プレスリリース

Orchard Therapeutics社買収契約締結のお知らせ

(@Press) 2023年10月05日(木)17時45分配信 @Press

協和キリン株式会社(本社:東京、代表取締役社長:宮本 昌志、以下「協和キリン」)とOrchard Therapeutics plc(本社:英国ロンドン、CEO:Bobby Gaspar、以下「Orchard」)は、本日、協和キリンが1ADS(American Depositary Share:米国預託株式)当たり16.00米ドル(計約387.4百万米ドル、約573億円)でOrchardを買収する契約を締結したことをお知らせします。Orchard株主は追加のCVR(contingent value rights:成功対価受領権)を1ADS当たり1.00米ドル保有する契約となっております。条件が達成された場合には1.00米ドルを追加で支払い、1ADS当たり合計17.00米ドル、約477.6百万米ドル(約707億円)となります。


- Orchardは希少疾患の治療薬の開発と商業化に成功した経験を持つ遺伝子治療のグローバルリーダー
- 買収によりポートフォリオを拡充、臨床応用実績のあるプラットフォーム技術の獲得により今後多くの有望な開発候補の創出が可能に、さらにLibmeldy(R)の上市のためのリソースを確保
- 買収価格は1ADS当たり16.00米ドルとCVR 1.00米ドル、合計最大約477.6百万米ドル(約707億円)
- 協和キリンは、10月5日午後6時30分から投資家向け説明会を開催


協和キリンは、2030年に向けて、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値をもつ医薬品を継続的に創出するというビジョンをつくりました。この戦略の中心にあるのが「Commitment to Life(コミットメント・トゥ・ライフ)」であり、革新的なサイエンスを有効な治療法のない病気の治療につなげたいという思いです。協和キリンは、細胞遺伝子治療が持つ大きな可能性が協和キリンのビジョン、患者さんへのコミットメント、希少疾患分野におけるグローバルでの商業化に関する専門性と合致すると考えております。

Orchardが開発した遺伝子治療のアプローチは、患者さん自身の造血幹細胞の遺伝子を改変し投与することを特徴としており、一度の投与で遺伝性疾患の根本的な原因を治す可能性があります。Orchardは患者さん及びそのご家族、社会にとって負担が大きく、現在の治療法が限られている疾患に対する造血幹細胞遺伝子治療(hematopoietic stem cell gene therapy, 以下「HSC-GT」)の製品、開発、および非臨床ポートフォリオを有しており、Orchardの買収が成功すれば、協和キリンは急成長する遺伝子治療分野における世界的なリーダーとしての地位を獲得することになります。

OrchardのポートフォリオにはLibmeldy(R)(atidarsagene autotemcel)があり、米国ではOTL-200として知られています。これは早期発症の異染性白質ディストロフィー(MLD)を対象とした治療法です。MLDは生命を脅かす希少な遺伝性の代謝性疾患であり、最も重篤なMLDのタイプでは、乳幼児期の後半になると急速に歩行能力や言語能力を失い、周囲との関係構築が困難になります。Libmeldyは乳児期遅発型または早期若年型のMLDにおいて、欧州委員会(EC)および英国医薬品医療製品規制庁(MHRA)の承認を取得しております。現在、米国食品医薬品局(FDA)による優先審査段階であり、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)の目標期限は2024年3月18日です。

このHSC-GTの技術プラットフォームを活用して、重症な小児の神経代謝性疾患を対象に2つの臨床段階のプログラムも進行中です。OTL-203はムコ多糖症I型であるハーラー症候群(MPS-IH)を対象に、OTL-201はムコ多糖症IIIA型(MPS-IIIA:サンフィリッポ症候群)に対する治療法として開発中です。

今回の買収により、協和キリンはLibmeldy(R)の価値を最大化し、Orchardが有する上記ムコ多糖症のプログラム、および重症な遺伝型のクローン病や前頭側頭型認知症(FTD)などの初期の研究プロジェクトを獲得、そして加速することができます。さらに、Orchardの革新的なHSC-GT技術と、協和キリンのケイパビリティ、リソース、インフラを組み合わせることで、がんや自己免疫疾患など協和キリンが高い専門性を有する領域において、数多くの有望な治療法の継続的な創出が期待されます。

協和キリンの取締役専務執行役員 山下 武美は、次のように述べています。「このたび、HSC-GTのリーディング・プロバイダーであるOrchard Therapeutics社と買収契約の合意ができたことを大変うれしく思います。今回の買収により、患者さんの生活を大きく改善することが期待できる新たなモダリティを活用できるようになります。Orchard Therapeutics社は、HSC-GTの製品をすでに欧州で上市、また米国で申請を完了しており、本領域において着実に実績を積んでいる会社です。互いに尊重しながら、両社の強みを掛け合わせることで、生命を脅かす希少な遺伝性疾患を有する患者さんのためにLife-changingな価値の創造と提供を実現していきます。」

Orchardの共同設立者であり最高経営責任者であるBobby Gasparは、次のように述べています。「この買収は、重篤な遺伝性疾患に苦しむ方々の生活を改善し、病気と向き合う人々にLife Changingな価値を届けるという私たちの共通のビジョンの実現を加速させるための重要な機会です。我々は引き続き自分たちのミッションに忠実であり続け、協和キリンのグローバルネットワークに加わることで、OTL-200の米国での上市準備を進め、欧州においてLibmeldyの成長加速を目指した取り組みへの投資を継続し、グローバル展開の機会を十分に生かし、神経代謝性疾患であるムコ多糖症のプログラムおよび初期段階の研究プロジェクトを推進するための十分なリソースを確保できます。
患者さんと社会のためにHSC-GTによる治癒の可能性を完全に解き放つことを目指し、協和キリンの新しい仲間と協働できることを楽しみにしています。」

協和キリンは日本時間の10月5日午後6時30分より投資家向けの説明会を実施します。


■取引の概要
本契約に基づき、協和キリンはスキーム・オブ・アレンジメントを通じ、Orchardの全株式を1ADS 当たり16.00ドル(計約387.4百万米ドル、約573億円)で現金にて取得します。これは、Orchardの過去30日間の出来高加重平均株価に144%のプレミアムを加えた価格に相当します。

本取引に関連して、Orchardの株主に対し譲渡不可能なContingent Value Rights(CVR)が配布されます。CVRの保有者は、CVR契約に基づき、米国におけるMLDの治療薬としてOTL-200が承認された場合に、1ADSあたり1.00米ドルを受け取る権利を有します。

本取引の契約締結日時点で発行されている新株予約権は、その条項に従い、協和キリンによりその義務は引き続き履行されます。

本取引は両社の取締役会において全会一致で承認されており、今後Orchardの株主による承認、規制当局の承認、その他通常の取引手続きを経て、2024年第1四半期に完了する予定です。

買収が完了すると、Orchardは協和キリンの完全子会社となります。

協和キリンにおいては、財務アドバイザーとしてゴールドマン・サックス証券株式会社、法律アドバイザーとしてモリソン・フォースター法律事務所が務めております。Orchardにおいては、財務アドバイザーをGuggenheim Partners, LLP.、法務アドバイザーをGoodwin Procter LLP、英国法務アドバイザーをSlaughter & May Ltdが務めております。


■Orchardについて
(1)名称 :Orchard Therapeutics plc
(2)所在地 :245 Hammersmith Road,
3rd Floor London W6 8PW United Kingdom
(3)代表者の役職・氏名:Chief Executive Officer
Bobby Gaspar
(4)事業内容 :造血幹細胞遺伝子治療(HSC-GT)の開発・商業化
(5)資本金 :29,456千米ドル (2023年6月30日現在)
(6)設立年月日 :2015年
(7)大株主及び持株比率:RA Capital Management, LP (25.7%)
Deep Track Capital LP (9.0%)
Zentree Investment Management Pte Ltd (8.3%)
(2023年6月30日現在)

(8)上場会社と当該会社との間の関係
資本関係 :なし
人的関係 :なし
取引関係 :なし
関連当事者への該当状況:なし


■Libmeldy(OTL-200)について
異染性白質ディストロフィー(MLD)はARSA遺伝子の両アリル変異によりARSAの酵素活性が低下する疾患です。Libmeldy(R)(atidarsagene autotemcel、開発番号:OTL-200)は、1)臨床症状を伴わない乳児期遅発型または早期若年型のMLD、および2)自立歩行がまだ可能で認知機能低下が始まる前の、早期の臨床症状が現れた早期若年型のMLDにおける治療法として、欧州委員会より承認されています。

Libmeldyによる治療における最も一般的な有害事象は抗ARSA抗体の発生です。Libmeldyによる治療には、遺伝子治療に関連するリスクに加え、治療に先立って行われる骨髄採取もしくは末梢血動員、アフェレーシス、移植前の骨髄前処置といった他の医療的な介入があり、それぞれにリスクがあります。Libmeldyの臨床試験中、これらの医療的な介入に関する安全性プロファイルは従来の安全性および忍容性と一致していました。

Libmeldyに関するさらなる詳細な情報は、EMAのウェブサイト上にあるSummary of Product Characteristics(SmPC) https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/EPAR/libmeldy をご確認ください。

LibmeldyはEU、UK、アイルランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーにて承認されています。米国においては、OTL-200として開発中です。

Libmeldyはイタリア・ミラノにあるSan Raffaele-Telethon Institute for Gene Therapy (SR-Tiget)との共同で開発されました。


本ニュースリリースは、当社とOrchard Therapeutics plcが発表した英文プレスリリースの内容を、当社が日本語に翻訳、再構成し、発表しています。本ニュースリリースの正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先しますことにご留意下さい。協和キリン 英語リリース https://www.kyowakirin.com/media_center/news_releases/2022/pdf/e20221118_01.pdf

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