プレスリリース
日本・東京、2022年7月7日 - 化学業界のグローバルリーダーであるSABIC(日本法人:SHPPジャパン合同会社、東京都千代田区)は本日、発泡成形(FIM、Form Injection Molding)に特化したSABIC(r) PPコンパウンド「PPc F9005」「F9007」「F9015」を発表した。新しいミネラル強化グレードのSABIC(r) PPc F9005、PPc F9007、PPc F9015は、ドアパネルやトリム、シートやトランクの構成部品、A/B/C/Dピラーカバー、センターコンソールなど、複雑形状の自動車内装部品に優れた外観を実現する事が出来る。一般的な発泡成形材料では成形品の表面品質に難点が見られるのに対し、SABICの新しいPPコンパウンドは、通常の射出成形部品と同等レベルの優れた表面品質を実現する。SABIC PPコンパウンドで作られた発泡成形品は、標準の射出成形品と比べて大幅な軽量化を実現することで排出ガスの削減に貢献する。SABICによるライフサイクルアセスメント調査(第三者機関による審査待ち)では、この先進的な新素材によって、OEM企業は二酸化炭素(CO2)排出量を最大15%削減できるとしている。
SABICでETP & マーケットソリューション部門のジェネラルマネージャーを務めるAbdullah Al-Otaibiは、「自動車業界では、エネルギー効率と持続可能性の目標達成に寄与する新たな軽量化戦略を模索しています。発泡成形は部品の軽量化が可能ですが、これまでは外観を犠牲にせざるを得ませんでした。私たちは発泡技術に関する豊富な専門知識を活用して、表面品質の問題を解決するとともに発泡部品の新たな利用法を開拓できる新しいコンパウンドを開発しました。」と話している。
◆発泡成形における外観品質の課題を解決
これまで発泡成形は基本的に人の目に触れない部品に適用されてきたため、自動車用途においては適用用途が限られていた。発泡成形ではシルバーストリーク(銀条)、スワールマーク(発泡痕)、ディンプル(凹み)が生じ成形品表面の美観を損ねる場合があった。内装部品の発泡成形に適したSABIC PPコンパウンドはこうした外観品質の低下要因を抑え、均一かつ高品質な低光沢のテクスチャ(シボ)表面を実現する。SABICの新しいPPコンパウンドは充填されたタルクフィラーが核として機能することで、より微細な気泡の生成を促進し優れた表面外観を実現する。これらのPPコンパウンドは外観の向上を目的として、現在、自動車内装向けに特定の色調が利用可能なほか、カスタム色にも対応している。
◆軽量化による利点
SABIC PPコンパウンドの利用による軽量化は、使用する発泡成形技術のタイプをはじめいくつかの要因に依存している。ショートショット成形(一般的な射出成形と同じ金型を利用)は最大10%の重量軽減が可能となる。SABIC PPc 9007はショートショット発泡成形および低衝撃用途に適したグレードである。コアバック成形(部品の再設計と新しい金型が必要)は最大30%の重量軽減が可能となる。SABIC PPc 9005とPPc 9015はコアバック成形に適したグレードであり、良好な剛性と耐衝撃性を備えている。
ショートショット成形とコアバック成形では金型の要件が異なるため、どちらを選択するかによって、SABIC PPコンパウンドによる発泡成形が従来のコストを維持するか低減できるかが決まる。また、発泡成形の特長である高い流動性によってサイクルタイムが短縮することで、さらなるコスト低減が可能となる。
発泡成形には化学発泡剤もしくは物理発泡剤を使用するプロセスがある。化学発泡剤は人目に触れる部品の成形に用いられる場合が多く、新しいSABIC PPコンパウンドは化学発泡剤との併用に適した材料である。化学発泡剤は、樹脂ペレットとともにマスターバッチの形で成形機に充填され、溶融段階で活性化しガスを放出して発泡する。
◆発泡成形の用途開発と加工を支援
SABICは新しいPPコンパウンド製品に関して、発泡成形品の設計、開発、加工に関する幅広い専門知識および予測エンジニアリングを活用して顧客をサポートしている。また、SABICでは各グレードに適した化学発泡剤の選定についてのアドバイスも可能である。SABICの技術チームは、部品重量を可能な限り低く抑えながら優れた外観を実現するため顧客と密接に協力している。
SABICは発泡成形の開発を推進するため、オランダにフォームイノベーションセンター(Foam Innovation Center)を開設している。このセンターは発泡成形装置と分析機器を備え、新しい発泡ソリューションや革新的な技術の開発が行われるほか、顧客との共同作業にも利用できる。
新しいSABIC PPコンパウンドは欧州で発売されており、今後、南北アメリカおよびアジア太平洋地域でも販売が開始される。
SABICについて
SABIC(サウジ基礎産業公社)は、サウジアラビアのリヤドに本社を置く化学製品のグローバルカンパニーです。SABICはアメリカ大陸、ヨーロッパ、中東およびアジア太平洋地区を拠点として、化学品、汎用製品、高機能性プラスチックス、肥料、金属といった製品の世界規模での生産活動を行っています。
SABICでは解決すべき課題の特定やソリューションの開発を通して、建設、医療機器、包装、肥料、電気電子、輸送機器、クリーンエネルギーといった主要アプリケーションに携わる顧客をサポートしています。
SABICの2021年の純利益は230億サウジ・リヤル(61.5億米ドル)。2021年の総売上高は1,740億サウジ・リヤル(466億米ドル)。2021年末の総資産は3,180億サウジ・リヤル(849億米ドル)。2021年の生産量は5,800万トン。
SABICは世界50か国以上で事業を展開し、3万1,000人を上回る従業員を全世界で雇用しています。SABICでは、イノベーションと独創性の育成を促進するため、グローバルで10,090件の特許取得および特許出願を行っているほか、5つの主要地域(アメリカ、ヨーロッパ、中東、東南アジア、北東アジア)においてイノベーションのハブとなる研究開発のリソースを有しています。
https://www.sabic.com/
SHPPジャパン合同会社について
SABICは、2020年4月1日付で日本法人の称号をSABICジャパン合同会社からSHPPジャパン合同会社に変更しました。