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プレスリリース
【矢野経済研究所プレスリリース】国内企業のIT投資に関する調査を実施(2023年)〜2022年度の国内民間企業のIT市場規模は前年度比4.5%増の14兆1,600億円、2023年度は同5.4%増予測〜
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2023年度の国内民間企業のIT投資実態と今後の動向について調査を実施した。
1. 市場概況
2022年度の国内民間IT市場(ハード・ソフト・サービス含む、公共分野や民間小規模事業者除く)は、IT投資額ベースで前年度比4.5%増の14兆1,600億円と推計した。既存情報システムやサーバーのリプレイスならびにオンプレミスからクラウドへの移行、また、電子帳簿保存法やインボイス制度など法改正へのシステム対応、各種帳票の電子化や未導入業務へのシステム新規導入等のデジタル化の推進などから、IT投資額が拡大した。
2.注目トピック〜より「積極的」寄りになるDX
本調査では国内の民間企業等に対し、IT投資に関する法人アンケート調査を毎年実施しており、2023年調査では538社から回答を得た。アンケートでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)へ取り組む意欲を、「革新的な取り組み(ITで新たなビジネスにチャレンジするなど)に対する意欲」と、「IT刷新(基幹システムをSaaSにする、業務をクラウド中心にリニューアルするなど)に対する意欲」の2つに分類した。
設問では、革新的な取り組みへの意欲とIT刷新に対する意欲、それぞれについての取り組み状況を、8段階の数値(「8」が積極的、「5」が普通、「2」が消極的、初めて聞いたを「1」としている)で尋ね、回答を得た。そのため、数値が大きいほど、革新的な取り組みやIT刷新に対して積極的であることを示している。
国内の民間企業等538社のうち、回答を得た535社の平均値は、それぞれ革新的な取り組みが4.60、IT刷新が4.94であった。どちらも「普通」に近い値を示している。
類似の質問を2019年、2022年の調査で行っており、2019年調査では取り組み状況ではなく、取り組み意欲を8段階の数値で尋ねている。純粋に連続して比較できるものではないが、IT刷新は3.78(2019)→4.57(2022)→4.94(2023)へと、革新的取り組みは3.37(2019)→4.39(2022)→4.60(2023)へと、いずれも「積極的」の方向に上昇しており、調査結果からは民間企業のDXは確実に進んでいると言える。
最近は、生成AIへの注目が急速に高まったこともあり、DX関連の取り組みの成果が上手く出ないことで、DX疲れを口にする民間企業も少なくない。DX離れやDXブーム終焉というような声も聞こえ始めている。
しかし、変化の速い経営環境に適応するためには、デジタル情報を活用して、顧客に価値を提供し続けることは必要である。民間企業もその点については認識しており、DXへの投資は決して緩んでいないと考える。
3.将来展望
国内民間企業のIT市場規模は、今後、2023年度が前年度比5.4%増の14兆9,300億円、2024年度が同2.6%増の15兆3,200億円、2025年度は同1.4%増の15兆5,300億円になると予測する。
2023年度は、半導体不足で停滞していたIT投資案件の再開や、クラウド、セキュリティ関連への投資の増加、大手企業を中心としたデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの創造、経営環境の改善を目的としたデジタルシフト案件の増加、コロナ禍の鎮静化に伴うサービス業(特に飲食業や宿泊業など)のIT支出再開などといったことから、IT市場は前年度比5.4%増と前年度以上増加すると予測する。
2024年度以降は、基幹システムやサーバー、PCのリプレイスや、システムのクラウド移行の他、大手企業を中心に実践的なDXへの投資が進むと考える。一方で、前向きなIT投資が続く中、懸念されるのはIT人材の不足である。ITベンダの中にも既に人材がひっ迫した状況にあるところも見受けられ、DXを進めたくても進められないといった状況になる可能性がある。ユーザ企業においては、社内におけるIT人材の育成にも注力していく必要がある。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3412
調査要綱
1.調査期間:2023年6月〜10月
2.調査対象:国内の民間企業等
3.調査方法:民間企業等に対するアンケート調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2023年10月27日
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