プレスリリース
当所の海洋リスク評価系の近内亜紀子(こんないあきこ)上席研究員(国際連携センター併任)は、本年6月に開催された国際原子力機関の第48回輸送安全基準委員会(IAEA/TRANSSC48)にて、TRANSSC技術専門家グループ(実務課題)(TTEG-OM)議長に選出されました。近内上席研究員の議長任期は、2024年から2026年までになります。
※当所の国際連携センターは、海上における安全確保及び環境保護のための規則・基準等を審議する国際会議等への専門家の派遣、技術的な裏付けのための調査・研究の実施や資料の作成等を行い、国際ルール形成へ積極的に貢献しています。
近内上席研究員は、2009年からIAEA/TRANSSCの定例会合に20回以上参加し、日本意見の反映に貢献してきました。2014年以降は、TRANSSCでの対応を審議する国内検討会の事務局を務め、我が国の対処方針作成において中心的な役割を果たしており、それら実績が認められて、2021年からは日本副代表として交渉等にあたっています。
TRANSSCは、2017年に放射性物質輸送における分野ごとの課題検討を目的として4つの技術専門家グループ(TTEG)(放射線防護、臨界、輸送物性能・評価、実務課題)を設立しました。このうち、TTEG-OM(実務課題)は、放射性物質の船舶や航空機等への積載要件や放射性以外の危険性を有する場合の積載要件の明確化などの課題を取り扱っています。
これまで近内上席研究員は、TTEG-OMにおいて一次審査を行ったIAEA輸送規則への約200件の各国提案についての議論を主導し、前議長を補佐し審議結果をまとめました。また、IMO/CCC/E&T(国際海事機関/貨物運送小委員会/編集及び技術グループ)から、IMDGコード(国際海上危険物規程)における放射性輸送物等の積載要件に関する輸送指数及び臨界安全指数* に関してTRANSSCに専門的意見を求められた際、TRANSSCからの回答文書作成に貢献しました。
これらの実績により、前TTEG-OM議長国である南アフリカ共和国から推薦され、全参加国からの支持を得て、2024年6月10〜14日にウィーンのIAEA本部で開催されたTRANSSC48にてTTEG-OM議長に選出されました。
近内上席研究員は引き続き、IAEAで行われる放射性物質輸送に関する議論において、各国関係者や輸送に関する国際機関と協調しながら議論を主導し、放射性物質の安全な輸送のために貢献してまいる所存であり、当所も全面的に支援してまいります。
* 輸送指数とは、放射性輸送物等周辺1m距離の線量率に基づく外部被ばくに関する指数。臨界安全指数とは、核分裂性輸送物の臨界の起り易さを表す指数。IAEA輸送規則及びIMDGコードでは、船舶の船倉、区画、指定甲板区域等それぞれへの積載について、この指数に基づく制限値を規定しているが、一部に不整合があり、その解消に向けた議論が継続されています。
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近内上席研究員
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