プレスリリース
理化学研究所 革新知能統合研究センター認知行動支援技術チーム(チームリーダー・ロボット工学博士:大武 美保子)は、40代50代の方に向けて、認知症予防のための会話支援ロボット「ぼのちゃん」を使った共想法(きょうそうほう)の体験会を開催します。人口の高齢化の進展に伴って、要介護高齢者の増加、介護期間の長期化など、さまざまな問題が深刻化しています。認知症予防とは、脳と身体の老化を遅らせることであり、要介護者を減らせる効果が期待できます。だからこそ1人でも多くの方に、そのポイントを知っていただきたいと考え、「6月10日ロボットの日」にちなんで、体験イベントを6月8日(木)理化学研究所(日本橋)にて開催します。
■認知症を予防し、要介護にならないために
現代は、高齢者の約4人に1人は認知症または認知症予備軍となっています(2012年時点。厚生労働省老健局データから)。認知症になると、本人だけでなく、家族にも大きな負担となります。予防習慣の大切さとして、歯の健康は、口腔ケア習慣の普及によって、55〜60歳で歯がない人の割合が、1975年の20%から、2005年には2%まで30年間で10分の1に激減しました。口腔ケア習慣によって歯の健康を保っているように、認知症予防の習慣を普及させることで、認知症を大幅に減らせると考えています。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/357393/LL_img_357393_1.jpg
説明をするチームリーダーの大武
■「まだ大丈夫」と思っている40代50代から
共想法が、健常高齢者を対象としたランダム化比較試験を通じ、認知機能改善効果を確認している中で、今回、認知症は先のことだと考えている40代50代に向けて認知症予防のための体験イベントを開催します。認知機能の衰えは気づきにくいことも問題の一つです。また、認知症を予防し、要介護にならないためにも、動ける身体を保つことも大切な要因になります。そのため、体験会では、体内の糖化度や脳疲労とストレス、骨密度なども測定して、現在の自分の身体についても理解を深めていただきます。
■共想法とは?ロボットが「脳が活性化する会話」サポート
ほのぼのとした日常会話をしながらコミュニケーションをすることは、認知機能を向上させます。ロボット工学博士の大武が考案した共想法とは、さりげなく面白いものごとに気づき、写真にとって、お互いの写真を持ち寄って語らう、コミュニケーションを促す手法です。ロボットの「ぼのちゃん」は、話題の提供や時間の管理を行う司会者をします。会話量の測定をして、時間を区切ったり、聞き手と話し手が互いにバランスよく会話をしていないと、割り込んで発話量が少ない方に話をするよう促したりします。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/357393/LL_img_357393_2.jpg
前回のイベント時の様子。ロボットを使うと、忖度せず、話に割り込めるのも利点。笑いも生まれる
【イベント概要】
タイトル:40代50代のための認知症予防
〜「ぼのちゃん」と共想法を体験〜
日時 :2023年6月8日(木)10:30〜12:30
場所 :理化学研究所 革新知能統合研究センター
東京都中央区日本橋1-4-1日本橋一丁目三井ビルディング15階
参加者 :40代50代の一般女性(4〜8人程度)
内容 :共想法の実践:会話支援ロボット「ぼのちゃん」体験/
認知症を防ぐ4大ポイント/現状の身体チェック その他
*内容は変更になる場合がございますのでご了承ください。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/357393/LL_img_357393_3.jpg
前回は体験会後には座談会を実施した(6/8は未定)
■前回参加した方々の感想
「単なるおしゃべりと、思考を巡らすおしゃべりとの違いを納得した」(40代女性)
「関心がないことは、自分でもびっくりするくらい質問が浮かばなかった。もっといろんなことに関心を持ちたい」(50代女性)
「ぼのちゃんの司会で、初めてお会いする方々でも安心して会話ができた。健康マニアだと思っていたのに、身体の状態に驚いた。ショックな数値は、これから改善していきます。認知症は予防できるということが知れて本当によかった」(40代女性)
■ロボットの力を認知症予防に!祖母の認知症経験から
ロボット工学博士の大武は、ゲルロボットという柔らかいロボットの研究時に、祖母が認知症となり、要介護になっていく姿を目の当たりにすることになりました。このような経験を経て「認知症をなんとかしたい!」という思いを強くし、関連する人ロボット共生学、こころの時間学、思春期主体価値、共創言語進化、対話知能学の研究領域に参加し研究を進め、人間の認知機能を育む人工知能技術の基盤要素技術を開発しました。それが、認知症予防支援ロボットを使った共想法です。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/357393/LL_img_357393_4.jpg
チームメンバーと脳波測定の様子(左:大武)
■チームリーダー:大武美保子(おおたけみほこ)プロフィール
ロボット工学博士/理化学研究所 革新知能統合研究(AIP)センター 目的指向基盤技術研究グループ 認知行動支援技術チーム チームリーダー/NPO法人ほのぼの研究所 代表理事・所長
東京大学大学院博士課程修了・博士(工学)。
柔らかいロボット、ゲルロボット(機能性高分子で構築された連続体の変形と運動の制御)の研究を経て、祖母の認知症発症をきっかけに、会話支援AIによる認知行動支援技術の開発に携わる。ドイツやフランスなど海外の高齢化が特に進んだ国との戦略的な国際連携にも積極的に取り組んでいる。
日本学術振興会特別研究員、東京大学大学院特任助手、助教授、准教授、スイス連邦工科大学チューリッヒ校の客員研究員、千葉大学大学院准教授を経て、現在は、理化学研究所AIPセンター チームリーダーとして活動。これまでに、日本ロボット学会研究奨励賞(2003年)、文部科学大臣表彰若手科学者賞(2014年)、人工知能学会現場イノベーション賞(2015年)などを受賞している。
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/357393/LL_img_357393_5.jpg
チームリーダー 大武美保子
プレスリリース提供元:@Press