プレスリリース
オンキヨー株式会社(所在地:大阪市中央区、代表取締役社長:大朏 宗徳、以下「当社」といいます。)は、特許出願しました発明「異常検出装置及び異常検出方法」が、2023年4月3日に公開されましたことをお知らせ致します。
当社は、Onkyoブランドの音響機器の開発において長年培ってきた音に関する技術・ノウハウを活かし、音の解析技術とAI技術を組み合わせたシステムを開発しております。このシステム開発の一環としまして、当社は、コマツ(所在地:東京都港区、代表取締役社長(兼)CEO:小川 啓之)と共同して、エンジンの異常を検出するシステムの開発を行いました。
エンジンに異常が発生すると、エンジンから異音(異常音)が発生します。エンジンから発生する異音を検出することにより、エンジンの異常を検出することができます。異常検出にAIを用いることが考えられますが、異常が発生する頻度は、正常に比べて低く、正常・異常の機械学習を行うためには、十分な異常値を取得することが困難です。このため、正常値のデータから正常である範囲を判定するための機械学習モデルが作成され、この機械学習モデルを用いて、発生した音等が、正常値であるか否かが判定され、これにより、異常であるか否かが判定されています。しかしながら、異常検出のための機械学習モデルを作成するためには、他の機械学習のモデルと同様に、多くの正常値が必要であり、実用に十分なデータを収集するためには、多大な時間とコストとを必要とするという問題があります。
当社は、コマツとの共同開発の成果としまして、上記発明をコマツと共同して特許出願しております。公開された当社とコマツとの共同発明「異常検出装置及び異常検出方法」(出願番号:特願2021-154121、公開番号:特開2023-045600)は、上記課題を解決するもので、以下のような特徴を有しています。
(1)エンジン音の特徴量に基づいて、エンジンの正常時に適合する正常モデルのパラメータと、異常時に適合するパラメータと、を決定します。
(2)エンジン音の特徴量と、正常モデル及び異常モデルと、に基づいて、正常モデル及び異常モデルそれぞれの尤度の平均を算出します。
(3)算出した尤度の対数比に基づいて、エンジン音が、正常モデル及び異常モデルのいずれに適合するかを判断します。
通常の機械学習では、学習データとそれに紐づく正解ラベルが必要ですが、当社とコマツとの共同発明では、学習データに紐づく正解ラベルを必要としないため、多大なデータを必要とせずに、異常を検出することができます。
当社は、今後も、異常の検出についての開発を行い、開発の成果について、特許出願を行っていく予定です。
当社は、Onkyoブランドのオーディオ製品やスピーカーの技術を支えてきた研究開発部門とマーケティング部門を新設分割し、これまでのオーディオ技術、ノウハウを新分野に展開しようと設立した会社です。当社は、「楽しむ音」から「役立つ音」へとのスローガンのもと、老舗オーディオメーカーとして長年培った「音」の技術を、食品・医療などの新たな分野へ昇華させる取り組みを全社一丸となって行っています。当社は、今後も、このスローガンのもと、新たな取り組みを行ってまいりますので、デジタル聴診器を含め、当社事業の今後の展開に、ご期待下さい。