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株式会社 類設計室

建築を切り口にものづくりの楽しさを学ぶ「こども建築塾」開講の裏側

(PR TIMES STORY) 2023年09月02日(土)23時25分配信 PR TIMES

株式会社類設計室(本社:大阪市淀川区 社長:阿部紘)は9月9日、小学4年生から中学生を対象にした「こども建築塾」をスタートさせます。


同社は、1972年に創立、教育・研究施設の分野で売上高No.1の実績(※「日経アーキテクチュア」2022年9月号の設計事務所21年売上高調べより)。そんな同社が、子どもたちのための建築の学び場を立ち上げました。なぜ、子どものための建築塾なのでしょう。詳しい話を、同社の経営統括部経営企画課の山根教彦課長と、人材課の北口晴香氏に聞きました。


山根教彦課長/北口晴香氏

こども建築塾の本格的かつものづくりの楽しさを伝えるカリキュラム

こども建築塾のカリキュラムを見たある親御さんは目を丸くし、こうつぶやいたそうです。

「想像以上に本格的ですね」


カリキュラムを見れば、その親御さんだけでなく、多くの人が「なるほど、これは確かに本格的だ」と思うでしょう。


9月9日にスタートするこども建築塾は毎月2回、半年間開催されます。これが1年目の前期です。さらに後期(半年)と続き、最終的には計3年間にわたって学ぶというシステムだそうです。


数回で終了するようなものでなく、この1年目の半年間だけを聞いても「しっかりしたカリキュラムなんだなあ」と感心します。



しかも講師陣には、類設計室の第一線で活躍するベテラン現役の一級建築士を揃えています。



「とはいえ、決して、すべての受講者が最終的に建築士になることを目的としているわけではないんです」と説明するのは、こども建築塾の企画立上げからかかわっている山根課長です。


日本はものづくり大国といわれたが、最近はデジタルやIT分野に光が当たり、ものづくり分野はどうも分が悪い。だから、こども建築塾は“ものづくり”という大きな枠を見据えたものだといいます。


「建築士を目指すこともいいのですが、それよりもまずは、ものづくりの楽しさ、まっさらから創っていく面白さを、もっと子どもたちに知ってほしいという想いがあっての建築塾なんです。

AI時代だからこそ立体感覚やリアルな感覚も大事です。その上で、そういうデジタルもリアルも使いこなす人材を育てたいと思っています」(山根課長)

自身も一級建築士の資格を持つが故に、「ものづくりの楽しさ」という言葉に説得力があります。


開講前に開かれたプレイベントで子どもたちにアドバイスをする山根課長

できる、できないよりもその子自身の成長を評価していく

設計事業部と教育事業部と人材課がタックを組んで生み出した、こども建築塾プロジェクト。

企画立ち上げに早くから参加した社員の一人が北口氏です。

北口氏は、大学で建築に関わる分野を学び、現在は人材課で採用や人材育成課題に取り組んでいます。

今回はこれまでの経験を活かし、限られた時間の中でカリキュラムの詳細を固めていく役割を担いました。


「普段、人材課で触れ合うのは大学生がほとんどですが、建築塾は小学生から中学生と対象が広がります。今子どもたちに伝えていきたいことは何か、普段から小中学生に関わる教育事業部の社員たちとたくさん議論しました」(北口氏)


「講師を担う設計室の社員にも、建築を志したきっかけや想いを聞いてみました。接点は様々ですが、共通していたのは、絵を描いたり工作が好きだったこと、そしてそれを周りの人が喜んでくれたという経験でした。建築士を目指すなら、専門的な知識や技術ももちろん必要。でもそのもっと根本には、ものづくりを楽しむ気持ち、相手を思いやれる心が重要だと感じました。

だから、こども建築塾では、出来るできないではなく、身体で体感すること・実際に手を動かすこと、そして仲間と創り上げる時間も大切にしたいと思っています。


カリキュラム作成で壁にぶつかることもありましたが、『まずは、子どもたちが楽しいと思えることが一番』『やりたい気持ちさえあれば、いくらでもうまくなれる。力は後からついてくる』そう語る仲間の存在に何度も背中を押してもらいましたね。そうやって、たくさんの人の想いが詰まったカリキュラム。子どもたち一人一人がどんな成長を遂げていくのか、今からとても楽しみです」


子どもたち一人一人に寄り添うという想いを込め、子どもたちの成長を評価していくものだそうです。後で触れますが、7月末に開催したプレイベントでの子どもの反応を聞けば、ああその通り子どもたちに寄り添ってくれる講義なんだとよく分かります。


子どもがワクワクするカリキュラム

さて、講義は具体的にどんな内容なのか気になるでしょう。すでに1年ごとの大きなテーマと、スタート半年(前期)の内容は明らかになっているので、その概要を見てみましょう。



各講義は、1年目のテーマ「建築の原点を掴む」にふさわしく、まず建築・ものづくりに興味が湧くような内容になっています。



例えば、「空間を描こう」という講義の後には「粘土や紙で模型をつくろう」という講義があります。

「絵を描くことが得意な子もいるし、一方で絵は苦手だけど模型づくりが得意な子もいます。得意でない方で嫌にならないように、楽しめるように工夫をしています」(山根課長)


講義は「工房」とよばれる大阪本社の4階に新設されたスペースで主に開催されますが、屋外にも飛び出していきます。同社が大阪北摂(彩都)に所有する林に訪れ、デザインを考える講義などが、それに当たります。



自然の中でツリーハウスやウッドデッキを具体的にイメージして考える――。子どもたちは心からワクワクするでしょう。あっという間に時間が過ぎるほど、貴重な体験になることが、手に取るように想像できます。これなんて、大人が受ければ、童心に戻りそうです。


名匠の実演や設計室でのインターン。真剣な仕事の場を体感する子どもたち

ユニークなのはツリーハウスだけでなく、「竪穴式住居」なども学ぶ対象になっている点。これは、同社には「本源から考える」という理念があり、日本の住居の原点である竪穴式住居を考えることで、まさに建築を本源から考えようというものだそうです。


さらに、建物を想像して終わりではなく、実際に使える形にするために構造をつかむという、これぞまさに本格と呼びたくなる講義もあります。例えば、


・「揺れても壊れない建物をつくろう(模型)」

・「名作(建築)を知り、その設計図を描く」

・「法規・防災」

などがそれです。


前期で2回予定されている特別講義も見逃せません。そのうちの1回は、伝統宮大工の棟梁、名匠・西嶋靖尚氏を招いて、子どもたちは目の前で実演を見せてもらうというもの。なんとも贅沢な講義です。


2年目のテーマは「未来の建築を考える」で、大阪である万博の年にぴったり。3年目は「設計室でインターン」というもの。大学生のインターンと同じように、類設計室で実際に働いてみる。中学生や高校生くらいの年代の子が、本当の現場で真剣な仕事を体験するのだそうです。


そして、3年間を通して受講すれば、最終的に3年後に独自の資格『3級建築士』が授与されるといいます。



3年間を通じた貴重な経験。子どもたちがどれほどの成長を遂げるのか楽しみです。

実際、その成長の一端を、前述したプレイベントでの子どもの様子から紹介します。

子どもに寄り添った声かけが自信を育む

7月に、こども建築塾のプレイベントが開催。多くの子どもたちが参加して、こども建築塾の学びの場となる「工房」で、その室内を描くという内容でした。



一級建築士の資格を持つ同社設計室の現役社員が、子どもたちにちょっと助言をすると、ビフォアー・アフターで絵が大きく変化したといいます。


「『私、絵を描くのが苦手やねん』と少し元気なさそうな感じの子が、ほんの少しのアドバイスを受けただけで、見違えるように絵が変化しました。その子が帰り際に『私、絵がうまくなったで』と笑顔で話してくれました」と語った山根課長は、まるで我が事のように嬉しそうな顔でした。


他にも、工房の室内を描いた子に、これまたちょっと助言をすると、その子は次の絵で見違えるような空間的な絵になったそうです(上写真)。


その子とその絵がチラシに掲載されていますがそれを拝見すると、なるほど、その子の自信に満ちた表情が達成感を物語っています。


山根課長が冒頭で話した「ものづくりの楽しさを広めるために建築を学ぶ」というのが、こども建築塾を始めるきっかけだったようですが、そこを深掘りすると、さらに3つのミッションがありました。


1つは社会課題としての理系人材養成。


現在、国と文科省は高等教育(大学・大学院)の拡充で、理系人材を育成し増やそうとし、デジタル・グリーン(脱炭素)や農業を中心に転換を目指す学校法人への支援をしています。


この流れを受けて、実際、建築学部や建築学科を新設する大学も今増加中なのです。今後、建築を学ぶというのは、大きな潮流となっていくことは間違いない。その意味で、こども建築塾も唐突に出てきた発想ではなく、類設計室が社会要請の流れを見据えた上でのものだそうです。


2番目に同社が教育事業を長年運営していること。


実は、同社には「類塾」という名で知られる教育事業部があります。会社創立から3年後に学習塾の類塾をスタートさせ、大阪の北摂地域ではよく知られた存在です。


(教育事業部:https://www.rui.ne.jp/education/


「勉強中心の学習塾が要求された時代もありましたが、今はもう勉強だけだと子どもたちの意欲は上がりません。そんな中で、教育の新事業を模索していました」(山根課長)


そんな折、同社の阿部紘社長から「大阪北摂の所有林をもっと使うような、新たな教育事業が何かできないか」という提案が出たそうです。類塾は、こども建築塾以前からその所有林を使った自然教育の事業もやっています。


それに加えて、フリースクール事業で、「仕事」体験を本格的に取り入れていることもあって、自然(所有林が使える)×フリースクール事業(仕事)×設計事業の強みという3つのかけ合わせから、こども建築塾が立ち上がりました。(なお、こども建築塾は、教育事業部「仕事学舎」のコースの一つです)

(教育事業部・自然教育の事業「自然学舎」:https://shizen.rui.ne.jp/

(教育事業部・フリースクール事業「類学舎」:https://ruigakusha.rui.ne.jp/

(教育事業部・「仕事学舎」:https://shigoto.rui.ne.jp/


3つ目は少子化による建築業界の人手不足の問題です。


子どものための建築塾という形が固まっていく中で、同社の人材採用にも関わる山根課長は痛切に思うことがあると言います。

「建築事務所に所属する一級建築士は減少傾向にあります。実際、2020年の所属一級建築士で20代は2000人を切り、約1500人です。一方、50代と60代で全体の過半数を占めています。人材不足になっていくことは明らかで、このままでは建築業界、設計業界も、人材不足で先行する農業や林業と同じ道をたどります。

その意味で、建築と教育に携わる私たちがこども建築塾を立ちあげるのは、使命だと考えています」

「こども建築塾」3年間の航海へ出発

類設計室が挑戦するこども建築塾は、多くの大人や子どもたちの思いを乗せ、帆を上げて、3年間の航海に出ます。果たしてどんな成果を持って帰って来るのでしょうか。3年後、戻って来る多くの人の笑顔が待ち遠しく感じます。


【インタビュー】

山根教彦

2013年入社。

設計事業部の意匠設計として、東京設計室に配属。区立小学校・幼稚園の複合施設や養護老人ホーム、学生寮など多彩なプロジェクトに参画。

2016年

志願し、同企画部に配転。数多くのプロポーザル〜設計を担当し、2年半で勝率8割を誇る。『荒川区立尾久図書館(新建築掲載)』、『本の森ちゅうおう』の公共施設から、民間のイノベーション施設や、事業所の移転・建替え事業などを担当。

2021年

経営統括部 人材課 課長に抜擢。採用や人材育成の体制改革を担いながら、類学舎と企業をつなぐ取り組みに関わる。

2022年 〜現在

経営統括部の経営企画課・人材課・システム課・広報課の統括となり、事業統括部の戦略企画チームにも参画。組織改革の推進役を担っている。



北口晴香

2019年入社。

経営統括部 広報課に配属。教育事業部を中心に、全社の広報物・webページ作成に関わる。

2020年

経営統括部 人材課に配転。学生向けのインターン・面接など採用系を中心に、広報課の経験を生かして採用広報にも注力。類学舎の企業インターンフォローも担当。

2022年 〜現在

教育事業部の自然学舎「アドベンチャーフィールド」を舞台にしたプロジェクト型のインターンシップを立ち上げ。2023年からは新事業チームに参画し、子ども建築塾の企画・運営に携わる。


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