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株式会社シンギュレイト

組織体質がイノベーション創出の鍵。イノベーティブな組織体質への変革を支援する「イノベーション・サーベイ」が生まれるまで

(PR TIMES STORY) 2023年07月20日(木)13時17分配信 PR TIMES

株式会社シンギュレイト(以下、当社)は、ピープルアナリティクスの技術を用いて組織開発を支援しているサイエンスカンパニーです。代表の鹿内は、10年ほど認知神経科学の基礎研究に従事してきた研究者。2015年からビジネスサイドに軸足を移し、2016年に「信頼によって人と人をつなげ、多様性のある組織を増やす」をミッションに、「信頼」に基づく組織開発を提供する当社を創業しました。


当社は2022年9月に、イノベーションを生み出す組織開発を支援する組織診断サーベイである「イノベーション・サーベイ by Cingulate」をリリースしました。エンゲージメント向上ではなく”イノベーション創出”を目的においた組織診断サーベイはどのように生まれたのでしょうか?


このストーリーではイノベーション・サーベイの開発過程と、プロダクトに込められた想いを代表の鹿内が振り返ってお話しします。

研究者時代からサラリーマン時代までに感じた閉塞感

イノベーション・サーベイの原点は、私の研究者時代にまで遡ります。まずは、解決すべき課題を見つけた話からお話しましょう。


研究者時代の鹿内(眼球運動の計測中)


私は京都大学などの研究機関で、約10年間、認知神経科学の基礎研究に従事していました。その当時に感じていた課題が「若手が新しい研究を始めることが難しい」という環境に対する課題です。


研究を始めたくても論文の数などの実績がないと、研究予算が得られなかったり、申請書が通らなかったりする状況で、研究を始めることが困難な環境でした。特に新しい学際的分野では実績を作ること自体が難しく、若手にとってはさらに厳しい状況。私もその1人であり、言葉では言い表せない閉塞感を感じていました。


そんな閉塞感をアカデミアの世界に感じながら、私は2015年からビジネスの世界へと軸足を移すことになります。そして、ビジネスの世界でも同じ閉塞感を感じることになるのです。


サラリーマン時代の鹿内(イベント登壇)


入社した会社は業界大手の人材会社で、これまでに様々な新規事業を生み出している会社でした。私はその企業の新規事業部門で働いていましたが、そこで感じたのは新規事業部門の肩身の狭さです。新規事業を作ろうと頑張っていても、企業内ではあまり評価されない雰囲気が漂っていました、多くの新規事業を生み出してきた企業にも関わらず......。イノベーションを生み出そうと頑張っていても報われづらい、という環境にまたしても閉塞感を感じることになりました。


現在の日本は、イノベーション創出が課題とされています。これに対して私は、アカデミアとビジネスの両方における経験から、その課題の原因は「イノベーションが生まれづらい環境であること」だと考えました。これが、イノベーション・サーベイを開発したきっかけとなる課題発見の話です。

「信頼」というテーマとの出会い


続いて、イノベーション・サーベイの核となった「信頼」との出会いについてお話します。これは、ある人と会ったことがきっかけでした。


ある人とは、社会心理学者である山岸俊男さん。山岸さんは、紫綬褒章を受章するなど日本の社会心理学者の第一人者です。そんな山岸さんの研究の中に「信頼」がありました。山岸さんのいう信頼とは、「不安のある状況でも、相手に任せようと思える期待」を意味します。これが本来の信頼(Trust)の意味であり、世界価値観調査という世界的な調査でも使われている指標です。


この信頼の値が高い人には、2つの特徴があることが山岸さんの研究によって知られています。


  1. 新しい関係をつくる関係構築能力
  2. 高い感受性・他者の行動予測能力


の2つです。イノベーションは、多様な人との関係・関係性の中で生まれます。多くの人との関わり合いの中で、1つのイノベーションという成果を生み出す過程には、良い意味でも悪い意味でも想像を超える人の行動もあります。そんなイノベーション創出の過程において、信頼の持つ2つの特徴は非常に重要なのです。


山岸さんとの出会いを通し知った「信頼」。この「信頼」というワードは、山岸さんとの出会い以降、頭の片隅にいつづけることになります。これがイノベーション・サーベイの核にある”信頼”との出会いです。


似た言葉に、安心・安全(Relief,  Security)があります。組織開発では、心理的安全性という言葉が近年注目を集めています。チームの中で、安心・安全をつくる努力は奨励されるべきですが、実はそれだけではイノベーションには届かないのです。信頼が万能だとは思いません。しかし、安心・安全だけがイノベーションにつながる方法ではないのです。「信頼すべきか?安心・安全をつくるべきか?」ぜひ考えてみてほしいと思います。

信頼サーベイの開発、そしてイノベーション・サーベイへ


イノベーション・サーベイの開発に着手したきっかけは、シンギュレイトが提供しているもう1つのサービス”Ando-san”にあります。Ando-sanは、1on1における話し方・聴き方を可視化し、マネージャーの1on1スキル向上、1on1を受けるメンバーの成長を支援するサービスです。イノベーションが生まれやすい組織にするために、個人から組織を変えていくサービスといえます。それに対して、Ando-sanによって変わるであろう組織全体の変化を可視化するサービスがほしいと考えたのが、イノベーション・サーベイ開発のきっかけです。


サービス開発の初期に悩んだのは指標でした。そんな折に頭の片隅に残っていた「信頼」が結びついたのです。私の考える1on1の目的は、メンバーの主体性を引き出すこと。その過程でマネージャーとメンバーは相互に信頼することが必要になります。実は、マネージャーが持つ信頼(部下への期待)と部下が持つ主体性は、表裏一体です。であれば「信頼」を測ることが、1on1が組織に及ぼした変化の指標に使えるのではないか?と考えました。


そして生まれたのがイノベーション・サーベイの原型である「信頼サーベイ」です。そんなとき、とあるお菓子メーカーからサーベイ分析の依頼を受けます。


イノベーション創出を目指していたお菓子メーカーは、イノベーション創出に向けた示唆を得ようと既存の組織サーベイのピープルアナリティクスに取り組んでいました。そして私は分析を進めていく中で、1つの課題にたどり着きます。それは、イノベーション創出に資するデータがその既存の組織サーベイからは得られない、ということです。


そこで、信頼サーベイを提案しました。信頼はイノベーション創出に必要な力を持っており、お菓子メーカーの要望にマッチすると考えたからです。ただ、コンセプトに悩んでいた段階でしたし、細かい部分では穴だらけ。コンセプトは、エンゲージメントなのか、イノベーションなのか、はたまた、心理的安全性なのか、様々な議論がありました。ただ、そのお菓子メーカーは、イノベーション創出に強いこだわりを持っていたのです。そのこだわりのおかげで、信頼サーベイのコンセプトは明確になり、そして度重なる議論の末に、イノベーション・サーベイは完成しました。まさに、顧客と一緒に作り上げたサービスなのです。

イノベーション・サーベイの3つのこだわり

イノベーション・サーベイは、組織の中にある信頼を計測して、イノベーティブな組織に向けた組織開発を支援する組織診断サーベイです。開発の中では特に3つのポイントにこだわりました。

(1)3つのレベルでわかるイノベーション組織指標

イノベーションを生み出すためには、多様な人との関係・関係性が重要です。そこで、イノベーション創出のために巻き込むべき相手を3つに分類し、イノベーション創出の可能性を3つのレベルで知ることができる設計にしています。


チームワーク指標は良いけれど、部署横断のコラボーレション指標になると急激に数値がさがってしまうケースがあります。「部署の一歩外に出ると、別の会社」となってしまうような状態です。これでは、大きなイノベーションは生まれません。チーム内だけでなく、他部署、さらには他社や顧客をも信頼できる組織体質がイノベーションには重要です。

(2)組織体質を変えるためのヒントがわかる

サーベイを実施しただけで施策に落とし込めなければ、従業員に負担をかけるだけの施策になってしまいます。そんな状態を避けるべく、人事がアクションを起こしやすい分析レポートを意識して作成しました。分析レポートを見ることで、どの部署から手を付けるべきか、どの項目を改善すべきかがわかるようになっています。

(3)学術的根拠に基づき設計された確かなサーベイ

世にある組織診断サーベイの中には、品質評価がされていないものがあります。そのような組織診断サーベイは、”占い”といっても過言ではない代物です。イノベーション・サーベイは、組織や信頼の科学で蓄積されてきた学術的根拠を基礎に設計。また、心理学で培われてきた質問票作成のデータ分析技術を用い品質評価を行い、品質を担保しました。

イノベーションを目指す、すべての企業・組織へ


イノベーション・サーベイは、新規事業に取り組み、イノベーション創出を目指す全ての企業にお使いいただきたい組織診断サーベイです。また、DXなどに取り組み、生産性をあげようと努力されている企業にもご活用いただきたいと考えています。組織体質が悪いと、いくら生産性向上のための施策をやっても、施策の効果は得られないという研究結果もあります。まずは、組織体質の改善が、近道なのです。


また、組織体質の改善を目的とした活用ではなく、ワーケーション施策の効果検証として使われている事例もあります。実際に、ワーケーションをやったチームは、「信頼」が高くなるなど、ワーケーションが人事的なイノベーション指標に良い効果があるということがわかってきました(一時的な効果ではあると想定されます)。当初想定していた活用方法ではありませんでしたが、新しい取り組みを評価する指標としてイノベーション・サーベイは活用できるということは、顧客が教えてくれた事の1つです。


イノベーション・サーベイはこれが完成形ではありません。現在は、半年に1回のサーベイによって半年に1回、組織状況をモニタリングしている状態ですが、ほぼリアルタイムにモニタリングできる仕組みを開発中で、基礎研究として京都大学との共同研究も進んでいます。シンギュレイトはサイエンスカンパニーです。サイエンスカンパニーだからこそのサービス品質を次のステージに上げる研究開発をこれからも進め、私たち自身もより大きなイノベーションに向けて歩んでいきたいと思います。


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