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プレスリリース
【矢野経済研究所プレスリリース】次世代型養殖ビジネスに関する調査を実施(2023年)〜22022年度の市場規模(5分野計)は473億5,800万円、低魚粉飼料普及や陸上養殖施設増加に伴い、市場は拡大〜
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内における次世代型養殖技術を調査し、市場規模、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。
1. 市場概況
人口増加などにより、世界の食料事情は不安定さを増している。農林水産省「食糧需給表」によると、日本人一人あたりの魚介類供給量は減少しているのに対し、世界的には水産物の需要が拡大している。
こうした中、国内外において、国内の養殖水産物が評価されており、安定した供給が求められている。本調査では、次世代の養殖技術として、ICT技術を活用した自動給餌機システムや沖合養殖システム等の「スマート水産」や、陸上で養殖する「陸上養殖システム」、魚から排出される排泄物等を使用して養殖と植物の栽培を同時に行う「アクアポニックス」、魚粉量を少なくした「低魚粉飼料」、昆虫を原料とした「昆虫タンパク質飼料」の5つの養殖技術を対象とした。
2022年度の次世代型養殖技術の国内市場規模(5分野計)は、メーカー出荷金額ベースで473億5,800万円と推計した。内訳をみると、低魚粉飼料が380億5,600万円、陸上養殖システム(掛け流し方式+半閉鎖・閉鎖循環式)が83億1,700万円、スマート水産(自動給餌機システム+沖合養殖システム)は5億2,200万円、アクアポニックスが4億5,000万円、昆虫タンパク質飼料が1,300万円であった。
2.注目トピック〜相次ぐ陸上養殖プラントの建設、大規模サーモン養殖施設には大手商社や外資系企業の参入が目立つ
陸上養殖システムには、養殖で使用する海水などを汲み上げて、水を循環させずに掛け流す「掛け流し方式」、使用する水を浄化し循環して使用する「閉鎖循環式」、一部の水を循環し一部の水を排出する「半閉鎖循環式」が存在する。
2021年以降、半閉鎖・閉鎖循環式でサーモンの年間生産量が500t以上の大規模陸上養殖施設の建設が開始されている。
2022年にはノルウェーに本社があるProximar Seafoodの子会社のProximarが静岡県小山町で、NECネッツエスアイの子会社のNESIC陸上養殖が山梨県西桂町で大規模陸上養殖施設を建設した。また、2023年以降はアラブ首長国連邦に本社があるPure salmonグループのソウルオブジャパンが三重県津市で、三井物産などが出資するFRDジャパンが千葉県富津市で、三菱商事とマルハニチロが出資するアトランドが富山県入善町で、放送・通信事業者のRKB毎日ホールディングスの子会社の宗像陸上養殖が福岡県宗像市でそれぞれ陸上養殖施設を建設する。
その他電力会社などが出資する企業もサーモンの陸上養殖施設の建設・運営を行うほか、サバやスジアオノリなどのサーモン以外の水産物でも陸上養殖施設の建設が相次いでいる。今後は、陸上養殖施設の大規模化、及び生産する水産物の多品種化が進むことで、市場の拡大が進むと見込む。
3.将来展望
2027年度の次世代型養殖技術の国内市場規模は、813億5,500万円まで拡大すると予測する。内訳は、低魚粉飼料が664億1,200万円、陸上養殖システムが119億7,700万円、スマート水産は15億4,600万円、アクアポニックスが9億2,800万円、昆虫タンパク質飼料が4億9,200万円に拡大する見通しである。
スマート水産のうち、自動給餌機システムは飼料価格の更なる高騰で飼料使用量の最適化・餌代の削減などを目的に、今後導入が進む。沖合養殖システムも、沿岸での養殖適地が少ないことや技術の進展などから導入が進む見込みである。
陸上養殖システムでは、特に大規模の陸上養殖施設の建設が相次いでいることから、市場が大きく拡大する見込みである。
アクアポニックスは国内での陸上養殖施設の建設数増加や、水族館でのアクアポニックスの展示開始などで、アクアポニックスの一般市民の認知が高まり、導入事例が増える見通しである。
低魚粉飼料では、飼料会社各社が低魚粉飼料の開発に力を入れていることや、魚粉価格の高騰に伴う飼料価格の値上げ等により、市場は拡大を見込む。
昆虫タンパク質飼料は、今後大手企業が販売を本格化することなどから、徐々に市場が拡大する見込みである。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3357
調査要綱
1.調査期間:2023年4月〜9月
2.調査対象:次世代型養殖技術(スマート水産・陸上養殖システム・アクアポニックス・低魚粉飼料・昆虫タンパク質飼料等)を展開している事業者、養殖事業参入企業、その他大学・関連官公庁・研究機関など
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2023年9月20日
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株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
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