プレスリリース
京セラ株式会社(代表取締役社長:谷本 秀夫、以下 京セラ)は、2022年6月〜2023年2月まで、東京電力ホールディングス株式会社が主導するコンソーシアムとして、経済産業省が公募するDER※2実証事業「令和4年度 蓄電池等の分散型エネルギーリソース※2を活用した次世代技術構築実証事業」に参画しておりました。その中で当社は、周波数制御非対応リソース※3を含めた需給調整技術の実証実験を実施し、日本で初めて※1技術を確立しましたのでお知らせします。
これにより、需給調整市場※4において、周波数制御が出来ないリソースも一次調整力として活用可能とし、電力系統安定と収益性向上に貢献します。
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一次調整力市場での周波数制御非対応リソースを活用した実証イメージ
■実証実験の背景・概要
脱炭素社会、持続可能な社会を実現していくためには、再生可能エネルギーの最大限の導入が求められています。しかし近年、太陽光発電などの再エネによる出力変動や余剰電力の発生など、電力系統の安定運用に影響を及ぼす課題が顕在化しつつあります。電力系統の安定化には、発電所などによる需給調整が必要ですが、発電設備を保有・維持するにはコストがかかります。このような中、継続的な再エネ導入と電力系統安定化を低コストで両立するため、分散型エネルギーリソースを積極的に活用し、需給調整を行う新たな仕組みが必要とされており、京セラもさまざまな実証事業に参画し制御技術の検証を進めています。
2022年度には、京セラの所有する電気自動車(EV)充放電器や大型蓄電池などのリソースを活用し、自端制御と呼ばれるリソース制御方法で周波数制御を行い需給調整市場へ提供する「一次調整力」での実証を実施しました。従来は、平常時0.1秒周期以内での周波数計測・リソース制御が出来ないリソースについては、この一次調整力として活用できませんでした。
このたび、京セラ先進技術研究所にて開発したリソースアグリゲーター(RA)※5システムで、さまざまなリソースを組み合わせた実証実験を実施し、平常時の周波数制御は一部の対応可能なリソースで補い、電力系統での電力供給が不足した緊急時には全てのリソースで10秒以内に所定制御値へリソース制御を行うことで、周波数制御非対応のリソースも一次調整力として活用できることを確認しました。
これにより、周波数制御非対応のリソースを持つ需要家の方でも、京セラRAシステムを通じて一次調整力に参加可能になれば、より多くのリソースで電力需給調整に貢献することができ、また、参加需要家はインセンティブ収入を得ることができます。
京セラは、今後も電力需給調整・制御技術の研究を重ね、2024年度にRAシステムの事業化を目指します。さらに、同年度に開始される需給調整市場における一次調整力の取引への参加を目指してまいります。
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実証試験システム構成図
※1 周波数制御非対応リソースを一次調整力として活用する需給調整技術において。
2023年5月 京セラ調べ。
※2 DER(Distributed Energy Resources) / 分散型エネルギーリソース:
分散配置された大小の蓄電池や電気自動車、自家発電機、空調等のエネルギーリソース
※3 周波数制御非対応リソース:
異常時(緊急時)に10秒以内で応動する要件は満たしているが、平常時に計測された周波数に応じて0.1秒毎以下の頻度で調整力供出することが出来ないエネルギーリソース
※4 2021年度より開設されている需給調整市場:
2021年度より開設されている需給調整市場において、2021年度に三次調整力(2)、2022年度には三次調整力(1)の取引が開始されており、2024年度には、一次調整力と二次調整力(1)(2)の取引が順次開始される予定
<参考:調整力の種類>
一次調整力 :
自端制御と呼ばれる制御方法で、10秒以内に所定制御値へリソース制御を行うことで市場へ提供するメニュー
二次調整力(1):
0.5秒〜数十秒間隔で出される制御指令に対し、指令受領後5分以内に指令値に則したリソース制御を行うことで市場へ提供するメニュー
二次調整力(2):
数秒〜数分間隔で出される制御指令に対し、指令受領後5分以内に指令値に則したリソース制御を行うことで市場へ提供するメニュー
三次調整力(1):
数秒〜数分間隔で出される制御指令に対し、指令受領後15分以内に指令値に則したリソース制御を行うことで市場へ提供するメニュー
三次調整力(2):
30分間隔で出される制御指令に対し、指令受領後45分以内に指令値に則したリソース制御を行うことで市場へ提供するメニュー
※5 リソースアグリゲーター(RA):
需要家とVPPサービス契約を締結してリソース制御を行う事業者
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