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サッポロホールディングス

ビール醸造技術において世界的権威のある「ヨーロッパ醸造学会」で研究成果を発表

(PR TIMES) 2022年07月31日(日)20時40分配信 PR TIMES

発酵由来で香り成分が変化することの新発見と、オークチップを使用した新たな製造工程を発表


サッポロホールディングス(株)のグループ企業であるサッポロビール(株)は、世界的なビール学会である第38回ヨーロッパ醸造学会(注1)(2022年5月29日〜6月2日、スペイン マドリード)にてビール醸造の研究成果を発表しました。

ヨーロッパ醸造学会は、2年に一度開催される、ビール醸造技術に関する世界的権威のある学会のひとつです。ヨーロッパのみならず世界からビール醸造の研究者が集まります。その発表者に選出されるには、高い技術レベルが求められるだけでなく、ビール醸造技術の向上に対する貢献度などの厳しい選考を通過する必要があります。当社はポスター発表部門、口頭発表部門でそれぞれ研究成果を発表しました。
ポスター発表(写真1)では、近年クラフトビール等で話題になりつつあるハーブやスパイスを加えて発酵について、発酵による酵母の働きでハーブやスパイスの香り成分が変化すること、また、発酵させることで単にハーブやスパイスを加えただけでは作ることのできない香味になり得ることを発表しました。
口頭発表(写真2)ではオーク樽を使ったビールテイストの製造工程に着目した研究について発表しました。醸造工程中にオークチップを添加することで、樽熟成したものと近いオークの香りを付与したビールテイストを製造できること、そして添加するタイミングや用いるオークチップの種類によって香味特徴を変えられることを明らかにしました。今後、この研究成果をよりバラエティー豊かな新商品の開発に応用し、お客様に多様なビールの楽しみ方を提供していきます。
(注1)EUROPEAN BREWERY CONVENTIONの主催で欧州にて2年に一度開かれる学会で、ビール醸造の分野で世界的権威のある国際学会のひとつとされています。
[画像1: https://prtimes.jp/i/12361/2046/resize/d12361-2046-a49f117f8579df8d4f13-5.jpg ]

【発表詳細】
■ポスター発表
<研究>さまざまなハーブ・スパイスに含まれる香り成分の発酵による変換と香味への効果
1:レモングラスを発酵させたビール
レモングラスでレモンの香りがする理由は、レモンと同じ香り成分であるシトラール(ゲラニアールとネラールの総称)が豊富に含まれているためです。ビールを発酵させる前の香り付けにレモングラスを用いて、発酵過程におけるレモングラスの香り成分の変化を分析してみました。その結果、シトラールは酵母によって、そのほとんどがゲラニオールとネロールに変換され、さらに別の香り成分(β-シトロネロール、リナロール等)にも変換されていることがわかりました(図1)。
発酵後には、シトラールはほとんどなくなっていましたが、そのビールからは発酵させていないレモングラスを添加したビールと同じくらい、レモンの香りがしっかりと感じられました(図2)。発酵により生成した成分のうち、リナロールとゲラニオールとβ-シトロネロールの組み合わせではレモン、ライムのような香りを感じることがホップ研究で解明されており、それらの成分がシトラールと交代するような形でレモンの香りを担っていたことが官能検査と香り成分の追跡によって明らかとなりました。

[画像2: https://prtimes.jp/i/12361/2046/resize/d12361-2046-0e19c0a471f9b8e7679c-2.png ]



2:ミントを発酵させたビール
ミントには、メントールとよばれる清涼感をもつ成分が含まれています。ミントを加えてビールを醸造したところ、酵母の発酵の作用でメントールの一部が酢酸メンチルという別の香り成分に変換されることが分かりました。酢酸メンチルそのものも甘く、フルーティーな香りを持っていますが、官能検査によって、この成分には他のミントの香り成分の清涼感を増強させる効果があるということを明らかにしました(図3)。なお、HOPPIN’ GARAGEにて数量限定発売した「大人のチョコミント」(写真3)にはこの研究成果が活用されています。

[画像3: https://prtimes.jp/i/12361/2046/resize/d12361-2046-41c259edea68922f4921-1.png ]

■口頭発表
<研究>醸造工程にオークを添加したビールテイストの香味を評価する
1:醸造工程中にオークチップを添加してビールテイストをつくる
オーク樽を酒類の熟成や風味付けに使用することは一般的ですが、この方法には「樽および専用の貯蔵場所を必要とする」、「熟成に時間がかかる」といった課題があり、従来、工場のスケールが大きいビール醸造には適用することは難しいとされてきました。本研究では、醸造工程中にオークチップを添加して、ビールテイストにオークの香りを付与する製造方法について検討しました。オークチップを加えるタイミングは麦汁を造る仕込工程のうちの麦汁煮沸、主発酵の開始前(発酵前)、その終了時(発酵後)、そして熟成(貯酒)工程で比較しました。これらのビールテイストでオーク由来の香り成分を分析した結果、いずれの添加タイミングでもオークの香りを付与できることが明らかとなりました(図4,図5)。
[画像4: https://prtimes.jp/i/12361/2046/resize/d12361-2046-2c65b1abe1bd01371e79-3.png ]

2:オークチップの添加タイミング・オークチップの種類によるビールテイストの特徴の違い
オークチップを添加したビールテイストについて官能評価を実施したところ、添加するタイミングによって香味特徴に違いがあることが分かりました。なかでも特徴的なものとして、麦汁煮沸時に添加したビールテイストでは「スモーキー」「ロースト」の特徴が強く、貯酒時に添加したビールテイストでは「バニラ」、「ココナツ」の特徴が強いという傾向がみられました(図6)。麦汁煮沸時にオークチップを添加した例は本研究が初めてであり、様々な香味のビールテイストをつくる新たな方法として今後活用されることが期待されます。また、麦汁煮沸時にオークチップを添加する方法を用いて、様々な種類のオークチップを用いた試験を実施しました。産地やトースト強度の異なるチップを添加したところ、チップの種類のよってもビールテイストの味や香りを変えられることが明らかとなりました(図7)。


[画像5: https://prtimes.jp/i/12361/2046/resize/d12361-2046-29220cedee1fcdf7dde0-4.png ]

<消費者の方からのお問い合わせ先>
サッポロビール(株)お客様センター
TEL 0120-207-800



プレスリリース提供:PR TIMES

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