プレスリリース
北欧の暮らしを映し、シンプルで長く使える結婚指輪「マリッジドマリッジ(MariMari)」。北欧スタイルで生活に溶け込む、結婚指輪の新提案
株式会社GNH代表の渡部博行は、2007年に会社を設立すると共に、北欧スタイルの結婚指輪マリッジドマリッジ(MariMari)というブランドを立ち上げました。
それまで約20年勤務していた住友金属鉱山の子会社トレセンテでは、イタリアのジュエリーの紹介、普及と結婚指輪のブランド開発に努めていましたが、スタンスを大きく変えて、当時はマイナーだった北欧に注目したのです。そこには、企業のM&A騒動に巻き込まれるという、止むに止まれぬ事情と、直前に滞在したデンマークで芽生えた、北欧への共感と憧れがありました。
本ストーリーでは代表・渡部が会社を設立し、ジュエリーブランド立ち上げまでに経験したきた紆余曲折を辿りながら、北欧スタイルの結婚指輪が誕生するまでの軌跡をお話します。
株式会社GNH代表渡部博行
全くの素人から始まったジュエリー知識の習得。15年で30回を超えたイタリアへの訪問
渡部は1989年に住友金属鉱山が貴金属部の新規事業として設立した、ジュエリー店「トレセンテ」の設立に参加しました。トレセンテは当初、当時としては斬新なデザインのイタリアのジュエリーを集客の目玉に考えましたが、これは当時顧問だった加藤勇氏のアイデアです。
5年前に鉱山会社に入社した渡部はジュエリーに関して全くの素人だったので、必死に知識の習得に努めました。しかし、翌年に世界最大級のジュエリー展示会イタリアのVicenza Oroへ買い付けに出かけましたが、まばゆいディスプレーとむっとするような香水の香りに圧倒されるばかり。イタリアのジュエリーとのビジネスの基本を身に着けるのに数年を要しました。
それでも、当時世界の中心だったイタリアのジュエリーは、知れば知るほど魅力的なものでした。古都フィレンツェの小さな店舗で親子が営む完全に手作りの繊細なジュエリー、ナポリ近郊の都市で生産される手掘りのカメオ等、職人の伝統を生かした製品は、実際に目にするとため息が出るような美しいものばかりです。
イタリアへの訪問はその後15年で30回を超えるようになり、ジュエリーの最大の生産地である北部Valenzaにある、たくさんの小さな工房を訪れ、オリジナルのジュエリーの制作を依頼するまでになりました。
フィレンツェの工房の作品
独創的なイタリアのジュエリー
日本とイタリアの文化の違いが浮き彫りにした普及への壁。バブル崩壊で直撃したジュエリー市場の衰退
イタリアから直輸入したジュエリーは、トレセンテでとても好評でした。愛媛県新居浜市という地方の小都市にも店舗があったので、そこでも大量に販売しましたが、間違いなく地域独自のジュエリー文化が構築されたと思います。しかし、その一方で懸念されたのが、イタリアの文化であるジュエリーが本当に日本に馴染むのかという問題でした。
1990年代に入り、日本にイタリアブームが到来します。10万円で全食事付きの観光ツアーもあり、たくさんの日本人がイタリアを訪れました。イタリアがとても身近な存在になり、イタリア料理が広く普及しました。ファッションでもアルマーニ、プラダといったイタリアのブランドが人気を集めます。
しかし、ジュエリーが文化として日本人の生活に根付いたのでしょうか。イタリアでは小さな子供でもゴールドのジュエリーを身に着けているのが珍しくないのですが、日本ではどうでしょう。日本でジュエリーの普及に尽力する方もいて、「イタリア人のように朝起きたら、最初にピアスを着けるのを習慣にしましょう」と著書で啓蒙されていたのですが、それが受け入れられるのは難しかったようです。
やがて日本ではバブルが崩壊し、生活が質素に変化していくと共に、ジュエリーを身に着けるのが一般的では無くなっていきます。バブル期には20代の女性でもごく当たり前にジュエリーを身に着けていたのに、現在ゴールドやプラチナのジュエリーを着けている20代の女性はほとんど見かけません。イタリアではゴールドジュエリーを身に着けるのがひとつの文化ですが、それは結局日本に定着しなかったのです。日本人はイタリア人になれなかったとも言えるでしょう。
コペンハーゲンのデザインホテルで体感した究極の心地良さ。北欧ライフスタイルの美しさと機能性への共感
2007年1月、渡部はM&A騒動に巻き込まれます。「選択と集中」の名のもとに住友金属鉱山から総合商社へ売却されたトレセンテが、その後わずか2年で転売されようとしていたのです。そのあまりにも不誠実な対応に渡部は強く反発しましたが、そのさなかにデンマークとイタリアへ出張することになります。
デンマークのコペンハーゲンを初めて訪れたのは、同国のデザインブランド、ジョージジェンセンに興味があったからでした。ジョージジェンセンの本店は立派な店構えでしたが、ジュエリー専門店ではないので敷居は高くなく、モダンなデザインの食器やアクセサリーが美しくディスプレーされていて感銘を受けました。そこで買い物はしませんでしたが、帰国便のスカンジナビア航空の機内販売で、曲線が美しいステンレスのトレーを購入して満足しました。
曲線が美しい北欧デザイン
トレセンテの運営責任者だった渡部は、社内のスタッフ向けにM&Aの事態を説明する文章を作成する必要がありました。そのため、出張中毎日5時間以上ホテルの部屋でノートパソコンに向かうことになります。1月のデンマークでは太陽が昇っている明るい時間は、9時から15時くらいまでなので、初めて訪問した都市で長時間の外出も出来ずにホテルでの滞在時間が長くなりました。しかし、そのホテルでの滞在時間がとてもとても快適だったのです。
コペンハーゲンを代表するデザインホテルだったこともあるかもしれませんが、昼間はセーター1枚、夜はパジャマ姿で、空調のスイッチに触れる必要が全くありませんでした。部屋は1日中最適な温度に管理されていて、冬なのに乾燥することもありません。当時はHygge(ヒュッゲ)という言葉を知りませんでしたが、まさにリラックスしてストレスのないヒュッゲな時間を部屋で過ごすことが出来ました。
また、部屋に設置されていたデンマークのデザイナーであるヤコブセンによるデザインの椅子が素晴らしかった。パソコンに向かうために毎日長時間、曲線が美しいセブンチェアーに座っていたのですが、こんなに座り心地の良い椅子があるのかと驚きました。デザインを優先したものは、使い勝手が悪いのが当たり前と考えていましたから、常識を覆された思いです。冬に長く過ごす快適な室内に、デザイン的に美しくて機能的な家具が揃っている北欧のライフスタイルは素晴らしい、と深く共感したのです。
ホテルのセブンチェアー
2007年4月、株式会社GNHを設立。結婚指輪で事業再開へ
その後、渡部は2月にトレセンテを退職せざるを得なくなりました。渡部はイタリアのジュエリー以外に、ブライダルジュエリーの開発にも深く関わっていたので、在庫を持つ必要がない(受注してから作るので)結婚指輪なら、小さな規模で事業を再開できるかもしれないと考えました。
とても有難いことに応援してくれる方々が多数あり、4月に株主数26名で株式会社GNHを設立することが出来ました。
その新しい会社で最初にしたことは、事務所にデンマークのホテルにあったセブンチェアーを揃えることです。しかし、会社に具体的なビジネスのアイデアはありませんでした。
コペンハーゲンで出会った小さなジュエリー工房。衝撃を受けた手すき紙のエコな指輪ケース
渡部はヒントを求めて5月に北欧のノルウェーとデンマークを訪れます。ノルウェーは良い意味で田舎で、結婚指輪のアイデアはありませんでしたが、「ムンクの叫び」と一人だけで対面する貴重な体験を得ました。
1月とは違い、昼の時間が長いデンマークのコペンハーゲンでは街中を歩き回りました。その中で若い女性が一人で営む小さなジュエリー工房を見つけます。ウィンドウにトレセンテと似たタイプの結婚指輪が並んでいたので店内に入ると、それはシルバー製でした。
なかなか雰囲気のある指輪で価格も手頃だったので購入しましたが、渡部が衝撃を受けたのは指輪のケースが手すきの紙で作られた小箱で、中のクッションとして同様の薄い紙がくしゃくしゃにされて入っていたことです。結婚指輪は立派なケースに入るものと思い込んでいましたから、ある意味エコな紙製のケースに驚いたのです。
エコなパッケージ
北欧スタイルの新ブランド展開を決意。土佐和紙メーカーとともに追求した世界観
帰国後、渡部は結婚指輪の新ブランドを北欧スタイルにまとめようと決意しました。そして最初に着手したのはWEBで見つけた土佐和紙メーカーのモリサと連絡を取り、オリジナルの和紙を作ることでした。その和紙で結婚指輪のケースや、お客様との連絡に使う封筒等を作ることにしたのです。和紙とは言え、ナチュラルな雰囲気のある紙は、北欧スタイルのブランドを表現するのにふさわしいものでした。
マリッジドマリッジのパッケージ
北欧スタイルの結婚指輪のブランドは、マリッジドマリッジ(MariMari)と名付けました。デザインはデンマークで共感した曲線の美しさを最大限に生かすことを考え、北欧の自然や暮らしをモチーフにした結婚指輪を開発しました。
例えば、北欧の高い空をV字フォルムで表現したり、北欧を代表する木、白樺の幹をモチーフにしたり、一方で北欧神話の神々をイメージしたデザインの指輪も開発しました。さらに指輪の各デザインには、デンマーク語の名前を付けて、北欧のイメージが広がるように努めました。
北欧の白樺をモチーフにした結婚指輪
2007年8月、WEB通販専門ブランド「マリッジドマリッジ」が誕生。自宅で試着可能な新スタイル
事務所はトレセンテと同様に銀座に構えましたが、店舗を出すほどの資金はありません。そのため、当時では例のない、結婚指輪のWEB通販専門ブランドとして2007年8月にマリッジドマリッジ(MariMari)は誕生しました。
自宅で試着できるWEB通販ブランド
WEB通販といっても、いきなりネットで注文するのではなく、デザイン見本を自宅にお送りして試着して選んでいただくという、全く新しいスタイルを開発しました。快適な自宅でゆっくり選んでいただくというのが、まさに北欧スタイルだと確信していたのです。
そして指輪の内側を丸く磨いて「内甲丸」に仕上げて、着け心地も快適な指輪を目指しました。
会社設立以降、スタッフと共に毎年デンマーク、フィンランド、スウェーデン等北欧を訪れて、北欧スタイルの習得に努めました。訪問時に撮影した写真をWEBサイトに掲載して、北欧の様々な生活スタイルを情報発信して、日本における北欧スタイルの結婚指輪の確立をはかりました。
2013年、新ブランド「Hygge」を展開。「シンプルで長く使える」北欧スタイル」が支持を集める
マリッジドマリッジを設立して2年後の2009年9月、民主党政権がスタートします。ある意味、革命的な出来事だったので、もしかしたら日本も北欧をモデルにした高福祉国家になれるのではないかと、期待した人も少なくなかったのです(その後の経過はご承知の通りですが)。ぼんやりとですがこの時代に国内での北欧へのあこがれが強まったと思います。
実際に日本に北欧ブームをもたらしたのは、フィンランド航空が国内6か所から週に28便もの大量運航を始めたことでしょう。実態としてはヘルシンキ空港は乗り継ぎだけで、そこからヨーロッパ各地へ行く観光客が多かったのですが、フィンランドはとても身近な存在になりました。そして、フィンランドで国民的に人気のあるマリメッコが日本でもブームになり、北欧ブームの中心はデンマークからフィンランドに移行します。2006年に公開されロングセラーになった映画「かもめ食堂」や、だいぶ遅れて大ブームになったサウナもフィンランドのアイコンです。マリッジドマリッジの結婚指輪のデザイン名も、デンマーク語からフィンランド語に変わりました。
また、GNHでは2013年に、40代以上対象の北欧スタイル結婚指輪として新ブランド「Hygge(ヒュッゲ)」を発表し、北欧スタイル結婚指輪のライン拡大を図っています。大人のくすり指に似合うボリューム豊かな結婚指輪は、結婚25周年30周年の機会に買い替える一生モノの指輪として静かな支持を集めました(その後「Hygge(ヒュッゲ)」は50代のための結婚指輪としてリニューアルしています)。
50代のための北欧スタイル結婚指輪ヒュッゲ
一方で、国内で景気の停滞が続く中で、生活に根付いた堅実な暮らし向きが支持を集めるようになります。その中で、「シンプルなデザインの良いものを手入れしながら長く使う」という北欧スタイルがじわじわと広がっていきました。
2016年「ムーミンの結婚指輪」が誕生。キャラクターが祝福してくれる新たな北欧スタイル
日本でのムーミンは、なかなかやっかいな存在です。1970年前後に放映されたアニメ「カルピスまんが劇場」での放映が圧倒的な人気を集めたため、現在でもムーミンの認知度が一番高いのは60歳前後の方々です。しかし、このアニメはトーベヤンソンの原作とは、かけ離れた内容と言われています。その後、1990年前後に放映のアニメ「平成ムーミン」の視聴者(現在40歳前後)が、第二世代のコアユーザーになっています。
いずれにせよ渡部は、北欧スタイルの結婚指輪のバリエーションを広げるために、「ムーミンの結婚指輪」を開発したいと考えました。渡部は「カルピスまんが劇場」世代ですが、ムーミンにはリトルミイ、スナフキンといった個性的なキャラクターが多数存在しているのを知ってました。これらを指輪の内側に入れることが出来れば、結婚する二人を応援してくれるユニークな結婚指輪が誕生すると考えました。
当時、ムーミンの版権は海外小説のライセンスを扱う、タトルモリエージェンシーが管理していました。同社とアポイントを取って商品化のお願いに行くとき、渡部は気合を入れて、フィンランドのマリメッコのシャツを着て行きました。ある意味願掛けだったのです。ところが応対してくれた部長さんも、色違いのマリメッコのシャツを着ていて、交渉は和やかに進むことが出来ました。
そして2016年に誕生したのが、指輪の内側のムーミンが祝福してくれるムーミンの結婚指輪です。これも間違いなく北欧スタイルの結婚指輪のひとつの形と言えるでしょう。
ムーミンの結婚指輪
今後も日本のライフスタイルに対応した、北欧スタイルの結婚指輪を届ける
国内で北欧ブームが盛り上がる以前、2007年にGNHから誕生した北欧スタイルの結婚指輪マリッジドマリッジ(MariMari)は19年目を迎えました。その間に、北欧をめぐるイメージや認識はゆるやかに変化したので、マリッジドマリッジ(MariMari)もそれに対応してきました。ムーミンという新しい北欧スタイルの結婚指輪も誕生しましたが、GNHはこれからも日本のライフスタイルに対応した、北欧スタイルの結婚指輪をお届けしてまいります。
北欧スタイルの結婚指輪マリッジドマリッジ(MariMari)