• トップ
  • リリース
  • 法政大学島野教授の研究チームが、八重山諸島(石垣島と西表島)に生息する日本最大のヤスデであるヤエヤママルヤスデを新種記載

プレスリリース

  • 記事画像1

学校法人 法政大学

法政大学島野教授の研究チームが、八重山諸島(石垣島と西表島)に生息する日本最大のヤスデであるヤエヤママルヤスデを新種記載

(@Press) 2023年01月12日(木)15時00分配信 @Press

法政大学 自然科学センター・国際文化学部 島野智之教授と京都大学の研究チームは、2006年から未記載種のまま絶滅危惧種(絶滅危惧II類(VU))として環境省版レッドリストに掲載されていた、八重山諸島(石垣島と西表島)に生息する日本最大のヤエヤママルヤスデ(体色が赤と黒の美麗種)を、学名Spirobolus akamma(学名読み:スピロボルス・アカンマ)として新種記載しました。島野教授は2021年にムカデの日本最大種の新種記載にも加わっています。


【発表のポイント】
(1) ヤスデは落ち葉などの腐植などの有機物を餌としており、毒をもつ顎肢を持たず咬まれることはない。

(2) 日本最大のヤスデ(体長7.5cm)の「ヤエヤママルヤスデ」と呼ばれてきたマルヤスデ属Spirobolusの未記載種は、沖縄県・八重山諸島の石垣島と西表島、およびその間にある小浜島から記録されており、環境省版レッドリストに掲載され、絶滅危惧II類(VU)とされながらも、分類学的位置づけは長らく未解決であった。

(3) 形態学的および分子生物学的アプローチにより、本種をSpirobolus akamma Kato, Takano, Nakano and Shimano, 2023として新種記載を行った(学名読み:スピロボルス・アカンマ)。

(4) 学名の由来は、ヤスデが「馬陸(やすで)」とよばれること、本種が赤と黒の体色の美麗種であること、そして赤馬節として歌に歌われる八重山諸島の民話に由来している。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/341863/LL_img_341863_1.jpg
ヤエヤママルヤスデ(写真:島野 智之)

法政大学 島野智之教授は、2023年に日本最大のヤスデであるヤエヤママルヤスデ(ヤスデ綱)を京都大学などのチームと共に新種として記載しました。ヤスデ(ヤスデ綱)は、ムカデなどと共に多足亜門を構成しています。ムカデは一般に他の小動物を捕食するため顎肢に毒をもつことが多いです。しかし、ヤスデは落ち葉などの腐植などの有機物を餌としており、動きも比較的ゆっくりで毒をもつ顎肢を持たず咬まれることはありません。

ヤスデの英名はmillipedeであり、ラテン語で千(milli)の脚(ped)に由来するように、多足亜門の中でも体節が多く、1節あたり2対の脚をもっているのが特徴です。

これまで和名「ヤエヤママルヤスデ」と呼ばれてきたマルヤスデ属Spirobolusの未記載種は、沖縄県・八重山諸島の石垣島と西表島、およびその間にある小浜島から記録されており、環境省版レッドリストに掲載され、絶滅危惧II類(VU)とされながらも、分類学的位置づけは長らく未解決でした。

しかし、本種の保全を考える上で、分類学的に明確にすることは必要であるため、環境省レッドリスト委員である島野教授は、加藤大河京都大学理学研究科大学院生、中野隆文同准教授、高野光男氏(元レッドリスト委員)と共に、本種の分類学的研究を行いました。

本論文では、形態学的および分子生物学的アプローチにより、ヤエヤママルヤスデの分類学的位置づけを検討しました。形態は、前脚の形態、後脚の形態、および後脚の側縁に4つの鋸歯を持つ点で中国大陸や台湾の固有種とは異なっていました。核の28SリボソームRNA遺伝子、ミトコンドリアのCOI遺伝子及び16SリボソームRNA遺伝子の部分塩基配列の情報はSpirobolus属に所属している事を示唆しました。これらの情報に基づいて、本種ヤエヤママルヤスデをSpirobolus akamma Kato, Takano, Nakano and Shimano, 2023として新種記載しました(学名読み:スピロボルス・アカンマ)。

本種は、体長6.5cm〜7.5cmであり日本最大です。学名のakamma「赤馬(あかんま)」は、ヤスデの脚がたくさんの馬が駆ける様に動くことから「馬陸(やすで)」とよばれることと、本種が赤と黒の体色の美麗種であること、そして赤馬節として歌に歌われる八重山諸島の民話に由来しています。1670年頃の話で、おめでたいときに歌われる歌ではありますが、主人のことを慕う従順な赤い馬の悲しい物語でもあります。

本種は現地でも個体数が減少しており、今後、ますます保全の対象として、重要かつ貴重な種となります。


発表雑誌:Species Diversity(スピーシーズ・ダイバーシティ)誌
2023年1月12日(木)に公開

論文タイトル:Taxonomic Assessment of a Threatened Large Millipede Endemic to the Southern Ryukyu Islands, Japan: a New Species of Spirobolus (Diplopoda: Spirobolida: Spirobolidae) from the Yaeyama Islands(英文)

著者:Taiga Kato, Mitsuo Takano, Takafumi Nakano, and Satoshi Shimano
https://doi.org/10.12782/specdiv.28.23

プレスリリース提供元:@Press

このページの先頭へ戻る