プレスリリース
世界最高のチェリストが木のホールに帰ってくる! “ヴェルヴェットの響き”が魂を震わせる―― 音楽堂ヘリテージ・コンサート「スティーヴン・イッサーリス チェロ・リサイタル」
「人類の至宝(ヘリテージ)」と言える音楽家によるコンサートシリーズとして、70年近い歴史を誇る神奈川県立音楽堂が打ち出す「音楽堂ヘリテージ・コンサート」。2022年秋シーズンの第1弾は、ガット弦を張ったストラディヴァリウス・チェロで比類ない音楽を奏で「世界最高のチェリスト」と称されるスティーヴン・イッサーリスのリサイタルだ。折しもテーマは『ロシア』。
この緊迫した世界にあって、自らのルーツでもあり、脈々と流れる豊かな音楽の源流にも触れるプログラムを、これまでいくつものプロジェクトの中で、埋もれた名曲を発掘し、新しい光を当てて聴衆に届けてきたイッサーリスはどう弾くのだろうか。
「世界最高のチェリスト」と聞いて、あなたは誰を思い浮かべるだろうか?
アジア系にして世界的な活躍を見せるヨーヨー・マ?往年の巨匠ロストロポーヴィチ?
そのヨーヨー・マと同い年にして、ロストロポーヴィチと同じロシア系の血を引き、昨日はベルリン・フィル、今日はウィーン、明日はNY…と世界超一流のコンサートホールやオーケストラのソリストとしてひっぱりだこの活躍をするのが、このスティーヴン・イッサーリスなのだ。
日本ではリサイタルの数がそれほど多くなく、それだけに「知る人ぞ知る」存在だが、クラシック音楽に詳しいツウはこぞってかけつけ、チケットは激戦、コンサートはブラヴォーの喝采に包まれるカリスマである。
その音色がまた独特なことで有名だ。イッサーリスのチェロはその価値数億円といわれる銘器ストラディヴァリウス。そこに「ガット弦」を張って演奏することで知られる。「ガット弦」は古来より一般的にギターやヴァイオリンなど弦楽器に広く使われており、羊の腸を縒って作られたもの。現在多くの演奏者が使っている、金属のスチール弦のような、バリバリと大きな音は出ないが、その代わり、繊細なタッチや音楽のニュアンスが伝わり、名演奏者であればあるほど、その音楽のすばらしさがそのまま届くという。
イッサーリスはこの楽器を使って、かすかなため息のような静かな音から、雷のとどろくような深い低音までを自在に弾きこなし、そのつややかで深い音色は「ヴェルヴェットの音」とも呼ばれる。
イッサーリスの特徴はもうひとつある。どんなコンサートも、曲の作られた背景や作曲家の人生などを徹底的に研究し、知られざる名曲を発掘したり、誰もが知る名曲が「こんなに素晴らしい曲だったのか」と驚くような新しい魅力を打ち出したりすることで知られる。
今回のテーマも、イギリス人であるイッサーリスの祖先(祖父ユリウスはロシアの名ピアニスト、作曲家として知られ、父はウクライナ生まれ)に連なるゆえにイッサーリスが深く愛し、理解している「ロシアの音楽」をテーマにしている。
ウクライナへの侵攻以来ロシア系の演奏家やプログラムが敬遠されることもあったが、「ロシア音楽」の代表的な作曲家とされるプロコフィエフは実はウクライナ出身、ラフマニノフやショスタコーヴィチ、そして祖父ユリウスも、革命や戦争など時代の波に翻弄されながら、個人として苦しみの末音楽を創り出してきたことから、イッサーリス自身は「今起きていることのためにこの偉大な芸術を避けることには何の意味もない」と語る。
写真クレジット:[左]スティーヴン・イッサーリス(チェロ)(c)S. Aoyagi /[右]コニー・シー
【公演概要】
公演名/音楽堂ヘリテージ・コンサート スティーヴン・イッサーリス チェロ・リサイタル
https://ongakudo-classic.com/22vol01/
日時/2022年9月17日(土) 15:00開演(14:30開場)
会場/神奈川県立音楽堂(JR桜木町駅徒歩10分/京浜急行日ノ出町駅徒歩13分/
東急東横線直通・みなとみらい線みなとみらい駅徒歩20分)
https://www.kanagawa-ongakudo.com/access
出演/スティーヴン・イッサーリス(チェロ)、コニー・シー(ピアノ)
プログラム/ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ ニ短調 op.40
プロコフィエフ:チェロ・ソナタ ハ長調 op.119
ユリウス・イッセルリス(イッサーリス):チェロとピアノのためのバラード イ短調
ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調 op.19
チケット/全席指定・税込 S席6,000円 A席5,500円
シルバー(65歳以上)S席5,500円(予定枚数終了)
U24(24歳以下)3,000円 高校生以下 0円
※枚数限定/要事前予約/引き取り方法により手数料がかかる場合があります
※車いす席有(付添1名無料)
チケットかながわ 0570-015-415(10:00〜18:00)
窓口 神奈川県立音楽堂窓口(13:00〜17:00 月曜休)
神奈川県民ホール窓口(10:00〜18:00) KAAT神奈川芸術劇場窓口(10:00〜18:00)
チケットぴあ https://t.pia.jp [Pコード:217-478]
イープラス https://eplus.jp ローソンチケット https://l-tike.com [Lコード:33494]
主催:神奈川県立音楽堂(指定管理者:公益財団法人神奈川芸術文化財団)
https://www.kanagawa-ongakudo.com/
お問合せ:〒220-0044 神奈川県横浜市西区紅葉ケ丘9-2 TEL 045-263-2567(10:00〜17:00月曜休)
【プロフィール】
スティーヴン・イッサーリス[チェロ]
Steven Isserlis, cello
イギリス生まれ。ベルリン・フィルやゲヴァントハウス管、ロサンジェルス・フィルなどと共演し、ザルツブルク音楽祭やウィグモアホールなどの主要音楽祭やホールに出演、現代最高のチェリストの一人として比類のない多彩な活動を展開している。HIP(歴史的な奏法)にも強い関心を寄せ、古楽オーケストラにも頻繁に客演。チェンバロやフォルテピアノ奏者らとの共演によるリサイタルも度々行っている。同時に現代音楽にも熱心で、サー・ジョン・タヴナーの《奇跡のヴェール》、トーマス・アデスの《見出された場所》など、数々の新作の初演を任されてきた。
レコーディングも数多く、『バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲』がグラモフォン誌の年間最優秀器楽アルバム賞に輝いたほか、近年ではエルガー、ウォルトン、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチの協奏曲をP.ヤルヴィの指揮で録音し、高い評価を受けている。2019年にムストネンと共演した『ショスタコーヴィチ&カバレフスキー: チェロ・ソナタ集』は、UKクラシック音楽チャートで第1位に輝いた。また、2020年にタヴナーのチェロ作品集、2021年には『プルーストのサロン音楽』、『イギリスの無伴奏チェロ作品集』と題した新譜を立て続けにリリースした。
若い聴衆のための活動にも情熱を傾け、子どもたちに向けて執筆した2冊の書は、すでに多くの言語に翻訳されている。2022年2月には、『Robert Schumann’s Advice to Young Musicians』の邦訳版『音楽に本気なきみへ イッサーリスと読むシューマンの助言』(板倉克子訳)が音楽之友社から出版された。最新刊は、『The Bach Cello Suites』。
主たる使用楽器は、イギリス王立音楽アカデミーから貸与された1726年製のストラディヴァリウス「マルキ・ド・コルブロン(ネルソヴァ)」。
コニー・シー[ピアノ]
Connie Shih, piano
カナダ生まれ。1993年、30歳以下の最も優れたクラシック・アーティストに贈られるシルヴァ・ゲルバー賞を受賞。9歳でシアトル交響楽団とメンデルスゾーンのピアノ協奏曲第1番を共演してオーケストラ・デビューを飾る。ソリストとして、カナダ、アメリカ、ヨーロッパ各地のオーケストラと幅広く共演し、ソロ・リサイタルもカナダ、アメリカ、アイスランド、イギリス、スペイン、イタリア、ドイツ、さらに中国で数多く開いている。また、室内楽もタベア・ツィンマーマン、イザベル・ファウストなど多くの世界的な音楽家たちと演奏し、中でも、チェロのスティーヴン・イッサーリスとの度重なる共演は高く評価されている。