「農園・サテライトオフィス型雇用支援サービス」「児童発達支援・放課後等デイサービス」の5分野計)は、事業者売上高ベースで前年度比10.2%増の1兆6,192億円となった。なお、調査対象5分野のうち、障がい当事者向けのサービスである「就労移行支援・就労定着支援」、「就労継続支援A型・B型」、「児童発達支援・放課後等デイサービス」は福祉サービスであり、これら3分野の市場規模の9割以上は公費負担によるものとなっている。
調査対象5分野それぞれにおいて課題がみられてはいるものの、5分野すべての市場規模は拡大基調にあり、特に農園・サテライトオフィス型雇用支援サービスは高い伸び率で推移している。段階的に引き上げられる障がい者の法定雇用率(直近では2024年4月より民間企業の法定雇用率は2.5%に引き上げられており、従業員数40人以上の企業では従業員数規模に応じて障がい者を1名以上雇用する義務がある)を背景に障がい者雇用を支援するサービスの市場は拡大を続けている。また、「児童発達支援・放課後等デイサービス」は発達障がいのある子どもの増加(※1)と事業所数の増加によって利用者数を伸ばしている。(※2)
※1 文部科学省「有識者会議参考資料」
※2 厚生労働省「社会福祉施設等調査」
2.注目トピック〜就労移行支援は民間事業者による施設開設の増加により競合状況が激化
就労移行支援は、大都市圏を中心に民間事業者による事業所の開設が集中した結果、集客に苦戦する事業所が生じるなど競合状況の激化がみられている。また、人件費や賃料の上昇、光熱費の高騰など諸経費の上昇も就労移行支援事業所の運営面での大きな課題となっている。
このような環境下、就労移行支援事業所を運営する民間事業者は、自社の強みを活かした集客強化に努めるとともに、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう身体機能又は生活能力の向上のために必要な訓練を行う、自立訓練(生活訓練)を拡大することによって、これまで就労移行支援の利用機会に至らなかった層の獲得などを追求している。
3.将来展望
2024年度の障がい者自立支援サービス市場規模(5分野計)は、事業者売上高ベースで前年度比9.5%増の1兆7,732億円を予測する。当年度は2024年4月からの法定雇用率の引き上げによって障がい者の雇用を支援するサービスは引き続き高い需要を保ちつつ推移するとともに、「児童発達支援・放課後等デイサービス」は利用者数が増加で推移するものと考えることから当該市場の引き続きの拡大を予測する。
なお、法定雇用率の引き上げもあって障がい者の雇用率、雇用者数は上昇傾向にはあるが、法定雇用率を達成できていない企業も依然として半数近くあり(※3)、段階的に引き上げられる法定雇用率に対して多くの企業は対応ができていない状況にある。障がい者雇用の裾野拡大のためには障がい者雇用に対する理解を社会に広く浸透させていく必要があり、この取り組みの重要度がますます高まる環境にある。また、「児童発達支援・放課後等デイサービス」は、民間事業者による事業所の開設が急拡大しているものの、少子化の進行による対象人口の減少は不可避であり、今後においては、サービスの差別化要素が少ない事業所は淘汰が進むと予測する。
※3 厚生労働省 「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3577
調査要綱
1.調査期間: 2024年4月〜6月
2.調査対象: 障がい者自立支援サービス提供事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・メールによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2024年6月26日
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株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
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