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プレスリリース

株式会社矢野経済研究所

【矢野経済研究所プレスリリース】マテリアルDXに関する調査を実施(2021年)〜2025年のマテリアルDXにおける有機材料世界市場規模は6,174億円と予測、MIからより包括的なマテリアルDXに移行〜

(DreamNews) 2022年03月22日(火)14時00分配信 DreamNews

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、世界のマテリアルDX関連市場を調査し、3区分別や研究機関の動向、将来展望などを明らかに致しました。ここでは、マテリアルDXにおける有機材料の世界市場予測について公表します。

1.市場概況
国内のマテリアル分野においては、日本が得意としてきた技術蓄積を基礎にした材料開発手法に加え、2010年代からコンピュータを用いた、シミュレーションやAIなどデータ科学等に基づく新たな材料設計手法であるマテリアルズ・インフォマティクス(MI;Materials Informatics)の取り組みが行われ、さまざまな成果が生み出されて来た。
現在、社会的な課題であるSociety5.0やSDGs等の実現に向けて、マテリアルズサイエンス(材料科学)は大きな役割を果たすことが期待されており、企業や事業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化と同様に、データ駆動型材料開発(マテリアルDX)を推進することで、魅力的なマテリアルの創出や、そのベースとなるサイエンスへの挑戦と加速が模索されている。
マテリアルズ・インフォマティクスの進化系であるマテリアルDXでは、材料データの利用環境整備を進めることで、組成・組織と物性・特性の相関関係から多面的な材料探索を可能にする。さらに、材料開発の時間とコストを大幅に短縮し、機能に基づく材料設計が大幅に進展し、多様な材料データから材料機能発現の指導原理を見出す可能性が増している。
なお、マテリアル分野においては世界のトップランナーである日本は諸外国の急速な追い上げを受けている。2020年には文部科学省や経済産業省を中心として「マテリアル革新力強化のための戦略策定に向けた準備会合」が設置され、基本的な考え方や今後の取り組みの方向等がまとめられ、2021年には統合イノベーション戦略推進会議において「マテリアル革新力強化戦略」が策定された。

本調査では、他材料などに比べてマテリアルズ・インフォマティクスの取り組みが進展している有機材料(高分子材料やバイオ材料、低分子材料など)を対象として、マテリアルDXを用いた材料開発の市場規模を試算した。2025年のマテリアルDXにおける有機材料の世界市場規模は、メーカー出荷金額ベースで6,174億円になると予測する。有機材料別の内訳をみると、高分子材料が全体の約93%を占め、バイオ材料が約5%、低分子材料は約2%となる見込みである。

2.注目トピック〜事例(1):MIによるプロセス探索〜層状物質からの高効率ナノシート合成条件の探索〜
層状物質やナノシート材料などの2次元材料は、その特異な機能により注目を集めている。層状物質をはく離すると、単層から数層の厚さのナノシート材料が容易に得られるのは、これら層状物質が弱いファンデルワールス力で結合していることに起因している。
一方、遷移金属酸化物や粘土鉱物など、層間イオンがクーロン力で積層した剛直な層状物質についてははく離手法は知られているものの、収率向上やサイズ制御、表面修飾に関する研究は十分ではない。

慶應義塾大学理工学部の緒明研究室では、実験データに機械学習などのデータ科学的手法や研究者の経験に基づく考察を融合した新しいマテリアルズ・インフォマティクス(MI)手法を組み合わせて、機能材料の開発を加速することを目指している。
それにより、剛直な層状物質の層間にゲスト分子を導入することで、柔軟な層状有機無機複合体へと変換し、それを適当な有機溶剤に分散させることで、表面修飾ナノシートを得る手法を開拓してきた。この手法では、層間ゲストと分散媒の組み合わせによって、はく離挙動が変化し、収率向上やサイズ制御が可能となる。

3.将来展望
マテリアルDXにおける有機材料の世界市場規模は、2030年には1兆4,059億円(2025年比227.7%)になると予測する。
界面活性剤など主に低分子材料に関しては、典型的なものについてはハンドブック等に集約されており、マテリアルDX(データ駆動型材料開発)を実現するためのデータベースとして活用することが出来る。
一方で、半導体素子や発光素子などの最先端電子材料に関しては、重要なデータのほとんどが民間企業の中に秘匿性の高いデータとして保存されており、オープンにされているデータは非常に少ない。また、高分子材料や複合材料など複数の素材からなる材料に関しては、構造や特性がその組み合わせやプロセスに大きく依存するので、入手できるデータは極めて限られており、マテリアルDX実現のための課題である。
また、有機材料は一部の添加剤などを除けば、分子単体で機能を発現する用途は少なく、集合体の高次構造が機能を左右することが多い。したがって、材料の計測結果データからそれらの高次構造を予測できる計算科学の技術、および計測インフォマティクスの進歩が不可欠となる。幸い、日本は計測インフォマティクスが世界で最も進んでいる国であり、この点で世界をリードできる素地があると考える。

※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2943

調査要綱
1.調査期間: 2021年9月〜2022年1月
2.調査対象: マテリアルDXにおける有機材料関連の技術研究機関、生産販売または取扱企業等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2022年2月25日

お問い合わせ
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株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
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株式会社矢野経済研究所
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