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山岳トンネルの切羽評価全11項目を自動評価「AI切羽画像評価システム」を開発

(@Press) 2022年11月21日(月)13時00分配信 @Press

安藤ハザマ(本社:東京都港区、社長:福富 正人)は、ICTにより山岳トンネル工事の生産性を大幅に高める取り組みとして、山岳トンネル統合型掘削管理システム(i-NATM(R))の開発を推進しています。その一環で、トンネル切羽の地質をAI・センシング等の手法を用いて評価する技術の開発を進めてきましたが(注1〜3)、このたび携帯端末を用いた山岳トンネルの切羽評価の全11項目(図3の横軸を参照)をAIが切羽画像から評価する「AI切羽画像評価システム」を開発しました。2021年10月から実現場(注4)での試行を開始し、当社の従来技術と同等以上の精度で切羽の地質を評価できることを確認しました。
また、切羽評価のうち3項目しか評価できない、評価結果の確認はPC上のみとなる、特殊なカメラや計測機器を搭載した計測車両が必要など、従来の評価技術で抱えていた課題を本システムで解決することで、さらなる業務の効率化も実現しました。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/335746/LL_img_335746_1.jpg
図1:AI切羽画像評価システムの構成図

1. システムの特長
(1)概要
本システムは山岳トンネルで実施している切羽観察シートの作成を自動化するものです。撮影した切羽画像から、切羽地質評価の全11項目をAIが画像から自動で評価します。さらに、評価結果から切羽評価点を自動で算出し、切羽観察シートを自動で出力します(図1)。
カメラ搭載の携帯端末であれば、OSや機種を問わずシステムの利用が可能です。端末を用いて撮影から切羽評価、切羽観察シートの出力までの一連の作業を、切羽から離れず数分で行うことができます。
さらに、国内に分布する主要な堆積岩種および火成岩種を含む、10種類の岩種別のAI評価モデルを作成しました。これにより、国内のほぼ全てのトンネル現場に本システムを導入でき、精度の高い切羽評価が可能となります。

(2)評価手法
デジタルカメラやスマートフォン、タブレットといった汎用のカメラ付き携帯端末で取得した画像を評価材料とします。インターネットを経由して取得した画像をサーバ上にアップロードし、サーバ上で切羽の評価を行います(図2)。評価プログラムには岩種別に10種類のAI評価モデルが搭載されており、現場に応じた岩種を選ぶことで最適な評価が可能となります。切羽評価の結果は、各発注者の様式に準拠した帳票出力が可能です。各評価項目の区分に加えて、切羽上の評価分布がヒートマップとして表示されます。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/335746/LL_img_335746_2.jpg
図2:携帯端末上のシステム評価画面イメージ

(3)評価精度
AI評価モデルを作成した主要な10種類の岩種について、評価精度の検証を行いました。
精度の指標には統計解析において精度を測る指標の一つであるf-1 Scoreを用いました。f-1 Scoreの最大値は1で、指標が1に近いほど精度が良いと評価できます。システムの評価結果を地質技術者の評価結果と比較した場合、全項目で0.7以上、最も高い項目では約0.9の精度で評価できることを確認しました(図3)。システムが評価した支保パターンと実績の支保パターンは全て一致しており、支保パターン選定の評価精度は100%でした。
本システムはAI評価モデルを更新する機能も搭載しているため、導入現場の地質状況に応じて、AI評価モデルを最適化できます。

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/335746/LL_img_335746_3.jpg
図3:AI評価モデルの評価精度(花崗岩モデルの例)

2. 現場試行
本システムを2021年10月より国土交通省東北地方整備局発注の国道13号横堀トンネル工事にて試行を開始しました。当工事には新生代第三期の火山岩および火山砕屑岩が分布しており、弾性波速度は0.8km/s〜2.2km/s程度となっています。2022年9月時点で160切羽の画像を取得しています。本システムと従来の目視観察との精度を比較するために、システムの評価区分による切羽評価点と目視観察の評価区分による切羽評価点との比較を行いました。運用当初は誤差が8%程度でしたが、AI評価モデルの更新とともに評価点の誤差は4%程度にまで減少しており、従来の切羽観察手法と遜色ない判定が可能であることが確認できました(図4)。

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/335746/LL_img_335746_4.jpg
図4:システムによる評価点と目視観察による評価点の比較(抜粋)

3. 今後の展開
本システムが適用可能なトンネル工事への一層の導入を進めるとともに、導入現場で取得した切羽画像を用いて岩種別のAI評価モデルの改良を行い、評価精度のさらなる向上を図ることで、山岳トンネル工事の生産性の向上を進めていきます。


(注1) 安藤ハザマ2016年9月20日リリース資料を参照
山岳トンネル切羽の地質状況を人工知能により自動評価
https://www.ad-hzm.co.jp/info/2016/20160920.php
(注2) 安藤ハザマ2018年2月2日リリース資料を参照
マルチスペクトル画像を利活用した地質状況自動評価システムの構築
https://www.ad-hzm.co.jp/info/2018/20180202.php
(注3) 安藤ハザマ2019年12月11日リリース資料を参照
山岳トンネル切羽の地質を自動判定
https://www.ad-hzm.co.jp/info/2019/20191211.php
(注4) 試行現場
工事名 :国道13号 横堀トンネル工事
発注者 :国土交通省東北地方整備局
工期 :2021年3月12日〜2023年3月23日
トンネル延長:684.0m
内空断面積 :100m2

プレスリリース提供元:@Press

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