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東北大学ナレッジキャスト株式会社

特殊紫外線ランプを用いた除菌・ウイルス不活化機器を開発

(PR TIMES) 2021年06月24日(木)17時15分配信 PR TIMES

〜カラオケルームや他施設での感染リスク低減策として期待〜

東北大学ナレッジキャスト株式会社、株式会社コシダカ、株式会社オーク製作所は共同で「特殊紫外線ランプ」を用いた「除菌・ウイルス不活化機器」を開発しました。
大腸菌とバクテリオファージウイルス*1を材料に紫外線照射実験を行い、99%死滅または不活化するのに必要な照射線量を算出し、これらの科学的検証に基づき、カラオケ店舗での運用検証を経て、現場のニーズを反映しました。
今回開発した除菌・ウイルス不活化機器は、高効率・高耐久性設計で小型・軽量で扱いやすいため、カラオケルームのみならず、他施設でも新型コロナウイルス感染リスク低減策として期待されます。

*1 バクテリオファージウイルス:細菌(バクテリア)に感染するウイルスのこと。抗菌研究でよく使われる。
【概要】
飲食店やカラオケ店などにおける新型コロナウイルス感染症対策は大きな社会的要請があり、より効果的な対策が求められています。紫外線のうち波長100〜280nmのUV-Cは特に除菌・ウイルス不活化力が高く、効果が期待されています。

東北大学ナレッジキャスト、コシダカ、オーク製作所は共同で「特殊紫外線ランプ」を用いた「除菌・ウイルス不活化機器」を開発しました(写真 1、2)。

新型コロナウイルス不活化を目的とした紫外線照射機は既にいくつか市場にあります。しかし、それらの中で実際の利用現場状況に即してウイルス等の不活化検証や運用検証がなされているものは極めて少ないのが現状です。これを踏まえ今回の共同研究開発は次を特長としています。

1. 紫外線照射実験による科学的根拠の検証
2. カラオケルームでの大腸菌殺菌効果の検証と運営手順・安全性の検証
3. 特殊紫外線ランプを用いた除菌・ウイルス不活化機器

開発した機器は、顧客のカラオケルーム利用後にUV-Cを基準量照射してルーム内の除菌・ウイルス不活化を行うことで、清掃スタッフと次の顧客への空気感染を防ぎ、クラスター発生の連鎖を断ち切るのが主な目的です。

[画像1: https://prtimes.jp/i/80498/5/resize/d80498-5-894830-0.jpg ]

[画像2: https://prtimes.jp/i/80498/5/resize/d80498-5-781903-1.jpg ]

【補足説明】
1. 東北大学での紫外線照射実験による科学的根拠の検証
紫外線UV-Cによる新型コロナウイルス不活化効果に関する情報は十分ではありませんが、実験室レベルでは新型コロナウイルスの99.9%の不活化に必要な紫外線線量は、大腸菌やバクテリオファージウイルスを99%死滅させるのに必要な線量よりも少ない3分の1程度であることが報告されています。

このため大腸菌やバクテリオファージウイルスを99%死滅させる紫外線線量を指標に紫外線UV-Cを照射することで、新型コロナウイルスを99.9%以上不活化できることが期待できます。

共同開発研究者の東北大学大学院生命科学研究科の協力により、254nmの紫外線UV-Cランプ用いて、大腸菌およびバクテリオファージウイルスを99%死滅または不活化させる照射線量が、大腸菌では6.5 mJ/cm2(ミリジュール/平方センチメートル)、バクテリオファージウイルスでは12 mJ/cm2であることを同定しました。これに基づき、12 mJ/cm2を照射基準線量値とし、広範囲に均一に、かつ短時間で照射基準線量を照射できる「特殊紫外線ランプ」を設計、開発しました。

2. カラオケルームでの大腸菌殺菌効果の検証と運営手順・安全性の検証
カラオケまねきねこでは、感染予防対策の基本として入店時の検温・体調確認を徹底しています。そのうえでカラオケルーム内でのウイルスの3つの感染経路「接触感染」「飛沫感染」「空気感染」に対して次の感染予防対策を講じています。

(1) 接触感染予防:ルーム内のマイクやドアノブなどのアルコール消毒の徹底
(2) 飛沫感染予防:顧客・従業員の不織布マスク着用、マイクマスクの装着、ルーム収容サイズに応じた人数制限
(3) 空気感染予防:厚生労働省が定めた換気水準を満たした換気容量の設定

今回開発した機器の主目的は、顧客のカラオケルーム利用後にUV-Cを基準線量照射してルーム内の除菌・ウイルス不活化を行うことで、清掃スタッフと次の顧客への空気感染を防ぎ、クラスター発生の連鎖を断ち切ることです。

そこで、実際にコシダカのカラオケ店舗(S、M、Lルーム)をモデルルームとして、大腸菌を塗布した大腸菌死滅線量評価プレートをモデルルーム内の壁、床、天井、ルーム中央部等に設置し、開発した特殊紫外線ランプを、ランプから最も離れた地点で同定した照射基準線量値12 mJ/cm2の紫外線を照射し(照射時間7〜15分:部屋の大きさによって異なります)、大腸菌の生存率を測定しました。そして、モデルルーム内で人が移動、触れる可能性の高い位置、地点で大腸菌が99%以上死滅する設置・照射条件を決定しました。

本研究で開発した「特殊紫外線ランプ」を用いた除菌・ウイルス不活化機器をカラオケルーム内で照射することで、紫外線の強い不活化力により、ルーム内の新型コロナウイルスの感染リスクを低減することが期待されます。

3. 特殊紫外線ランプを用いた除菌・ウイルス不活化機器
(1) 今回の紫外線ランプには、オーク製作所が開発した石英ガラスに酸化チタンを均質に混ぜ合わせた特殊なガラス管を採用しました。これには次の特長があります。
(a) 254nm付近の紫外線透過率に優れ、通常の殺菌ランプに比べ2倍以上の高出力が得られる
(b) ランプのガラスが紫外線により劣化しにくく、肉厚の確保が可能なため物理的な強度を高め、破損リスクを低減できる

(2) 耐久性の高い電極を採用したため、カラオケルームでの利用を想定した光源の点灯・点滅に対する耐久性能が高い

(3) ランプの脱着をスムーズに行なえる様、両端の口金を専用に設計したものを採用したため、利用現場でのメインテナンスが容易

◆実際の利用イメージはこちらの動画をご覧ください。
https://www.koshidakaholdings.co.jp/ir/library/movie.php#ARV-UV80-KM

【今後の展開】

今回開発した特殊紫外線ランプを用いた除菌・ウイルス不活化機器は、実際の新型コロナウイルスを実空間で99.9%不活化させる効果を実証した機器ではなく、これまでの研究を基に、大腸菌およびバクテリオファージウイルスが限定された実験条件下で99%死滅する照射線量を指標に開発した機器です。

しかし、これまでに報告されている実験的データから、顧客のカラオケルーム利用後にUV-Cを基準量照射してルーム内の除菌・ウイルス不活化を行うことで、清掃スタッフと次の顧客への空気感染を防ぎ、クラスター発生の連鎖を断ち切る効果は十分に期待できます。

一方、本機器はカラオケルーム内に顧客がいる場合には照射しませんので、従来の「接触感染対策」「飛沫感染対策」「空気感染対策」を講じていただくことになります。

開発された機器は、カラオケルームのみならず、飲食店(レストラン、居酒屋等)、ホテル、高齢者施設、公民館などの公共施設での新型コロナウイルス感染リスク低減策の機器としても期待されます。

今後は新型コロナウイルスを対象に、実空間での検証試験を実施することで、新型コロナウイルスの感染リスクのさらなる低減につながる機器の早期開発が期待されます。なお、カラオケまねきねこでは、当面「渋谷本店」「前橋本店」「仙台駅前店」を始めとする主要店舗に先行導入し、その後全国に広げる予定です。

【東北大学ナレッジキャスト株式会社】
指定国立大学法人 東北大学100%出資による株式会社。
代表者:代表取締役社長 荒井 秀和
設立:2019年10月9日
本社:宮城県仙台市青葉区片平二丁目1-1
東京事務所:東京都中央区日本橋室町三丁目2番1号 日本橋室町三井タワー7階
企業HP:https://www.tohoku-kc.co.jp/
東北大学の独創的な研究成果、研究者の深い洞察力や広範な知見と、新たな事業を創り出す企業の革新力を融合し、新たな社会価値の創造に貢献します。



プレスリリース提供:PR TIMES

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