プレスリリース
特定非営利活動法人NPO birthがコンソーシアムの一員として参加しております都立野山北・六道山公園の指定管理者である狭山丘陵パートナーズでは、地域の生物多様性を高める取組として湿地再生プロジェクトを行っています。その成果として、令和5年8月、東京都では絶滅したと思われていた植物「ヤナギスブタ」の復活が確認できたことをご報告いたします。
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確認されたヤナギスブタ
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ヤナギスブタの花
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掘削前の様子
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掘削後の様子
1. 経緯
今回、生育を確認した場所は、都立野山北・六道山公園の谷戸に位置し、過年度から自然環境の復元に取組んできた湿地です。生育確認前の湿地は、度重なる大雨の影響で土砂が流入し、陸生植物が繁茂する状況となっていました。そのため、令和5年1月、湿地再生の取組として、土砂の掘削を行ったところ、東京都絶滅種である「ヤナギスブタ」の復活を確認することができました。
ヤナギスブタは水田などの浅い水域に生息する一年生の水生植物です。耕作放棄や農薬の使用により全国的にも減少しており、東京都では1990年代の町田市の記録を最後に、姿を消していました。今回、本種を確認した場所は60年ほど前まで水田として利用されていました。当時は、ヤナギスブタが生育しており、その種子が土中に保存され、私たちが実施した掘削によって発芽したと考えられます。その後、このヤナギスブタは、無事、開花し、結実を確認しています。
ヤナギスブタの他にも、狭山丘陵では初確認のミズオオバコ(東京都RDB2023:絶滅危惧IA類(CR))を発見することができました。さらに、狭山丘陵では確認記録が少ないサワトウガラシやフラスコモ属の一種が確認されています。
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狭山丘陵初確認のミズオオバコ
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フラスコモ属の一種
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掘削作業の様子
2. 今後の取組
今回の取組は、私たちが3つの都立公園グループ(狭山丘陵、武蔵野、多摩部)で展開している「湿地再生プロジェクト」のひとつであり、都内の湿地再生および希少種保全に大きく貢献するものです。また、水生植物は、それ自体に絶滅危惧種が多く貴重なものですが、両生類や昆虫等に棲み家や産卵場所を提供したり、池の水質を維持するなど、生物多様性の回復には欠かせません。
今後は現地を安定した生育地として維持すると共に、異なる湿地でも掘削による再生作業を行い、生物多様性の向上に取組んでいきます。
3. 参考
ヤナギスブタ(トチカガミ科スブタ属)
学名 :Blyxa japonica (Miq.) Maxim. Ex Ascherson et Gurke
分布 :本州以南の水田,ため池,水路などに生育する一年生の水生植物である
希少性:東京都レッドデータブック2023:絶滅(EX)
■都立野山北・六道山公園の位置
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都立野山北・六道山公園の位置
プレスリリース提供元:@Press