プレスリリース
ベイン・アンド・カンパニーは、イタリアの高級品メーカーの業界団体であるアルタガンマ財団と共同で「2022年秋、世界高級品市場レポート」を発行しました。2022年の世界高級品市場規模は、現在の為替レート換算で売上高約1兆4,000億ユーロに達し、2021年比で21%の成長となる見込みです。
● 世界高級品市場は2022年に21%成長し、1兆4,000億ユーロに達する予測。個人向け高級品市場は22%成長し、3,530億ユーロ規模まで加速すると予測。
● 個人向け高級品市場は、世界的な景気後退を考慮しても、2023年は少なくとも3〜8%の成長が見込まれる。2030年には市場規模の拡大率が2022年比60%を超え、5,400〜5,800億ユーロに達する予測。
● 「Y世代」と「Z世代」が2022年も引き続き強力な成長ドライバーとして市場の成長を牽引。「Z世代」と「アルファ世代」の消費額は、2030年までに他世代の約3倍の速さで成長し、市場の3分の1を占める見込み。
世界の高級品市場にとって、2022年は経済状況や消費者市場が非常に不透明であったにも関わらず、大きな飛躍を遂げた年でした。また、本市場は現在進行中の経済的混乱に直面してもなお、来年、そして2030年まで拡大が続く見通しです。
特に個人向け高級品市場は、2021年のV字回復に続き、2022年はさらに成長しました。また、世界的なマクロ経済指標の悪化や、中国関連の不透明感が残ってはいるものの、2022年の売上高は、各四半期の好調な市場パフォーマンスに後押しされ、現在の為替レートで前年比22%増(恒常為替レートでは15%)の3,530億ユーロまで上昇すると予測されています。
経済の混乱が続いてはいるものの、高級品市場が2022年を通じて好調を維持したことで、約95%のブランドがプラス成長を記録するなど、大半のブランドが良好な結果を収めました。
ただし、高級品メーカー各社は将来に向けた成長投資を継続していることから、2021年の前例のない急伸と比較すると収益性はやや低下しています。
【2009年の世界金融危機時よりも手堅い成長が見込まれる2023年の高級品市場】
2023年には主要国での景気後退が予想されますが、向こう10年間における高級品の売上高・市場規模は拡大し続ける見込みです。
個人向け高級品市場の売上成長率は、中国の景気回復の強さや欧米の景気後退への耐性に左右されるものの、3〜8%になると予測されています。
【2030年までに市場成長率60%超を実現する技術革新と世代特有のトレンド】
2030年までの個人向け高級品市場の展望は非常に明るい見通しです。市場ファンダメンタルズは堅調で、新たな技術によって利益創出が期待できるため、市場規模は2022年の3,530億ユーロから、2030年末までに60%以上拡大し、5,400〜5,800億ユーロに達する見込みです。
2030年までの市場成長は世代特有のトレンドにより牽引されることが予測されます。2022年の市場成長はY世代とZ世代に大きく依存しており、今後2030年までの数年間、Z世代とアルファ世代による消費額は、他世代の約3倍の速さで成長し、市場の3分の1を占める予測です。Z世代はミレニアル世代より3〜5歳早く高級品を購入し始め(ミレニアル世代の18〜20歳に対し、Z世代は15歳)、アルファ世代も同様になることが予想されています。
上記のような世代別の特性は、2022年、さらには2030年までの高級品市場の発展に影響を与える主要トレンドの一つです。
【その他5つの主要トレンド】
● 既存市場が業界を牽引する中、新興市場も驚くべきスピードで成長
米国の高級品市場は好調を維持しており、欧州は米国や中東からのインバウンド需要に加え、欧州自体での堅調な需要により2019年の水準以上に復調していますが、業界に驚きをもたらしているのは新興市場です。東南アジアや韓国は、成長力とポテンシャルの点で既存市場に勝る存在となっています。
業界の成長への寄与という点で、「中国のような存在」が新たに現れる可能性はありませんが、インド、東南アジア、アフリカなどの新興国には、大きな潜在力があります。中でもインドの成長ポテンシャルは際立っており、若年層顧客の高級品に対する関心の高まりや行動変化に後押しされ、2030年までに高級品市場は現在の3.5倍にまで拡大する可能性があります。
中国の高級品市場は、2023年上半期から下半期にかけて復調する見込みです。
● オンラインチャネルの成長が常態化しつつある中、実店舗の存在感が回復基調
● 高級品市場の消費者は2022年の約4億人から2030年には5億人に拡大する見込み
● 「ポスト・ストリートウェア」の台頭により高級品の全カテゴリーで想定以上のパフォーマンスを達成
● 高級品とアートの融合
ベイン東京オフィスのパートナーであるゴヴァース健二は次のようにコメントしています。「日本の高級品市場は復調の兆しを見せており、水際対策の緩和により成長の加速が予想されています。コロナ禍により、高級品メーカーはインバウンド顧客よりも堅実で忠実な国内顧客の価値を「再発見」する必要に迫られました。各顧客向けにパーソナライズした購買ジャーニーを提供し、新たな購買体験を創出することに対し投資してきたことが、今後の店舗の役割や規模に影響を与えるでしょう。また、日本は他国にやや遅れを取っているものの、X世代やZ世代への注目はさらに高まる見通しです。」
【ベイン・アンド・カンパニーについて】
ベイン・アンド・カンパニーは、未来を切り開き、変革を起こそうとしている世界のビジネス・リーダーを支援しているコンサルティングファームです。1973年の創設以来、クライアントの成功をベインの成功指標とし、世界39か国64拠点のネットワークを展開しています。クライアントが厳しい競争環境の中でも成長し続け、クライアントと共通の目標に向かって「結果」を出せるように支援しています。ベインのクライアントの株価は市場平均に対し約4倍のパフォーマンスを達成しており、私たちは持続可能で優れた結果をより早く提供するために、様々な業界や経営テーマにおける知識を統合し、外部の厳選されたデジタル企業等とも提携しながらクライアントごとにカスタマイズしたコンサルティング活動を行っています。
商号 : ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド
所在地: 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー8階
URL : https://www.bain.co.jp
プレスリリース提供元:@Press