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公益財団法人日本ユニセフ協会

胎児期から3歳までのケアの質が人と社会の成長を左右する【プレスリリース】

(PR TIMES) 2016年10月05日(水)18時15分配信 PR TIMES

ユニセフ専門家ら 世界的医学専門誌『ランセット』で論文を発表


[画像: http://prtimes.jp/i/5176/771/resize/d5176-771-574538-0.jpg ]

※本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。
※本信の原文は、http://www.unicef.org/media/media_92876.html からご覧いただけます。
※本信でご紹介する医学専門誌ランセットのPDFデータ(英語)は以下URLからダウンロードいただけます。http://www.thelancet.com/series/ECD2016

【2016年10月4日 ワシントンDC発】
「低所得国と中所得国(low-and middle-income countries (LMICs))の5歳未満の子の推定43パーセントにあたる約2億4900万人は、極度の貧困や栄養不良の一つである発育阻害(Stunting-スタンティング)によって、十分に成長できないリスクに直面している。」本日発表された世界的医学雑誌『ランセット』は、こう指摘しています。

今回『ランセット』は、乳幼児期のケアをテーマにした複数の論文をシリーズで紹介。保健医療や栄養面はもとより、子どもを個として尊重するケア(レスポンシブ・ケア)や安心・安全の確保、就学前教育などの子育て環境を拡充する取り組みに必要な費用は、既存の保健医療サービスに掛かっている費用を含めても、子どもひとりあたり年間50セント程度に過ぎないとしています。本シリーズは、世界保健機関(WHO)や世界銀行、ユニセフがその編纂や執筆に参加しました。

本シリーズは、国際社会がこれまで以上に乳幼児ケアに取り組むことの重要性を強調しています。人は、平均年間収入の凡そ4分の1を失っていると推定されています。国家も、保健医療や教育分野の公共サービスへの支出も、今後2倍まで膨れ上がることが予想されています。この状態を放置することは、今の世代のみならず将来の世代にも影響を及ぼします。

本シリーズの共同編纂者のひとり、南アフリカ ウィットウォータースランド大学のリンダ・M・リッチャー教授(Professor Linda M. Richter, PhD, DST-NRF Centre of Excellence in Human Development, University of the Witwatersrand, Johannesburg, South Africa)は次のように語っています。「現状を放置することが将来高いコストになって私たちに跳ね返ることは、既に分かっています。最新の学術研究も、行動を起こすのは今だということを私たちに教えてくれています。本シリーズ(を通じた提言)が、子どもたちの成長と彼ら・彼女らが成人になってからの健康状態を劇的に改善する可能性を持つ予防的かつ人々が生まれ持った能力を最大限に発揮せしめる様々な施策を、各国政府が、ひとりでも多くの妊産婦や乳幼児に提供するきっかけとなれば幸いです。」

子どもの脳が生後2-3年の間に成長する速度が一生の間で最も早いことが、近年の研究で明らかになっています。この2-3年はまた、人が外的環境に適応し反応する能力を育む上で、同様に重要な時期です。乳幼児が必要とする栄養を得られなかったり、適切な刺激を与えられなかったり、必要な保護を得られなかったりした場合、そのマイナスの影響は、長期的に、子どもの家族や子どもが住む社会にも及びます。

世界銀行グループ人間開発部のキース・ハンセン副総裁(Keith Hansen, Vice President, Human Development at the World Bank Group)は、次のように語っています。「子どもがお母さんのお腹の中にいる時を含めた、子どもの人生の最初の1000日間(に関わる様々な施策)への投資が有効であることは、科学的にも経済学的にも証明されています」「この投資を怠れば、子どもたちは学校に入る遥か以前の段階で既に“遅れ”てしまいます。そして一生を通じて不利な立場に置かれ続けるのです。しかし、もし投資すれば、子どもたちが生まれ持った能力を伸ばし、彼ら・彼女たちは、将来的に生産性を持った市民として地域や世界の経済活動に積極的に参加できるようになるのです。」

本シリーズの執筆者は、乳幼児をターゲットにした諸施策、特に子育て施策(nurturing care)の入口として、医療保健分野での取り組みの有効性を強調しています。既存の医療保健サービスは、受胎から乳幼児期にかけての非常に重要な時期に、女性と子どもの双方に対応しています。このため、世界保健機関(WHO)やユニセフが提唱するCare for Child Development, and Reach Up and Learnと呼ばれる取り組みに代表される低コストで実施できる施策は、母子を対象にした既存の保健・栄養サービスに統合することが容易なのです。実際、これまでの実践でも、こうした取り組みが子育て施策の質の向上や乳幼児の全般的な成長に資していることが明らかにされました。また、子どもたちをケアする側(専門家など)の待遇の問題にも、私たちの目を向けさせてくれています。

ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は、次のように訴えます。「人の可能性は生まれた時に決められているわけではないということを、最新の科学は私たちに教えています。子どもたちが生まれて直ぐの時期に、そしてとても幼い時期に経験することが、彼ら・彼女らのその後の人生の形を作り、将来を決めるのだと」「私たちは今、この“科学”を“目覚ましアラーム”に変える必要があります。何百万もの子どもたちが、差し迫ったリスクに直面しているのです。低・中所得国で生まれ持った認知面の能力をフルに活かすことができないリスクに直面している子どもは、全体の43パーセントにものぼっているのです。半数近くの子どもが脳の成長リスクを抱えていることを許容できる国があるでしょうか?低・中所得国も、言わずもがなです。」

本シリーズの執筆者は、乳幼児ケアの諸施策は、早期に提供される必要があるとも訴えています。「かつて、乳幼児に対するケアと言えば、それは就学直前の年齢期にある子どもたちを対象にしたものが中心でした。しかし今では、胎児から生後2年までの時期のケアがその後の成長や健康を大きく左右すること、そして、子どもが生まれ持った能力を十分に発揮できるようにするために大きな役割を果たすことが明らかになっています。」と語るカナダ・トロント大学のステファン・リー教授(Professor Stephen Lye, PhD, Executive Director, Fraser Mustard Institute for Human Development, University of Toronto, ON, Canada)は、乳幼児ケアの拡充のために国際社会ができる方法を次のように挙げています:
• 乳幼児を持つ家族が適切な子育てをできる、また、そうした家族をサポートする環境を整えるための政策の立案や実施。
•既存の保健医療、栄養、教育、社会福祉、児童保護の各分野での個別の施策の強化と施策間の連携の強化を通じ、乳幼児ケアサービスの提供能力を向上させ強化する。
•乳幼児ケアに関する指標を確立し、同施策の推進主体を明確にする。
•調査研究を強化し、国際的並びに地域レベルでのリーダーシップを確立するとともに、具体的な行動を起こす。
•持続可能な開発目標(SDGs)に関わる啓発活動の中で、(乳幼児ケアの問題に関する) 政治的意思を拡げるとともに、資金調達を行う。

世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長は、次のように訴えています。「乳幼児への投資は、モラルの上でも、経済的観点からも、そして社会的観点からも、肝要で必須の投資です。SDGsは、世界の子どもや若者の健康の課題の解決に向け目指すべき方向を示してくれました。しかし、これらの野心的な目標の達成には、乳幼児のケアに対する政治的意思と投資が不可欠です。乳幼児期の子どもに対するケアの拡充は、今日を生きる子どもたちにとっての利益に留まらず、世界の国々が将来にわたって安定的に成長しうるか否かを左右する問題なのです。」
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)

プレスリリース提供:PR TIMES

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