プレスリリース
工学院大学(学長:伊藤 慎一郎、所在地:東京都新宿区/八王子市)の藤井 克彦 教授(生命化学科)は、バイオガスに含まれる二酸化炭素(以下 CO2)を微生物の力で取り除き、燃焼熱の高いバイオガスへと変換する研究を進めています。8月24日から開催される「大学見本市2023〜イノベーション・ジャパン」(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構)にて公開します。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/364807/LL_img_364807_1.jpg
藤井 克彦 教授が考案した、微生物によってCO2を固定し、バイオガスを改質するとともに、増殖藻体を利用する技術(概要図) 水色部分は従来、黄色部は今回の展示内容。
天然ガスはメタンの含量が90%以上であるのに対し、バイオガスは生物由来のため、どうしてもCO2が約40%含まれます。そのため燃焼効率が低下し、再生可能エネルギーとしての利用が進まない一因となっています。この研究では、そのCO2を微生物(微細藻類)が固定化することで、燃焼熱を高めたバイオガスの生産を目指します。
CO2を固定した微細藻類はカロテノイドなどを有するため、健康食品や医薬品、飼料などへの活用が期待されます。
藤井教授は、下水処理で最後に残る難生分解の消化汚泥からバイオガスを生産する複合微生物を研究してきました。これまでの研究に加えて、強いアルカリpH条件下でCO2を固定できる微細藻類を発見し、バイオガスの改質への利用可能性を着想しました。常温処理が可能で、排水を扱う自治体や建築業、水処理メーカー、食品飲料工場などが導入すると、省エネルギー、処理設備の簡素化に貢献できる技術です。
■研究者コメント:藤井 克彦 教授(工学院大学 先進工学部 生命化学科)
昨年は、複合微生物を使い、汚泥と水だけでバイオガスを生産する技術を公開しましたが、今年は、加えてバイオガスの質を高めるべく研究を進めています。強いアルカリ性でも生育し、光合成でCO2を固定する微細藻類を見つけました。展示会会場では、下水汚泥の嫌気消化で得られるバイオガスからCO2を除去し、家庭にはエネルギーとして、CO2で増殖した藻体を産業利用する流れがわかる模型を持ち込む予定です。まだ研究フェーズの段階ですので、実用化に向けた共同研究等を歓迎します。
■「大学見本市2023〜イノベーション・ジャパン」概要
一般公開期間 : 2023年8月24日(木)、8月25日(金)
主催 : 国立研究開発法人科学技術振興機構
会場 : 東京ビッグサイト、南1ホール、入場無料、来場登録制
公式サイト : https://innovationjapan.jst.go.jp/
該当技術について: ・出展エリア
大学見本市、大学等シーズ展示
・出展分野
カーボンニュートラル・環境
・小間番号
C-82
出展タイトル : バイオガス改質を目指した新たな微生物利用技術の開発
【特許情報】
名称 :微生物混合物、メタン産生用組成物、及びメタン産生方法
出願者 :学校法人工学院大学
発明者 :藤井 克彦
出願番号:特願2020-100457
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