プレスリリース
公益財団法人大分県芸術文化スポーツ振興財団が運営する大分県立美術館では、2024年2月9日(金)〜3月26日(火)に、「畠山記念館名品展」を開催します。
畠山記念館は、昭和39年(1964)、株式会社荏原製作所の創業者である畠山一清(はたけやま・いっせい、1881-1971)によって東京港区・白金台の閑静な地に開館しました。事業のかたわら、即翁(そくおう)と号して能楽と茶の湯を嗜む数寄者(すきしゃ)でもあった畠山一清は、長年にわたり熱心に美術品の蒐集に努めました。
そのコレクションは、茶道具を中心とする日本、中国、朝鮮の古美術品で、国宝6件、重要文化財 33 件を含む約 1300 件に及びます。即翁の愛藏印「與衆愛玩(よしゅう・あいがん)」の言葉には、「蒐集品を独占するのではなく、多くの人と共に楽しもう」という想いが込められています。
本展覧会は、施設改築工事のため休館している畠山記念館の「與衆愛玩」という即翁の理想を分かち合うために、九州の地で初めて開催されます。
本展には、国宝2件、重要文化財8件、重要美術品3件を含めた約70件が公開されます。厳選された約70件の名品を通して、即翁の審美眼と美意識にふれ、彼が愛した茶の湯をはじめとした日本文化を末永く伝えていきたいという思いを共有する機会となれば幸いです。
開催概要
展覧会名 畠山記念館名品展 https://www.opam.jp/exhibitions/detail/917
会 期 2024年2月9日(金)〜3月26日(火) 休展日:2024年3月4日(月)
時 間 10:00〜19:00 ※金曜日・土曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
会 場 大分県立美術館 1階 展示室A
観覧料 一般 1,300(1,100)円/高校・大学生 1,100(900)円
・( )内は前売および有料入場20名以上の団体料金。
・中学生以下は無料。
・大分県芸術文化友の会 びびKOTOBUKI無料(同伴者1名半額)、TAKASAGO無料、UME団体料金。
・身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳をご提示の方とその付添者(1名)は無料。
・学生の方は入場の際、学生証をご提示ください。
・「畠山記念館名品展」の会期中に限り、本展の半券提示でコレクション展を無料でご覧いただけます。
チケット(前売券・当日券)販売場所
大分県立美術館、iichiko総合文化センター 1F インフォメーション、大分合同新聞社本社・プレスセンター、TOSハウジングメッセ、トキハ会館 3F プレイガイド、ヱトウ南海堂、大分市府内五番街商店街振興組合、NPO法人大分県芸振、大分県職員消費生活協同組合、ローソンチケット(Lコード:83916)、チケットぴあ(Pコード:686-493)
主 催 公益財団法人大分県芸術文化スポーツ振興財団・大分県立美術館、日本経済新聞社、
公益財団法人荏原畠山記念文化財団 畠山記念館
共 催 大分合同新聞社、OBS大分放送
後 援 大分県、大分県教育委員会、NPO法人大分県芸振、西日本新聞社、朝日新聞大分総局、毎日新聞社、大分経済新聞、J:COM大分ケーブルテレコム、エフエム大分
学術協力 京都国立博物館
開会式およびメディア向け内覧会のお知らせ
2024年2月9日(金) 開会式 9:15〜9:45 内覧会 9:45〜10:30
ご参加いただける方はお名前、ご所属、参加人数、電話番号、E-mailをご記入の上、E-mailにて info@opam.jpまでお申込みください。
「畠山記念館名品展」のみどころ
《伊賀花入 銘 からたち》 桃山時代(16世紀)重要文化財
破格の造形美!即翁が愛蔵した茶道具!
桃山時代(16世紀後半)に伊賀(現・三重県伊賀市)で焼かれた茶陶。大名茶人・古田織部(ふるた・おりべ)の指導で、破格の造形美による茶陶が生み出された。本作は、焼成時に口が割れ、その破片が頸(くび)や肩に付着し、それが鋭いトゲのようであることから、トゲを持つ花の“からたち”にちなんで銘が付けられた。
即翁(そくおう)の地元・金沢の諸家に伝わってきた茶道具として即翁が特に愛蔵した花入である。
藤原佐理《離洛帖》 平安時代 正暦2年(991)国宝 展示期間2月9日〜3月3日
変化に富んだみごとな筆致!書の国宝!
藤原佐理(ふじわら・すけまさ)は、小野道風、藤原行成とともに「三蹟(さんせき)」と呼ばれる平安時代の能書家、公卿。本作は、佐理が太宰府の次官に任ぜられて九州に下向する途中、長門国赤間関(現・下関市)で、摂政の藤原道隆に赴任の挨拶を怠ったため、その詫びの取りなしを縁者に宛てて依頼した詫び状。佐理の筆力の強さ、歯切れのよい筆致が遺憾なく発揮されている。
「洛」とは京のことで、京から九州に赴任するため「洛を離れる=離洛」という語が最初にあることから「離洛帖(りらくじょう)」と呼ばれる。
《井戸茶碗 銘 信長》 朝鮮半島・朝鮮時代(16世紀)重要美術品
織田信長が所持した井戸茶碗!大ぶりの名碗!
日本の茶の湯の「わび」「さび」の美意識に適うものとして、朝鮮半島で焼かれた日常雑器が取り入れられた。井戸茶碗(いどちゃわん)はその代表的な朝鮮産の茶碗。織田信長が所持したことからこの銘が付けられている。
大ぶりで見込みが深く、枇杷(びわ)色の釉調や、高台周りの梅花皮(かいらぎ)と呼ばれる白い釉薬のちぢれた景色など、井戸茶碗の見どころを備えている。
また、この茶碗は即翁から酒井億尋(荏原製作所二代目社長)の還暦を祝って、億尋とその妻で、即翁の長女・睦の二人に贈られたもので、後に畠山記念館に寄贈された。
千利休 《竹茶杓 銘 落曇》 桃山時代(16世紀)
豊臣秀吉ゆかり、数奇な運命をたどった利休の茶杓!
千利休が作った茶杓(ちゃしゃく)。筒書によると、豊臣秀吉がこの茶杓を愛するがあまり、櫂先(かいさき:茶杓の先端の部分)を直させたが、失敗したため捨てようとしたところ、徳雲軒なる医者が拝領し、打曇という銘の付いた茶入とともに手元に置くことになったことから「落曇(おちぐもり)」という銘が付いたという。
秀吉のお気に入りの茶杓でありながら、数奇な運命をたどった茶杓である。
《志野水指 銘 古岸》 桃山時代(16〜17世紀) 重要文化財
力強い作ぶり!伸びやかな絵付け!屈指の水指!
志野焼は、美濃(現・岐阜県)にて桃山時代に焼かれた白い釉薬を施した焼きもの。本作は、水墨画を思わせる伸びやかな芦(あし)の絵に、よく溶けた長石釉(ちょうせきゆう)の白い色調、また釉薬のかかりの少ない最上部の口縁(こうえん)などには、火色と呼ばれる赤みが生じ、見事な調和を見せている。力強い大胆な造形が見どころ。描かれた様子が、冬枯れの岸辺を思わせることから「古岸」という銘が付けられたのであろう。
即翁が深い影響を受けた茶人に益田鈍翁がおり、本作はその弟・益田克徳が愛蔵した名品であったが、即翁へと伝わった。
《四季花木図屏風》(右隻)渡辺始興 江戸時代(18世紀)重要美術品 展示期間2月9日〜3月3日
45種にも及ぶ草花を描く!華麗な琳派の屏風!
渡辺始興(わたなべ・しこう)は、京都の絵師で、晩年の尾形光琳(おがた・こうりん)に師事したと考えられている。本屏風は琳派(りんぱ)が得意とした草花図の流れを汲む。ただ本作には非常に多くの種類の草花が描かれ、それらは45種余りにも及ぶ。鬱金(ウコン)や煙草の花など、珍しい植物も描かれており、本草学的な関心が窺える。画面構成や色彩のバランスも見事な、渡辺始興の代表作である。
即翁の蒐集品には、琳派の名品が数多く含まれる。それらは生糸貿易で財を成した実業家で数寄者であった原三溪(はら・さんけい)の旧蔵品であることが多く、本作も三溪旧蔵品である。
《青花龍濤文天球瓶》中国・明時代(15世紀) 重要文化財
コバルトブルーの美しさ!中国陶磁の粋美!
白地をいかし、コバルトの青と陰刻により、逆巻く波濤の中を天に向かって白龍が飛んでいく様子を見事に表現している。天球瓶(てんきゅうへい)とは豊かに膨らみを見せる胴にすらりと首が伸びる瓶のことで、天体(天球)の様子を表したものに似ていることからこの名が付いたといわれている。
晩年の即翁は、記念館開設を決意した後、より幅広い世代にも興味をもって集まってもらえるようにと考え、茶道具以外の名品も蒐集していった。
関連イベント
※お申込み:当館HPの申込みフォームからお申込みください。定員に達し次第、締切りとさせていただきます。
講演会 I
演題「畠山即翁と「與衆愛玩」の想い
ー茶の湯と琳派、名品蒐集にまつわるエトセトラ」
講師:水田至摩子(畠山記念館学芸課長)
日時:2024年2月10日(土)13:30〜15:00
場所:2F研修室
定員:80名(要事前申込、要展覧会観覧券)
講演会 II
演題「へぇーそうなんだ講座 琳派ってなに?」
講師:田沢裕賀(大分県立美術館館長)
日時:2024年2月18日(日)14:00〜15:30
場所:2F研修室
定員:80名(要事前申込)
講演会 III
演題「畠山即翁と数寄者との交友
―益田鈍翁、松永耳庵、小林逸翁を中心に―」
講師:降矢哲男(京都国立博物館調査・国際連携室長)
日時:2024年3月16日(土)13:30〜15:00
場所:2F研修室
定員:80名(要事前申込、要展覧会観覧券)
スライド・トーク
演題「ここが面白い!古美術の楽しみ」
講師:宗像晋作、柴崎香那(当館学芸員)
日時:2024年2月23日(金・祝)13:30〜15:00
場所:2F研修室
定員:80名(要事前申込)
ギャラリートーク
担当学芸員が展覧会をご案内します。
日時:2024年2月11日(日・祝)、17日(土)、25日(日)、3月2日(土)、9日(土)、10日(日)、23日(土)、24日(日)いずれも各日14:00〜15:00
案内:担当学芸員 場所:3F展示室B 申込:不要(要展覧会観覧券)
2F カフェ シャリテ
「畠山記念館名品展」開催記念メニュー
茶葉と小イカのペペロンチーノ
営業時間:11:00 - 17:00(ランチタイム 11:00 - 14:00)
定休日:不定休(原則年中無休、臨時休業日あり)
Tel:097-578-7788 Fax:097-578-7787 E-mail:charite@aria.ocn.ne.jp