プレスリリース
株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹、以下 当社)は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本 良江)が提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に「子育て当事者の課題と子育て支援策のニーズ調査」(以下、本調査)を実施しました。
本調査では、我が国の少子化問題の加速を背景に、国内在住の20代〜50代の男女を対象に子育て当事者の課題と子育て支援策のニーズに関してアンケート調査を行った結果、以下のことが明らかとなりました。
【主なポイント】
1. 少子化対策に向けた子育て当事者の課題解決では「身体的負担(疲労感)が大きいこと」「家事の負担が大きく、時間的余裕がないこと」「子どもをずっと見ていなければならず、安らぐ時間がないこと」の解決が重要である。
2. 子育て関連サービスの認知向上・利用拡大の余地は大きい。
3. 「急病への対応」「サービスの情報収集」「手続きのオンライン化」など、様々な場面で一定のサービス利用意向がみられた。
4. 費用負担が子育て関連サービスの利用意向を阻害する大きな要因になっており、認知の拡大も課題。
【背景】
2023年4月1日に設置されるこども家庭庁の創設を契機に、チルドレンファーストな社会の実現に向けた取り組みが加速されると同時に、子育ての当事者に対する支援も一層重要視されることが考えられます。特に近年は、社会環境の変化から、子育てに関わる当事者の置かれている環境や状況も多岐にわたるため、各々が求めるサービスを社会全体で支援していくことが我が国の少子化問題解決に向けた対策として必要になります。
そこで本調査では、子育て当事者の課題と子育て支援策のニーズを調査し、少子化問題の解消に向けて優先的に解決するべき子育ての課題、子育て支援策のニーズと利用促進策を明らかにしました。
【主な調査結果・考察】
1. 少子化対策に向けた子育て当事者の課題解決では「身体的負担(疲労感)が大きいこと」「家事の負担が大きく、時間的余裕がないこと」「子どもをずっと見ていなければならず、安らぐ時間がないこと」の解決が重要である。
真っ先に解決したい子育ての課題と、子どもを持つことに対する阻害要因と感じる課題を相関分析すると、両者には相関があるといえることが分かった。中でも「身体的負担(疲労感)が大きいこと」「家事の負担が大きく、時間的余裕がないこと」「子どもをずっと見ていなければならず、安らぐ時間がないこと」において真っ先に解決したい課題、子どもを持つことに対する阻害要因と感じる課題の割合が高いことから、子育て上、ひいては少子化対策に向けた課題解決では前述の3項目の解決が重要となることがわかった。
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図1. 少子化の観点から優先的に解決すべき課題(N=1029)
2. 子育て関連サービスの認知・利用拡大の余地は大きい。
子育てサービスの認知状況・利用状況を調査したところ、「料理、洗濯、掃除等の家事代行により、時間短縮・負担軽減につながるサービス」の認知度が最も高く、次いで「子育ての悩み共有・相談や、子育ての情報交換・勉強会の実施等、子育てに関する漠然とした悩みを解決するサービス」が高かった。一方で、多くのサービスにおいて「知らない」という回答が約半数およびそれ以上の割合を占めており、認知拡大の余地が大きいことが伺えた。
また、利用状況については、「子育ての悩み共有・相談や、子育ての情報交換・勉強会の実施など、子育てに関する漠然とした悩みを解決するサービス」が6.7%で最も高く、次いで「医師への相談や保育士等の専門家に対する悩み相談サービス」「子育ての一時預かりや病児保育、地域での見守り等、一時的に目を話すことができるサービス」など、悩み相談や一時預かりのサービスの利用割合が比較的高いことがわかった。
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図2. サービスの認知、利用の状況(N=1029)
3. 「急病への対応」「サービスの情報収集」「手続きのオンライン化」など、様々な場面で一定のサービス利用意向がみられた。
次に、サービス利用のない人に対して各サービスの利用意向を調査したところ、「子どもの急病時における医師の自宅駆けつけサービス」の利用意向が最も高く、次いで「あらゆる行政・民間のサービスが1つにまとめられ、そこからサービス情報を得たり利用ができるサービス(ポータルサイトのようなもの)」「子ども関連の行政手続きや、母子保健関連の各種情報について、オンラインで管理できるサービス」が高かった。これらのサービスはいずれも認知度が50%以下のサービスであった(PDF版調査詳細3-1参照)ため、認知度拡大によって今後の利用拡大が期待される。
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図3. サービスの利用意向(N=986)
4. 費用負担が子育て関連サービスの利用意向を阻害する大きな要因になっている。認知の拡大も課題。
子育て関連サービスを「使ってみたいと思わない」理由について調査したところ、「費用が高い/高そう」といった回答が全サービスにおいて突出して高い割合を占めた。
また、「その他、子育て関連サービスに関する要望や行政に期待すること」では、費用負担軽減を求める意見が多数を占め、費用負担がサービス利用の大きな阻害要因の1つとなっていることが伺えた。加えて、サービス認知向上に関する意見として、デジタル活用の有効性も確認できた。(表1)
以上の考察とサービス認知拡大の余地が大きい現状(上記2参照)を踏まえると、子育て関連サービスの利用促進策として費用面の補助とデジタル活用によるサービスアクセシビリティの向上が効果的であるといえる。
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図4. 各サービスを使ってみたいと思わない理由(N=1029)
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表1. その他、子育て関連サービスに関する要望や行政に期待すること(自由回答)<サービス利用阻害要因に関連する意見>
【結論(今後について)】
本調査の結果、子育てに関して解決したい課題として、身体的負担(疲労感)が一番多く挙げられた。また、家事負担や子どもをずっと見ている緊張感など、時間的な余裕が無いことについても解決したいと考える意見が多く、共働きや核家族化が当たり前になりつつある昨今において、子育てを行う人は日常的に心身ともに疲弊していることが改めて明らかになった。
一方、これらの負担を軽減する目的として提供されていると考えられる、家事代行や子どもの一時預かりなどの子育て関連サービスについては利用度が芳しくなく、理由として「費用面の問題がある」と回答した人がほぼ過半数を占めていた。心身ともに負担が強いられる一方で金銭的な余裕も無いことから、「サービスを使いたくても使えない」という状況が浮き彫りとなった。そのため、今後のサービス利活用の促進については、費用面の補助が一番効果的な手段であると考えられる。また、紙媒体によるサービス案内が主流であるため、サービスの存在自体の認知が十分でないことや、その他の手段によるサービスの周知不足により、サービスそのものが広く知れ渡ったり、活用するに至っていないという意見も見られた。
今後、自治体のホームページによるサービスの周知や子育て関連のポータルサイトの構築など、サービスへのアクセシビリティを高めるためのデジタル活用の検討も必要になるものと思われる。特に、家事分担をしている家庭や、親がデジタルネイティブとされる若年層である家庭においては、サービスの利用や利用意向が高いという結果が出ており、費用面の補助とデジタル活用によるアプローチは効果的であると考えられる。さらに、サービスの品質に対する安全性や個人情報等のセキュリティ面に不安を感じるという意見も少なからず見られるため、これらに対して行政や自治体が信頼性を担保することで、サービスの利用促進につながっていくものと考えられる。
上述の課題については、今後、新たに子どもを産むことに対する阻害要因となるという意見が過半数を超えている。これらの課題解決自体が少子化の抑制にも寄与するものと考えられるため、サービスの利用促進を含めた課題解決の方法に対する検討は今後ますます必要なものとなってくると考えられる。
> 調査結果はこちらから
https://www.nttdata-strategy.com/assets/pdf/newsrelease/230216/survey_results.pdf
【調査結果の利用について】
・本調査は、株式会社NTTデータ経営研究所とNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が共同で行っており、本調査結果の著作権は、株式会社NTTデータ経営研究所とNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が保有します。
・調査結果の一部を転載・引用される場合は、出所として「NTTデータ経営研究所/NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション」または「NTTデータ経営研究所/NTTコム リサーチ」と併記した上で、掲載日・掲載媒体・引用箇所などの情報につきましては広報担当までお知らせください。
・調査結果について、出所を明記せずに転載・引用を行うこと、データの一部または全部を改変することなどの行為はご遠慮ください。
・本アンケート調査の生データは提供いたしかねます。
プレスリリース提供元:@Press