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商品をつくるだけで終わりじゃない!ビル用商品の施工管理と業界の課題「人手不足」への取り組み

(PR TIMES STORY) 2023年06月28日(水)16時28分配信 PR TIMES

YKK APは、住宅用の窓や玄関ドアだけでなく、ビル用のサッシやカーテンウォール(以下CW ※)なども製造しています。これらの商品は住宅やビルなどに取り付けることで初めて機能を持つため、商品そのものと同様に、施工が品質に大きくかかわってきます。

今回は、ビル建材第一事業部 名古屋支店 施工管理グループの堀 恭時グループ長に、ビル建設に携わる一員として、どのように品質管理を行っているか、建設業界の課題である人手不足や高齢化に対する人材育成や技術伝承などの取り組みについて聞きました。


※「カーテンウォール(CW)」とは、高層ビルなどで用いられる、建物の構造に寄与しない、カーテンのような外壁のこと。柱と梁を主要な構造体として、その構造体にアルミやガラスなどの材料で構成される外壁。YKK APは今年4月、「グローバルCW本部」を新設し、国内外のカーテンウォール事業のさらなる強化を図っています。


施工現場での堀(左端)

ビル建設現場での施工管理の仕事とは

ビル建設は、大工工事や左官工事など27種の様々な専門職種が参加し、その技術を組み合わせて完成します。その中で、YKK APはサッシやCWを製造し、施工計画を立て、実際に商品を施工するまでの役割を担っています。

実際にサッシやCWの取り付けなどを行うのは「施工技能者(以下、技能者)」たちですが、YKK APは「建具工事業者」として、施工管理のエキスパート「施工管理者」を全国の工事現場に配置し、商品が安全に正しく設置されるように指導・管理しています。

YKK APには、この施工管理者が252名(2023年4月現在)在籍し、施工現場の安全管理・工程管理・品質管理を行っています。また、サッシ・CW施工を通してより良いビル建設に貢献するため、技能者たちとの協力関係も構築しています。

施工管理の目的は大きく4つ

1. 安全管理:災害を未然に防止する

2. 品質管理:品質を確保した施工を行う

3. 原価管理:工事費の低減を図る

4. 工程管理:決められた工期内に完成させる

それぞれ互いに関連しているため、どれか一つが欠けると品質の良いサッシ・CW施工はできません。ひとつひとつの意味や目的を理解することが重要になります。

更に昨今では、環境に配慮して工事を行うことも求められるようになり、施工現場で「3R運動」と呼ばれるReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の実施や、工場出荷時に梱包資材を削減するなどの取り組みも行っています。


安全別格

この中でも特に「安全」は別格です。大型のCWは1ユニットで何百kgと重さがあるため、決められた作業手順を守らなかったり、慣れからくる気の緩みなどがあったりすると大きな事故にもつながります。そのため、施工計画書を事前に作成しその手順を守ることで、不安全行動や不安全な状態を無くすようにしています。また、現場パトロールを行って「こういうところ気をつけるように」など、細かく指導したり声掛けを行ったりしています。些細なことではありますが「安全意識」は日ごろの心構えが大事ですので、ダメなところを指摘するだけでなく、ちゃんとできていることも含めて声をかけることで、注意喚起や意識付けにつながると考えています。朝礼では、ほかの現場も含めた事故事例を共有し、労働災害ゼロを目指しています。また、より安全な施工方法の提案も私たちの仕事です。

技能者集団「YKK APグループ施工協力会」との良好な関係がカギ

ビル用のサッシやカーテンウォールを正確に建物に取り付けるには、高い技術力が必要です。YKK APでは、高い技術力を持った全国の技能者の方々と共に、“YKK APグループ施工協力会”を1992年に発足。全国で490社2,087人(2023年4月時点)が加盟し、全国の支部組織で活動しています。施工協力会との良好な関係の継続が、施工品質の維持向上に不可欠です。そのため、会員とは「元請け/下請け」という関係ではなく、YKK APは事務局という立場で技能者たちと一体となり、サッシ・CW施工によってより良い建物をつくるために協力して最終施工品質を確保しています。


YKK APグループ施工協力会の野々山 良会長(株式会社ホヅミ 代表取締役社長)は「施工協力会と施工管理者は、“工期に間に合わせる、大きな問題も事故もない、また依頼してもらえるような仕事をする”という同じベクトルで取り組まないと、絶対に良いものはできません。同じ会社にいるかのようにやっていく必要があります」と言います。「一昔前は、ただひたすら現場を終わらせることが目的でしたが、今は若手育成や新しい施工方法を試すなども、一緒になって試行錯誤しています。安全を確保し施工能力をあげながら、どうしたら利益を出せるかなどの相談を堀さんにすると、色々提案してくれます。施工管理者のやる気がないと、施工効率が上がりません。そういったマネジメントも含めてやってくれるので、良い協力関係になっています」と話してくださいました。

左:野々山会長、右:堀           野々山会長

施工管理者や技能者の人手不足と高齢化が大きな課題

そんなビルの建設業界において課題となっているのが、施工管理者と技能者の高齢化と人手不足です。次世代を担う若手を育てていきたいと思うのですが、建設現場は「きつそう」というイメージが大きいのか、なかなか若い人が入ってこず、事業を継続していく上で大きな課題となっています。危険が伴う作業ですし、朝早くから夜遅くまでの仕事になる場合もあり、休みが少ないことなども、若手が興味を持ってくれない原因になっていると思います。でも、課題である一方で逆にチャンスかもしれない。若い人が入ってくればチャンスが広がるのではないかと思っています。そのためにはまず若い人を雇用すること、そして入ってくれた人をどう定着させるかを考えていく必要があります

技能伝承と人材育成の取り組み

この課題に対応すべくYKK APと「施工協力会」は、2013年度より若手育成を目的とした「施工技能修練伝承塾」を立ち上げました。確かな技術を鍛え、磨き、伝承する教育機関をつくり、人手不足や技能者の高齢化により難しくなっている技能伝承をサポートしています。2015年には、施工技能だけでなく事業経営などの次世代を担う若手人材の育成と確保を目的とした「青年部」を設立し、技能継承と人材育成に注力しています。


特に技能者について「青年部」を立ち上げた野々山会長は、「これらの育成活動だけでなく、若手が離職しないようにするためには、休みの確保、福利厚生や退職金制度の整備などの働き方改革も必要です」と話してくださいました。


若手にチャンスを与えることも大事です。ビル建設の工程はきっちり固められているので、育成になかなか時間を割けないだけでなく、ベテランより作業に時間のかかる若手が経験できるチャンスが少ないのが現状です。そんな中でも施工管理が発注元の建設会社と折衝して工程を確保する。そういうことも我々の仕事だと思っています。ベテランができるのは当たり前なので、経験が浅い若手にも現場を任せていかないと育ちません。経験の浅い若手に任せると、うまくいかないこともあり我々に色々な話が入ることもありますが、実際に経験することが若手育成につながるので、成長の場にできればと考えています。


過去に、野々山会長の会社の若手社員が現場で不安全行動をしてしまい、会長から「この子を現場から外す」と言われたことがありました。施工管理の立場としては人員の配置転換で対応できたのですが、それでは育成の視点では意味がない。厳しい目で見られることになりますが、そのような状況に身を置くことで意識向上になり、成長につながると考え、会長に「もう一回チャンスを与えて下さい」とお願いしました。私からは、1つの仕事を受注するのには色々な人が携わっていることや、お客様との信頼関係で仕事が成り立つことなどを説明して仕事への意識を高め、責任感を持ってもらえるように努めました。その若手は、それからはルールを守って頑張っています。


あとは、現場に行った時には、若手に「これが出来るようになったね」とか「こういうことに気を付けたほうがいいね」などの声掛けをするように意識していますね。

施工管理の仕事の魅力

自分の携わったものが目に見える形として残るのが、この仕事の一番の魅力だと思います。友達や親に、「このビルを自分が担当した」と言えるんです。仕事なので辛いことも当然たくさんあるのですが、街のランドマークになるような建築物に携われるのは達成感もありますし、楽しいことも多いですよ。

我々の役割で一番大事なのは、我々の代で終わらないように、次世代に繋いでいくことです。そのためにも、憧れられるような存在になることが目標です。そして今後も、技能者のみなさんと協力をしながら、後世に残る良い建物を作っていきたいと思います。

施工技術の進化と今後

YKK APでは、安全確保はもちろん、品質と精度の確保や施工工程を短縮するため、施工省人化、簡易施工方法の考案、ロボットの活用などのチャレンジも進めています。そして今後は、業務の効率化や工程管理、若手指導のためにITを取り入れた取り組みも進んでいくと思います。

また、ハード面での進化と共に、働きやすい環境づくりも必要だと感じています。“YKK APグループ施工協力会”の技能伝承や若手育成の取り組みや働き方改革を、業界の課題解決や意識改革につなげていければと思います。そして、時代に合わせて建設業界の労働環境が変わっていく事で、若い人にもビル施工に興味を持ってもらえるようになることを期待しています。


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