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学校法人 工学院大学 広報課

工学院大学、ホタテ殻廃棄物を活用したコンクリート部材を開発 炭素固定性に着目、CO2削減への貢献を目指す

(@Press) 2022年11月29日(火)14時00分配信 @Press

工学院大学(学長:伊藤 慎一郎、所在地:東京都新宿区/八王子市)の田村 雅紀教授(建築学科)は、高橋カーテンウォール工業株式会社との共同研究により、カーボンニュートラルへの貢献が期待できるプレキャストコンクリート(*1)部材向けのコンクリート調合を開発しました。ホタテ殻廃棄物の持つ、大気中の二酸化炭素を固定蓄積する性質(炭素固定性)に着目し、これまでのリサイクル用途と異なる、コンクリート製品の製造と建築物への展開を目指しています。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/336677/LL_img_336677_1.jpg
ホタテ貝殻置き場
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/336677/LL_img_336677_2.png
粉砕したホタテの貝殻砂
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/336677/LL_img_336677_3.jpg
建物に使用されるプレキャストコンクリートカーテンウォール(*2)

ホタテ貝殻は、主成分が炭酸カルシウム(CaCO3)で出来ています。海水中のCO2を吸収して成長し、貝殻の質量のうち約44%はCO2を内部に固定蓄積できるため、廃棄せずにプレキャストコンクリートへ再利用することにより、ホタテ殻が蓄積したCO2をコンクリート内部に固定し続けることが出来ます。従来、建築産業では、建物への用途として活用が期待されてきましたが、粉砕物が不均一であることなどにより十分に使用できず、これまでは土木用途での再使用に限られていました。
田村教授は、貝殻と、水や水硬性物質粉末を含む配合物を一定の割合で練りこむことで、カーテンウォール製品としての性能を満たすコンクリート組成物を開発しました。炭素固定性を持つ同コンクリート部材を用いた場合の製造過程では、基本調合に比べ約3割程度のCO2削減が可能になります。
国内の主要水産物であるホタテ貝は今後も安定生産が見込まれます。これまで大量に廃棄されてきた貝殻を建築物に活用することにより、CO2削減への貢献とともに、食と技術が接続されることで、SDGs14番のゴール、「海の豊かさを守ろう」にも貢献できます。田村教授は今後、プレキャストコンクリートカーテンウォールへの実用化に向けて、コンクリートの長期的な耐久性や、貝殻砂が保有する付加価値を検証していきます。


■研究概要
研究名 :炭素固定性を有する海洋生物殻廃棄物を用いた
PCaコンクリート部材の開発
研究実施機関:高橋カーテンウォール工業株式会社、工学院大学
特許情報 :名称 セメント組成物
出願者 学校法人工学院大学、高橋カーテンウォール工業株式会社
発明者 田村 雅紀、佐々木 哲也、斉藤 敬志
出願番号 :特願2022-024231
参考 :高橋カーテンウォール工業株式会社
公式サイト https://t-cw.co.jp/feature/cn/
・炭素固定性を有する海洋生物殻廃棄物を用いた
プレキャストコンクリート部材の開発
・2021年度日本建築学会 関東支部研究報告集 その1〜3
・2022年度日本建築学会 大会学術講演梗概集 その1〜3


*1 プレキャストコンクリート:工場で生産して現場に運びこめるコンクリート製品のこと。
*2 プレキャストコンクリート カーテンウォール:プレキャストコンクリートで構成される、建築物の内部と外部の空間をカーテンのように仕切る壁のこと。カーテンウォールは、高層建築物の外壁に欠かせない構法として定着している。

プレスリリース提供元:@Press

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