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株式会社ポケットマルシェ

【事後レポート】「一次産業が直面する気候変動」をテーマに生産者トークセッションを開催 岡山県のぶどう農家と福井県のサバ養殖漁業者が登壇、気候変動に関する生産者調査結果も当社より発表

(PR TIMES) 2022年03月28日(月)10時15分配信 PR TIMES

調査では「約9割の生産者が、生産活動において気候変動の影響を感じている」という結果に

生産者と消費者をつなぐ国内最大級の産直アプリ「ポケットマルシェ(ポケマル)」を運営する株式会社ポケットマルシェ(本社:岩手県花巻市、代表取締役:高橋 博之、以下「当社」)は、2022年3月8日(火)に、生産者2名と当社代表高橋による「一次産業が直面する気候変動」をテーマとしたトークセッションを開催しました。同時に、生産者531名から回答を得た、気候変動に関する調査結果を当社より発表しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/46526/102/resize/d46526-102-b76c479cc631d56236c4-0.jpg ]


【当社発表の生産者調査結果】
■ 約9割(91.1%)の生産者は、生産活動を行っている時に気候変動の影響を感じている
[画像2: https://prtimes.jp/i/46526/102/resize/d46526-102-dac971a4c197c000b0ca-1.png ]


当社が生産者を対象に2021年11〜12月に行った調査では、「あなたが生産活動を行っている時に、気候変動の影響を感じますか?」という問いに対して、531名の生産者のうち、91.9%にあたる484名が「感じる」と回答しました。

さらに、具体的な事例を尋ねたところ(注)、多く挙げられた環境の変化は、「温度(気温・海水温)」と「雨」に関する事象でした。「温度(気温・海水温)」については、40%が「上昇」への言及だった一方で、「低下」に言及する回答も2%ありました。「雨」については、「豪雨」や「長雨」といった雨量の増加に言及した回答が、29%と多く見られました。

また、生産への影響の事例は、農産物の着色遅延や、家畜の斃死といった「収量や質の低下」が19%と最も多く挙げられました。次いで、播種・開花・受粉・収穫などの「生育時期のずれ」への言及が14%という結果になりました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/46526/102/resize/d46526-102-6aac084425ad3400cf5c-2.png ]

[画像4: https://prtimes.jp/i/46526/102/resize/d46526-102-d0fde17a352d94cd3a28-3.png ]


注:「どのような時に気候変動を感じるか、具体的に教えてください」という設問に対する自由回答を当社で分類。

■ 調査概要
調査方法:インターネット調査
調査期間:2021年11月25日〜12月3日
調査対象:2021年11月時点で「ポケットマルシェ」へ登録済の生産者
回答人数:531名

【トークセッション「一次産業が直面する気候変動」の内容】
ぶどう農家の林慎悟さん(岡山県岡山市・林ぶどう研究所)、サバの養殖を営む横山拓也さん(福井県小浜市・田烏水産株式会社)に登壇いただき、「一次産業が直面する気候変動」をテーマにトークセッションを実施しました。当社代表高橋がモデレーターを務め、自然環境の変化が生産に及ぼす影響や、必要な取り組みをお聞きしました。

■ 林さんから
[画像5: https://prtimes.jp/i/46526/102/resize/d46526-102-9a845c4d469076f3f235-4.jpg ]


<自然環境の変化による生産現場への影響>
写真のぶどうは、本来紫色になるはずなのに、高温の影響で着色が進んでいない。
[画像6: https://prtimes.jp/i/46526/102/resize/d46526-102-9faa28dbbdf49e37d453-5.jpg ]


特に4〜5年前からこのような症状が増えており、明らかに生産技術が高い生産者の農園でも見られるようになっている。

<自然環境の変化に対する取り組み>
今まで栽培されてきた品種が現在の自然環境に合わないものになってきているので、新しい品種を作り、生産現場にあてがっていかなければならない。そうすることで、生産者は安定的に生産して収入を得ることができ、その結果、消費者の食卓へ継続的に食べものを届けることができる。

そのような考えに基づき、農業を始めた当初から品種改良を進めている。生産物が画一的になってしまうと、環境が変化する中で激減してしまう可能性がある。多様性があれば、ある品種がだめになってしまっても、他の品種が生き残るかもしれない。品種をいくつか作ってリスク分散を行うべきであると、私は生産者や消費者に常々伝えている。

ただ、品種改良によって生産現場を下支えしただけでは、気候変動にまつわる農業の問題が消費者まで浸透しないと感じている。生産現場と消費者との間に距離がある上に、農業は興味があってもなかなか入りづらい業界であると感じている。このような考えから、「おかやま葡萄酒園」という新しい事業を2021年に立ち上げた。耕作放棄地にワイン用のぶどうを植えるところから、その管理までを農業やワインに興味のある一般の方に担っていただく取り組みで、自分が苗木から育てたぶどうで「マイワイン」を作ることができる。自分ごととして生産過程に関わる体験を通じて、農業の大変さやその中にある楽しさ、さらには自然環境の変化までをも体感してもらい、生産者と消費者の距離を縮めたい。

■ 横山さんから
[画像7: https://prtimes.jp/i/46526/102/resize/d46526-102-a850e1e1d414fe22cadd-6.jpg ]


<自然環境の変化による生産現場への影響>
気象庁のデータによると、日本近海の海面水温平年差(その年の数値と平年値との差)は2000年以降底上げされており、近年は水温が上昇し続けている。エリア別に見ると、日本海中部の海域平均海面水温(年平均)の上昇率(℃/100年)は+1.75℃だった。上昇幅が小さいと思われるかもしれないが、変温動物である魚にとって、2℃近く上昇するということは、人間でいうと20℃近く上昇しているようなものである。

そのような環境下で、30℃を超えるような高海水温の日があった2020年に、当時養殖していた約7000尾のサバのうち、約4500尾が1週間で死んでしまった。

<自然環境の変化に対する取り組み>
調査の結果、高海水温でサバが死んでしまうのは、酸欠状態になっているためだと判明した。翌年は、1つの生け簀で育てるサバの数を減らすことで、海水温が高い7〜9月を乗り切った。種苗数や出荷時期を調整したり、冷凍での販売を行ったりすることで、できるだけ生け簀にサバを残しておかないように工夫した。

さらに、サバの品種改良をしていく必要もあるが、これには5〜10年を要する。交配による育種法を進めていこうとすると、年間数千万円単位の費用やマンパワーがかかるのがネック。中小零細の漁業者が生き残るには、漁業者同士で連携することが必須で、知恵を絞りながら力を合わせて取り組んでいこうとしている。

また、消費者に対しては、年がら年中同じ魚、同じ味を求め続けることが地球や生産者にとっていいことなのか、問い直したい。自然のものは、ないものはなくて当たり前、季節ごとに味が違って当たり前であるから、その時に獲れる魚を楽しめるとよい。生産する側も、環境の観点において自ら自分の首を締めるようなことを続けてはいけないので、消費者を巻き込みながら消費文化を変えていかないといけない。

【背景】
SDGsの目標13として「気候変動に具体的な対策を」が掲げられ、気候変動問題に対して世界的に関心が高まっています。2021年8月に公表されたIPCCの第6次評価報告書では、地球温暖化が進行すると大雨などの「極端現象」の深刻さが増大するということや、向こう数十年の間に温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、世界平均気温が今世紀中に2℃を超えるということが予測されています(注)。

そのような中で、生産者は生産現場にて環境の変化に直面していますが、「生産現場への影響」や「影響に対する生産者の取り組み」は、世の中においてまだ広くは知られていません。気候変動を加速させる要因の一つに「分断」があると当社は考えます。「都市と地方の分断」が進んだことにより、様々な場面で顕在化している気候変動の影響が見えづらくなっています。

当社は、社会の持続可能性を脅かす「都市と地方の分断」の解消を目指し、生産者と消費者を直接つなぐ産直アプリ「ポケットマルシェ」を2016年9月より運営してまいりました。現在約6,600名の生産者が登録しており、生産現場のリアルな情報が日々当社に集まっています。

生産現場の変化は、やがて私たちの食卓にも影響を及ぼします。生産現場の現状を伝えていくことで、消費者が解決に向けた動きに「自分ごと」として関わるきっかけを生み出したいという考えから、この度、生産者による発信の場を設けました。今後は、現状を知って何か行動しようとする方を後押しする仕組みの構築も行っていく予定です。

注:2021年8月 環境省「IPCC AR6/WG1報告書の政策決定者向け要約(SPM)の概要」より

【当社の気候変動問題に関する取り組み】
2020年7月: 生産者が出品時に利用できる「#豪雨被害で困っています」タグを設置
令和2年7月豪雨の被災生産者への支援として、豪雨の被害を受けた生産者が「#豪雨被害で困っています」タグを使用して出品できるようにしました。これにより、消費者はタグから被災生産者の商品を探し、購入という形で応援をすることが可能になりました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000046526.html

2020年9月: 生産者が出品時に利用できる「#台風被害で困っています」タグを設置
台風9号・10号の被災生産者への支援として、台風の被害を受けた生産者が「#台風被害で困っています」タグを使用して出品できるようにしました。また、「ポケットマルシェ」内の記事やSNSで、生産現場への被害に関する情報発信を行いました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000046526.html

2021年8月: 被災生産者を金銭面で応援可能な「まごころ商品」の販売を開始
台風8号や令和3年8月豪雨などの自然災害が続いたことを受け、被災により当面の生産活動や生鮮品の出品が困難になった生産者を金銭面で応援可能な「まごころ商品」の販売を開始しました。購入者には応援へのお礼として、生産者と当社スタッフからのお礼の手紙と、「ポケマルステッカー」が送られます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000065.000046526.html

2021年12月: 生産現場の環境変化を消費者へ伝える記事連載を開始
「自然環境の変化」について生産者から寄せられた声を、「生産者さんからみなさんへ 〜自然環境の変化と向き合う #カナリアの声〜」というお手紙形式の連載記事にし、「ポケットマルシェ」の「マガジン」上で配信しています。2022年3月28日現在、8名の生産者の声を公開しています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000085.000046526.html

【ポケットマルシェについて】
ポケットマルシェ( https://poke-m.com/ )は、全国の農家・漁師から、直接やりとりをしながら旬の食べ物を買うことができるプラットフォーム。提供は2016年9月。現在、約6,600名(2022年3月時点)の農家・漁師が登録し、約16,000品の食べ物の出品と、その裏側にあるストーリーが提供されている。新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに食への関心が高まり、ユーザ数は約10倍、注文数はピーク時に約20倍となり、約52万人の消費者が「生産者とつながる食」を楽しむ。

【会社概要】
会社名: 株式会社ポケットマルシェ
代表者名: 高橋博之
所在地: 岩手県花巻市藤沢町446-2
東京オフィス:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-26-5 金子ビル3F
事業内容:
・生産者と消費者を直接繋ぐCtoCプラットフォーム「ポケットマルシェ」の企画・開発・運営
・寄附者と生産者が繋がるふるさと納税サイト「ポケマルふるさと納税」の企画・開発・運営
・食べもの付き情報誌「食べる通信(R)」の普及・多地域展開の促進、「東北食べる通信」の企画・運営
・生産者の販路拡大・地産品の認知向上・関係人口創出を目的とした自治体支援施策の企画・実施
・産直食材を活用したキャンペーンや福利厚生プラン等の企業向けプログラムの企画・実施
URL:https://www.pocket-marche.com/



プレスリリース提供:PR TIMES

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