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プレスリリース

学校法人藤田学園

オリゴ糖と乳酸菌を用いることでペンギンの腸内環境改善を実現

(Digital PR Platform) 2024年02月28日(水)10時18分配信 Digital PR Platform

〜ペンギンひいては動物たちの健康維持に期待〜

藤田医科大学(愛知県豊明市)消化器内科学講座、医科プレ・プロバイオティクス学講座は、ウェルネオシュガー株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:山本貢司)や神戸市立須磨海浜水族園などと連携し、オリゴ糖と乳酸菌を併用して摂取することでペンギンの腸内環境を改善し感染症を予防するとともに栄養吸収を促進させることを明らかにしました。
本研究成果は、国際誌「Journal of Veterinary Medical Science」の2024年1月2日(オンライン版)に公開されました。
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38171739/

この研究では、ペンギンの腸内細菌と健康に良い効果を与えるために、3糖オリゴ糖であるケストースと、藤田医科大学が岡山大学の乳酸菌ベンチャーである株式会社農(みのり)と開発した乳酸菌FM8™を併用して摂取させました。その結果、ペンギンの腸内善玉菌が増加し有害な悪玉菌(Clostridium perfringens注1))が減少することがわかりました。また、カルシウム、マグネシウムなどの栄養素の吸収促進効果や炎症反応を抑制する効果も見られました。すなわち、ケストースと乳酸菌FM8™がペンギンの健康向上に有効であることが示されました。

注1)ウェルシュ菌の通称でも知られる病原性菌。強い毒素をだし、消化器系に炎症を誘導する

<研究成果のポイント>

ケストースと乳酸菌FM8™の摂取により腸内善玉菌が増加し、有害な悪玉菌(クロストリジウム菌)が減少することがわかりました
カルシウム、マグネシウムなどの栄養素の吸収促進効果や炎症反応を抑制する効果が確認されました
これらのことからケストースと乳酸菌FM8™の摂取はペンギンの健康向上に有効であると考えられます


<背 景>
動物の腸内にはたくさんの細菌がおり、これらは食べ物を消化したり、栄養を吸収したり、体を病気から守る役割をしています。動物園や水族館、ひいては家庭において動物たちを飼育するとき、動物が元気でいるためには、腸内細菌のバランスを良い状態に保つことが必要です。本研究は、ペンギンの腸内細菌と健康に対するケストース(3糖オリゴ糖)と乳酸菌FM8™の影響を調べることを目的としています。


<研究方法及び結果>
3歳未満の若いペンギン8羽と17歳以上の成鳥ペンギン9羽に対して、ケストースと乳酸菌FM8を含むシンバイオティクスを8週間投与しました。その結果、シンバイオティクスの投与は、若いペンギン群で腸内の善玉菌が増加し、両方の群で腸炎を引き起こすクロストリジウム菌が減少しました。また、若いペンギン群では炎症反応に関わるアルファグロブリンの血中濃度が増加。乳酸菌FM8は、炎症を抑えるサイトカインであるインターロイキン10の分泌を促進することもわかりました。すなわち、ケストースと乳酸菌FM8がペンギンの腸内の善玉菌の活動を高め、有害な細菌とその毒素の減少に役立ち、炎症反応を抑える効果があることを示しています。このことから、ケストースと乳酸菌FM8™がペンギンの健康向上に有効であると考えられます。


<今後の展開>
鳥類を飼育する際、幼鳥の免疫学的にナイーブな幼鳥が、成鳥よりクロストリジウム腸炎に感染しやすいことが知られています。ケストースと乳酸菌FM8が特に若いペンギンの健康に役立つという発見は、動物の健康を維持するための新たな可能性を示しています。さらなる研究を通じ、ケストースと乳酸菌FM8が、鳥類のみならず動物全体の健康、もしくは畜産・養殖業界の生産性向上を実現するメソッドとして確立をめざします。


<文献情報>
●論文タイトル
Co-administration of the prebiotic 1-kestose and the paraprobiotic Lactiplantibacillus plantarum FM8 in magellanic penguins promotes the activity of intestinal Lactobacillaceae and reduces the plc gene levels encoding Clostridium perfringens toxin

●日本語タイトル
マゼランペンギンにプレバイオティクスである1-ケストースとパラプロバイオティクスであるLactiplantibacillus plantarum FM8を共投与すると、腸内乳酸菌の活性が促進され、Clostridium perfringens毒素をコードするplc遺伝子レベルが低下する。

●著者
藤井匡1,2,3, 毛塚千穂4, 河口裕一郎5,山川早紀1,6,7, 近藤修啓1,6,7, 舩坂好平1, 廣岡芳樹1, 栃尾巧1,2,3

●所属
1 藤田医科大学 医学部 消化器内科
2 藤田医科大学 医学部 消化器内科学 医科プレ・プロバイオティクス講座
3 (株)バイオシスラボ
4 神戸市立須磨海浜水族園
5 ひまわり動物病院
6 伊藤忠製糖(株)研究開発室
7 ウェルネオシュガー(株)

●掲載誌
Journal of Veterinary Medical Science (2024)##:###

●掲載日
2024年1月2日(オンライン版)

●DOI
10.1292/jvms.23-0238


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