1. A電機よりB商事の方が新卒採用数が少ない。

2. A電機よりB商事の方がグローバル化している。

3. A電機の方がB商事より売上金額にかかわらず固定費が高い。

4. A電機よりB商事の方が売上営業利益率が高い。


【答えと解説】


タツヤ:答えは4ですか?今年度は明らかにB商事の方が利益率は高いじゃないですか! でも待てよ、昨年度はA電機の方が利益率が高いなぁ。あれ~??

みなみ:答えは3よ。

タツヤ:固定費って何ですか?

みなみ:売上金額にかかわらず一定額生じる費用よ。例えば、耐用年数が5年の工場設備があるとするわね。購入価格が10億円だったとすると、例えば、10億円を5年間でわって1年間ごとに2億円ずつ費用にするの。これを減価償却費っていうのだけれども、いったん購入してしまえば、売上高がいくら減っても発生することになるの。こういった費用が固定費よ。

タツヤ:なるほど。

みなみ:上の表のA電機の場合は1,500億円、B商事の場合は340億円あるという計算よ。固定費とは別に変動費っていうのもあるの。

タツヤ:それは何ですか?

みなみ:売上高に応じて発生する費用のことよ。例えば、材料費のようなものがそれに該当するわね。100個作ると100個分の材料費、200個作ると200個分の材料費がかかるでしょう。

タツヤ:はい…。

みなみ:費用は大まかにいうと変動費と固定費から成り立っているの。

タツヤ:なるほど…。

みなみ:更に言うと、固定費を変動費に変えたり、変動費を固定費に変えることができる場合もあるの。

タツヤ:ふむふむ…。

みなみ:例えば、機械設備を購入してしまうと毎年一定の減価償却費が発生するのだけれども、これをレンタルにすれば売上、つまり製造量に応じて借りる分を変動させることができるでしょう。人件費も、採用してしまうと固定費的になるけど、アルバイトであれば変動費的にすることができるわね。

タツヤ:ふむ…。

みなみ: 固定費が大きなA電機は売上が減るときは損失が大きくなるけど、その分たくさん売れれば利益も大きく増えるということになるのよ。これはね、リスクマネジメントにも関係するわけ。つまり戦略的な意味でのリスクマネジメントよ。売上の増減に応じて利益の振れ幅が大きいようなビジネススタイルをとるのか、とらないのかということよ。

タツヤ:(すやすやすや…)お酒は材料費だから変動費。ママの給料は固定費。なおちゃんはアルバイトだから変動費?あれっ、客がいなくても払わないといけないから固定費?(むにゃむにゃむにゃ…)

みなみ:タツヤ君!!!

タツヤ:はいっ部長!すいません、花粉症の薬で眠くなっちゃって…

みなみ:あなたは…。

タツヤ:えーっと…。がんばって働きます!!!


※なお、A電機の変動費率は75%、B商事の変動比率は93%となります。


【監修者】
丸山満彦(まるやま・みつひこ)


公認会計士。
大手監査法人に在籍 パートナー。
1992年大手監査法人に入社。1998年~2000年米国の監査法人に勤務。帰国後、リスクマネジメント、コンプライアンス、社会的責任、情報セキュリティ、 個人情報保護関連のコンサルティングを実施。
情報セキュリティ関連の政府委員を歴任。
内閣官房情報セキュリティセンター兼務。
情報システムコントロール協会(ISACA)東京支部理事
日本セキュリティ監査協会(JASA)幹事
デジタルフォレンジック研究会監事
JPCERT/CC監事
日本監査研究学会会員
情報ネットワーク法学会会員

[イラスト]

加藤 豪(かとう ごう)

大阪府出身。ユーモアを含んだ勢いとコントラストの強いカラーのイラスト、人の心理をテーマにしたちょっとシュールな4コマ漫画、短編等を制作しています。

■ホームページ : http://www.occn.zaq.ne.jp/kato5/