プレスリリース
O-RAN仕様に基づくマルチベンダー接続試験で従来比20%超の省電力効果を実証
当社は、O-RAN仕様に基づくネットワーク運用管理装置(SMO)(注1)「Virtuora Service Management and Orchestration」(以下、「Virtuora SMO」 バーチュオーラSMO)に、ユーザーの位置情報の分布をもとに通信トラフィックを推定する当社AI技術を適用した省電力アプリケーション(注2)を搭載し、RAN装置との接続試験を2023年11月に実施した結果、基地局ごとにトラフィックを推定する従来手法に比べ20%以上の省電力効果を実証しました。あわせて、大手通信ネットワーク測定器ベンダーである米国VIAVI Solutions Inc.(以下、VIAVI)のO-RAN仕様に基づいたRAN装置との接続試験も行い有効性を検証しました。
本接続試験結果は、O-RAN ALLIANCE(注3)がO-RANのエコシステム拡大を目的に主催した国際イベント「O-RAN ALLIANCE Global PlugFest(注4) Fall 2023」において、11月29日にO-RAN ALLIANCEに報告され、今後より詳細な情報がPlugFest Virtual Showcase として公開される予定です。
今後、当社は、マルチベンダー対応によるOpen RANのエコシステム形成および高度化をグローバルに推進し、通信キャリアの運用維持費の削減や新規サービス展開の早期化に貢献するとともに、さらなる省電力化を実現することで、カーボンニュートラルなネットワーク運用を目指していきます。
【接続試験について】
1. 実施日:
2023年11月17日
2. 場所:
「O-RAN ALLIANCE Global PlugFest Fall 2023」の北米のホストかつ認証機関であるラトガース大学 COSMOSラボ
(米国ニュージャージー州)
3. 実施概要:
・O-RAN ALLIANCEが定めた仕様(O-RAN仕様)に基づき、当社SMO「Virtuora SMO」とVIAVIの検証装置との相互接続試験を実施し、マルチベンダーでの相互接続、およびエンドツーエンドでの接続評価(注5)を実施し、有効性を検証。
・当社SMO「Virtuora SMO」には、通信トラフィックを推定する当社のAI技術を適用した省電力アプリケーションを搭載し、消費電力評価試験にて、従来手法と比較して20%以上の省電力化を実証。
4. 試験内容と各社の役割:
接続試験は、省電力アプリケーションをはじめ、Closed RAN(注6)やOpen RAN、マルチRAT(注7)の共存を可能とするRAN統合制御機能「Virtuora Mobility Controller」などを搭載した当社SMO「Virtuora SMO」と、Open RAN RIC(注8)、xApps(注9)、rApps(注10)を検証するためのAIトレーニング、テスト、測定を提供するVIAVIのRIC Tester「TeraVM RIC Test」からなる検証設備を構築しました。当社はマルチベンダーでの接続評価、VIAVIはRANシナリオの生成と省電力の分析監視を主に担当し、検証にアドバイザーとして参画したAT&T Communications(以下、AT&T)などのオペレーターは、オペレーター視点でのテスト項目や運用観点でレビューを行い、AT&Tなどの評価のもと、接続試験を実施しました。
今回、マルチベンダーでの相互接続試験、およびエンドツーエンドの接続評価が成功したことにより、当社SMO「Virtuora SMO」には他社のRAN装置との接続能力があることが実証されました。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/93942/224/93942-224-64d3b549c9da203a4202addd97d8ef75-950x612.png ]
5. 省電力アプリケーションに搭載した当社の通信トラフィック推定AI技術:
本接続試験で使用した「Virtuora SMO」には、当社のAI技術を適用した省電力アプリケーションを搭載しました。適用したAI技術は、ユーザーの位置分布データをもとに、100 m四方の細かいエリア単位で通信トラフィックを時系列に予測するアンサンブル時系列予測技術と、エリア単位ごとにカバーしている複数基地局の中から、スリープするセルと起動するセルの組み合わせを選択し、最も省電力効果の高い組み合わせを迅速に切り替える組合せ最適化技術で構成しています。本AI技術を適用した省電力アプリケーションを使用することにより、数百mから数km四方を単位とする基地局ごとのセル単位でトラフィックを推定する従来手法と比較して、20%以上の省電力化を実現しました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/93942/224/93942-224-e56ae43f5f7b46f5c1da3b2c85888408-950x417.png ]
【商標について】
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
【注釈】
注1
ネットワークサービス運用管理装置(SMO):
O-RAN アーキテクチャにおいてService Management and Orchestration(SMO)で定義されるRANの運用や保守の最適化、ライフサイクルを管理するシステム。
注2
省電力アプリケーション:
この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」(JPNP20017) の委託事業の結果得られたものです。
注3
O-RAN ALLIANCE:
2018年に設立された無線アクセスネットワークがオープン、インテリジェント、かつ仮想化され、完全に相互運用可能にするというミッションを持つ業界団体。
注4
O-RAN ALLIANCE Global PlugFest:
テストやインテグレーションを通じてO-RANエコシステムの効率的な進展を図るO-RAN ALLIANCEが主催する定期的なイベント。ベンダーとプロバイダーが協力して、製品とソリューションをテスト、評価、検証し、O-RAN仕様に従った異なるベンダーの基地局装置の相互接続性の結果を共有。「O-RAN ALLIANCE Global PlugFest Fall 2023」は、24の主要オペレーター、Open Testing and Integration Centre (OTIC) 、および独立機関によって共催され、2023年9月から11月にかけて、アジア、ヨーロッパ、北米の16の研究所で実施。52の企業や機関が参加し、その多くが複数の会場で参加。本イベントはオープンで相互運用可能なインターフェースの統合だけでなく、O-RAN Radio Intelligent ControllersをベースとしたインテリジェントなRANソリューションの進展に重点が置かれた。
注5
エンドツーエンドでの接続評価:
ここでは、VIAVIのRIC TestでシミュレートしたvRAN基地局装置、端末までを接続したSMOとの通信品質試験を示す。
注6
Closed RAN:
ここでは、O-RAN準拠していない固有インターフェースを使用した無線基地局を示す。
注7
マルチRAT:
複数の無線アクセス技術(Radio Access Technology)で、LTE、3G、GSMなどを示す。
注8
RIC:
Ran Intelligent Controllerの略でRANのパラメータ設定や運用の最適化を自律的に実行・制御するコントローラー。
注9
xApp:
各種情報の分析や制御ポリシーに基づいて、RANデバイスを高速かつ最適に制御する機能を提供するアプリケーション。xAppはNear-Real-Time RAN Intelligent Controller (Near-RT RIC)で動作する。
注10
rApp:
リソースの最適化やRANからの運用データに基づくRANの運用管理を高度化および自動化するアプリケーション。rAppはNon-Real-Time RAN Intelligent Controller (Non-RT RIC)で動作する。
【関連リンク】
「Virtuora SMO」プレスリリース(英文)
Fujitsu Unveils Virtuora(R) Service Management and Orchestration for Intelligent, Resilient and Robust Network Service Delivery
(https://www.fujitsu.com/us/about/resources/news/press-releases/2022/fnc-20220928.html)
【当社のSDGsへの貢献について】
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/93942/224/93942-224-bc30d9e61dc79cc1cbd1168ec29a7720-196x112.png ]
2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)は、世界全体が2030年までに達成すべき共通の目標です。当社のパーパス(存在意義)である「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」は、SDGsへの貢献を約束するものです。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/93942/224/93942-224-8e07ff998162fcdfedfa06a2b688f6e9-184x184.png ]
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