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シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

シュローダー 2023年市場見通し:グローバル債券・欧州株式

(Digital PR Platform) 2022年12月23日(金)17時51分配信 Digital PR Platform

平坦な道ではないものの、これまで債券市場が直面してきた圧力が緩和しつつあることから、2023年は魅力的な投資機会が訪れるでしょう


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ポール・グレインジャー
ヘッド・オブ・グローバル・フィクストインカム&カレンシー




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ジェイムス・ビルソン
グローバル・フィクストインカム&カレンシー・チーム ストラテジスト

インフレ圧力の高まりと各国中央銀行の積極的な対応により、2022年は多くの資産クラスにとって厳しい年となりました。しかし、4つのポイントから債券の魅力度が高まっていると考えており、2023年は債券に対する投資家の需要が高まると予想します。

第一に、米国インフレの鈍化に牽引され、インフレ圧力に緩和の兆しがあることです。
第二に、経済成長の鈍化が特に米国において発生しています。
第三に、金利上昇に対する感応度が高い経済圏では、中央銀行による利上げサイクルの終了が近づいています。

最後に、債券の利回りは1年前と比較して大幅に上昇し、バリュエーションが魅力的となっています。
これらの要因が、世界の債券市場全体に魅力的な投資機会をもたらすことは間違いないでしょう。

インフレ圧力の緩和
インフレ率の上昇が2022年の債券市場の見通しを複雑にしましたが、2023年に向けては明るい兆しが見えています。過去1年半において財のインフレ率はインフレ率上昇の先行指標となってきましたが、これが反転し始めた明確な証拠、いわゆる「ブルウィップ」効果 (サプライチェーンの下流では需要量の変動が小さいのに対し、上流では必要以上に変動が大きくなること)が確認され始めています。

世界的な輸送コストやISM/PMI調査などの指標は以前からこの動きを指摘していましたが(図表1参照)、最近になってようやく公式のインフレ指標に反映され始めており(図表2参照)、2023年もこの傾向が続く可能性があると考えます。

図表1:調査指標は今後更なるインフレ圧力の緩和を示唆


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図表2:公式のインフレ率データもようやく財価格のインフレの落ち着きを反映し始め、継続が予想される


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サービス・インフレが持続的であるため、米連邦準備制度理事会(FRB)の目標インフレ率の2%への道は最終的には困難となると考えていますが、2023年前半には初期段階の改善が比較的急速に進むと見込まれ、この動きが市場に温かく迎えられると考えます。そうなれば、世界の債券市場にとって好環境となり、債券価格のボラティリティ(変動性)が低下し、エマージング現地通貨建て債券・通貨等の資産にも投資機会がもたらされることになると考えます。

金融引き締めの経済成長への影響はこれから
2022年を通じて実施された金融引き締めの影響は、まだ主要な経済データに十分に反映されていないと懸念しています。住宅等の先行指標が急激に悪化しているにもかかわらず、個人消費や雇用などの遅行指標は、依然として底堅く推移しています。

今後数ヶ月の間に、特に米国において、金融引き締めの経済成長に対する影響がより鮮明に表れると考えています。この結果、中央銀行がさらなる引き締めを停止し、状況を再評価することになると予想されます。

これは世界の国債にとって明るいニュースとなるでしょう。ただし、インフレ圧力の緩和および債券価格のボラティリティの低下という追い風と、経済成長の減速が企業業績に与える影響という逆風が重なり、社債等の景気循環系の資産にとっては複雑な環境となると考えます。


図表3: 金融環境の引き締めは経済成長の更なるダウンサイドリスクを示唆


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国や地域において経済状況の乖離が予想される
米国では金融引き締めの影響がまだ十分に現れておらず、2023年に影響がより明確になってくると思われるものの、他の地域では、主要な経済的逆風が弱まる兆しも見えてきています。

欧州のガス・エネルギー危機が終息したとまでは考えていませんが、危機の最悪期は過ぎたとみる、慎重ながらも楽観的な見方が台頭してきています。この小康状態が続いた場合、欧州経済への影響は懸念されていたより緩やかにとどまると予想されます。

債券市場の今後を見通す上でこの点は極めて重要であり、ドイツ国債の利回りの押し上げ要因となる可能性があります。

図表4: 欧州のエネルギー価格は依然として高いものの、見通しは大幅に改善


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中国の活動再開は欧州にとって更なる支援材料
ここ数週間に起こった中国のゼロコロナ政策転換のスピードに市場参加者は驚かされました。また、中国経済にとって特に重要性が高い不動産セクターが苦境に立たされていますが、当局が徐々に支援策を打ち出しています。

このような中国の政策が、2023年前半にどの程度のスピードと規模で変化するかについては、依然として不確実性が高いと考えるものの、中国経済への感応度の高い資産は今年既に中国経済の軟調な見通しを織り込んできたことから、投資家にとってポジティブ・サプライズとなるハードルは低いと思われます。
中国経済見通しにポジティブ・サプライズが生じた場合には、一部のコモディティ通貨やアジア通貨にとってサポートになると考えます。また、その場合、欧州に対する恩恵も大きくなるということは注目すべき点と言えます。

金利上昇に対する感応度が高い経済圏における利上げサイクルは縮小の可能性
最後に、世界的な金融引き締めのスピードと規模が、家計負債や住宅費用の対所得比率が高い経済圏により大きな影響を与える点について注目しています。このような国では、消費や住宅市場の脆弱性が相対的に高いことによって、中央銀行の利上げ継続が難しくなる可能性があるとみています。

スウェーデン、カナダ、英国等は相対的に脆弱性が高い一方、米国や欧州は相対的に低めだとみています。


図表5:スウェーデン、カナダ、英国の住宅市場は脆弱


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欧州株式



エネルギー価格の落ち着きは、景気回復の支援材料となるでしょうか。
欧州株式市場で2022年以降に劣後した銀行や中小型株などのセクターは、反転する可能性があります。



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マーティン・スカンバーグ  
欧州株式 ファンドマネジャー

2023年の最大の関心は、株式市場が、困難と想定されるマクロ経済環境に大きく左右されないでいられるかどうかであると考えています。少なくとも米国では、インフレが既にピークアウトしたのではないかという期待が足元の株価を支えています。この株式市場の勢いは2023年前半まで続く可能性がありますが、年後半には衰える可能性もあります。

エネルギー価格の落ち着きによる支援
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を背景に、エネルギー価格が高騰する中、株式市場はユーロ圏が景気後退入りするかどうかをにらんだ展開が続きました。今までのところ、景気後退には陥っていません。エネルギー価格の動きは足元で穏やかになってきており、前年同期比で低下傾向にあります。

景気後退入りは最も可能性の高いシナリオに見えますが、エネルギー価格の低下によって、景気後退期間はより短く、そして影響度は浅くなる可能性があると考えています。予想される景気後退がまだ訪れていないように、予想される企業業績の急激な下方修正もあらわれていません。

エネルギー価格が落ち着くことは、企業の利益率にとって好材料になると見ています。また、パンデミックによるサプライチェーンの混乱が解消されつつあることもプラス要因となっています。この2つの要因は、賃上げ需要による一段のコスト圧力がかかっても、利益の回復を支えると予想しています。

足元の株式市場の勢いは弱まる可能性がある
しかし同時に、2023年の経済環境が厳しいものであることは間違いありません。インフレ率が現在の水準(2022年11月は10.0%)から緩やかになったとしても、欧州中央銀行(ECB)の目標水準である2%まで下がることはないと見ています。

ECBは来年にも「量的金融引き締め」を開始する予定です。これは、満期を迎える保有債券の再投資金額を少なくしてバランスシートの規模を縮小することです。これにより、実際のところは流動性の引き締め、つまり金融システムを流れる資金の減少を意味し、一般には株式にとって不利に働きます。

また、金利の上昇は、政府、企業、個人にとって資金調達コストの上昇を意味することも考慮しなければなりません。その結果、消費と設備投資が打撃を受ける可能性が高くなっています。量的金融引き締めが実施され、債務の借り換えが必要になると、株式市場の当初の勢いは衰えるかもしれません。

2022年の一部の動きが反転する
一歩引いてみると、2022年の株式市場の大きな動きの一部は、2023年には少なくとも部分的に反転する可能性があると考えています。米国のインフレが本当にコントロールされているのであれば、他の中央銀行が利上げを続ける中、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを一時停止する、もしくは利下げに転じるならドル安が進むと考えられます。ドル安は、ドル建てのコモディティ(原油など)が安くなることもあり、欧州株式を含むグローバル株式にとって好材料となる可能性があります。

セクター別では、2022年のMSCI Europe(除く英国)指数のエネルギーが30.0%の上昇となり(2022年10月31日時点、過去12か月間)、最も堅調に推移しました。当該セクターが2023年においてもこれほど大幅に株価指数をアウトパフォームする可能性は低いと考えています。

下の表は、セクター別のリターンが反転する可能性のある要因を示しています。2022年に堅調だったエネルギーや素材などのセクターは、今後12か月間で利益が縮小すると予想されています。(2年後予想EPS伸び率の列をご参照ください。)もし欧州が景気後退に陥った場合、多くの企業が業績を下方修正することが予想されます。今後1年間は、収益の安定を実現できる可能性のある企業やセクターに投資家は注目すべきと考えています。

欧州(除く英国)のセクター別予想利益とバリュエーション


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銀行は堅調に推移すると予想されるセクターの一つです。ユーロ圏の多くの銀行は、バリュエーション上、依然魅力的な水準にあり、金利の上昇は融資の価格改定にプラスに働きます。景気後退に陥れば、不良債権が増加するのは明らかですが、その景気後退が短期間かつ浅いものであれば、マイナスの影響は一部の人々が懸念しているより限定的なものに留まると予想しています。

資本財や半導体など景気敏感なセクターについても、景気後退が短期間に終わるものであることが証明されれば、相対的に優位なリターンを達成する可能性があると考えています。一方、2022年に特に苦戦したのは、中小型株の企業です。ここでも反転の動きが見られる可能性があります。

総じて、リスク志向が高まり、株式を選好するセンチメントが広がれば、大型株より小型株のアウトパフォームにつながる傾向があります。次のグラフは、これまでの市場サイクルにおける推移を示しています。


リスク選好度が高まる市場環境で小型株がアウトパフォームする


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過度に積極的なポジションを取る時期ではない
より広範で長期的なトレンドが市場の一部を支える可能性があります。資金調達コストが上昇する中、一般的に設備投資は減少する可能性がありますが、生産の現地化傾向は続くと考えています。また、ウクライナへの軍事侵攻の影響で各国政府が支出を増やしていることから、防衛など、安全保障に関連するテーマについても投資の焦点になると予想されます。

エネルギー転換は欧州にとって重要なテーマであることに変わりはありませんが、エネルギー安全保障が最重要課題となっています。そのため、安全保障の観点から最も短期間で投資回収が可能なプロジェクトに投資が集中する可能性があります。ドイツでは、最近、新しい液化天然ガス基地の建設がわずか200日間で完成したことは印象的ですが、通常は風力発電所などの再生可能エネルギーのプロジェクトはより長い期間を要します。

当運用チームでは、急激かつ長期的な景気後退という最悪のシナリオは回避できるとみています。特にユーロ圏株式は足元で投資家の選好の対象外となっていることから、深刻な景気後退を回避できるとの見通しが市場センチメントの改善につながると考えています。

欧州の景気が緩やかに良くなったとしても、その他の多くの地域は回復しない可能性があります。一般的に、投資家は中小型株企業を含む高リスク分野を敬遠しており、資金流入はマイナスになっています。(次のグラフをご参照ください。)今後、中小型株企業のリターンが回復すれば、この状況は一変する可能性があります。

投資家は中小型株銘柄を敬遠している


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大きな「未知数」はロシアによるウクライナへの軍事侵攻です。このことと、成長見通しが不透明であることを考慮すると、現在は積極的なポジションを取るべき時期ではないと考えています。これまでと同様に、市場全体の中で最も優れた銘柄固有の機会に焦点を当て、より困難な経済状況下でも成長することが可能な銘柄群に着目していきたいと考えています。

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関連リンク
シュローダーの視点
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/insights/
2023年の各種見通し
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/insights/outlooks-2023/

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