• トップ
  • リリース
  • 【矢野経済研究所プレスリリース】世界の二輪車市場に関する調査を実施(2023年) 2030年に二輪車の電動化率は最大約27%まで成長を予測

プレスリリース

株式会社矢野経済研究所

【矢野経済研究所プレスリリース】世界の二輪車市場に関する調査を実施(2023年) 2030年に二輪車の電動化率は最大約27%まで成長を予測

(DreamNews) 2023年07月20日(木)14時30分配信 DreamNews

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、二輪車の世界市場の調査を実施し、主要国の市場概況、主要メーカー動向を明らかにした。ここでは、2030年までの二輪車世界販売台数、二輪車の電動化率予測について公表する。

1.市場概況

コロナ禍から経済活動の正常化が進んだ2022年は、主要な二輪車市場で前年増の推移となったことで、二輪車世界販売台数は6,057万5,000台となった。なかでもインドは前年比約7%増、ASEAN6カ国の合計は約10%増と主要市場の需要は回復をみせる。しかし、世界的な高インフレ、資源高、世界情勢の変化などで2023年の二輪車市場の見通しは今まで以上に不透明となっている。

一方、電動二輪車市場はインドや中国、ASEANで堅調な推移をみせており、価格重視のユーザーが多い地域においてペネトレーションプライシング(市場浸透を目的に安価な販売価格に設定する戦略)で地場のベンチャー企業が市場での優位性を獲得している。2022年から2023年にかけて大手二輪車メーカーが電動モデルの本格的な投入をはじめており、電動二輪車市場は成長期の兆しを迎える段階にある。





2.注目トピック〜大手企業が本格参入、二輪車の電動化で競争激化へ

これまで二輪車はダウンサイジングやハイブリッドなどの先進技術に頼らずとも、キャタライザーやECU(Engine Control Unit)のプログラム調整のみで、排出ガス規制を越えてきた。しかし、世界的潮流となったカーボンニュートラル(CN: Carbon Neutrality)の達成に向けて二輪車も電動化を進める必要がある。

また、モビリティ・マネジメント(個人の移動手段が過度な自動車利用から公共交通等を適切に利用する等に変化を促す交通政策)やCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の観点からも電動二輪車が求められている。一方で、内燃機関(ICE)との車体価格差や航続距離、充電インフラ不足、ギアシフトやエキゾーストノートの喪失による趣味材としての魅力減などの問題も抱えている。

こうしたなか、ガソリン価格の高騰や一部の国で購入補助金が増額されたことなどを追い風に、2022年の電動二輪車世界販売台数は前年比で約2倍に拡大している。これまで地場のベンチャー企業が市場を主導してきたが、2022年はインド大手企業のHeroが電動二輪車に参入、ホンダも欧州や中国で電動モデルを市販し、2024年にインドで電動モデル投入を発表するなど大手が本格参入をはじめている。

3.将来展望

日本や欧州でも排出ガス規制の厳格化や環境配慮型の都市計画によって電動二輪車の販売台数は増加するが、分母となるもともとの二輪車の販売台数規模から、日本や欧州などでは電動二輪車は主要市場とはならない。世界人口は主に新興国が占めているとされ、それらの人々に対応するモビリティ(移動手段)として電気自動車(電動四輪車)が普及するにはコスト、社会インフラからハードルが高い。しかし、電動二輪車であれば、それらのハードルが下がるため、二輪車の電動化はそうした国々での広がりが期待される。特に中国、インド、ASEANの3極が中心となって電動二輪車市場を形成していく見通しである。

ホンダが2025年までに世界で電動二輪車を計10モデル以上投入すると発表しているように、各社で電動モデルが盛り上がりをみせ始めており、インドは地場の有力ベンチャー企業の台頭と大手メーカーの本格参入、インドネシアでは国策で電動二輪車のサプライチェーン育成と普及を促進している。これらを背景として、電動二輪車市場は2025年頃に本格的な成長期に突入すると予測する。

なお、世界の電動二輪車普及予測のうち、Aggressive予測は、電動二輪車の導入を妨げる諸問題(電池価格や充電インフラ等)が解決され、量産規模の拡大等によって車両価格も既存のICE(内燃機関)二輪車と同等、競合できる水準になると仮定している。Conservative予測では、高インフレと利上げが続く環境下で価格重視のユーザーが多い二輪車市場で需要が創出されないと仮定する。また電動二輪車市場が十分に形成されていない状況での購入支援策の打ち切り、E-fuel(水素と二酸化炭素を原料として製造される合成燃料)やバイオ燃料(植物由来のエタノールなどを原料として利用し作られる燃料)など電気自動車(EV)以外の手段によるカーボンニュートラル(CN)シナリオの変更なども想定している。

※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3300

調査要綱
1.調査期間: 2023年4月〜6月
2.調査対象: 二輪車メーカー、サプライヤー、関連団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含)、電話等によるヒアリング、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2023年6月29日

お問い合わせ
⇒プレスリリースの内容や引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press

株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/

このページの先頭へ戻る