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富士フイルムヘルスケアがNVIDIAのテクノロジを活用して開発したCardio StillShotソフトウェアを発表、心臓のCT撮影に特化

(PR TIMES) 2022年04月14日(木)20時40分配信 PR TIMES


[画像1: https://prtimes.jp/i/12662/291/resize/d12662-291-44f66fb9ea985e20d011-4.jpg ]


画像診断の世界的なリーダーである富士フイルムヘルスケアは、同社のCT製品として初の試みとなる、心臓を撮影するために特化したソフトウェア、Cardio StillShotを発表 (https://www.fujifilm.com/fhc/ja/news/58 ) しました。Cardio StillShotは、富士フイルムヘルスケアの全身用X線CT診断装置、SCENARIA View (https://www.fujifilm.com/jp/ja/healthcare/mri-and-ct/ct-system/scenaria-view-plus ) に搭載可能な機能であり、NVIDIAのテクノロジを採用することで、幅広い心拍数における精密な心臓の画像診断を可能にしました。

心臓のCT検査における課題

世界的に主要な死因として、悪性新生物や脳卒中とならんで心疾患が上位をしめており、各国で社会負担、医療費負担が深刻化しています。心疾患の治療および予防が各国で課題となっていますが、心臓の病気を短時間で診断し、治療方針を決めるために有効な検査となるのが心臓のCT検査です。

心臓は冠動脈と呼ばれる血管によって血液が供給されています。鮮明な心臓のCT画像を作成するためには、毎分60回程度の比較的低い心拍数(60 BPM)でなるべく冠動脈の動きが少ないタイミングで撮影または画像再構成を行う必要がありますが、患者の心拍数が高い場合や不整脈の場合、動きのすくない時間が短くなってしまいます。そこで心臓CT検査において重要となるのが時間分解能、いわばシャッタースピードです。画像再構成を行う際、シャッタースピードが低いと冠動脈の画像にブレが生じてしまい、診断ができなくなってしまうため、シャッタースピードをいかにあげていくかがCTの性能を表すひとつの指標になっています。

CT装置のハードウェア技術の進歩により、高速な回転スキャンを行うことで時間分解能を向上させ、高心拍の症例にも対応できるようになりました。しかし、スキャンスピードを上げることは遠心力の制御など困難な面も多く、結果的にCT装置に掛かるコストが高額になってしまうといった大きな課題がありました。富士フイルムヘルスケアでは高い時間分解能を実現するために、ハードウェアだけでなくソフトウェアからのアプローチに新たに取り組みました。そこで開発されたのが、患者の心拍数が高い状態でも心臓の動きを自動的に検知、補正することでブレの少ない画像を作成可能なCardio StillShotです。

4D のベクトル フィールドを活用し、6倍の時間分解能の改善を達成

Cardio StillShotでは収集したデータから画像再構成を行う際に、まず心電図上の異なる時相の2つのデータを作成し、心臓の動きの方向と量をピクセル毎に算出する計算を繰り返し行います。これにより得た撮影領域全体の動き情報を含む4Dベクトル フィールドを用いて、収集したデータを補正することで、再構成時に動きによる影響を抑制し、高い空間分解能を持つ、再構成画像を得ることができます。

[画像2: https://prtimes.jp/i/12662/291/resize/d12662-291-85f74bc6d8ea63d62e5c-3.jpg ]


従来の同社のCT装置で冠動脈を撮影する場合、X線管が一回転するのに0.35秒かかり、時間分解能としてはその半分の時間である175ミリ秒でした。これに対し、Cardio StillShotは運動ベクトル フィールドによる補正を用いた画像再構成により、実効時間分解能としては最大28ミリ秒を達成しました。175ミリ秒から比較すると、6.25倍の時間分解能の改善を達成しています。Cardio StillShotは血管だけでなく、大動脈弁や心筋などに対しても効果を発揮します。
[画像3: https://prtimes.jp/i/12662/291/resize/d12662-291-cef69189e995f744fad7-2.jpg ]

画像キャプション:Cardio StillShotと従来手法による冠動脈の再構成画像の比較。従来手法では血管の一部がブレて連続性がないのに対し、Cardio StillShotでは血管全体の辺縁が明瞭で連続性のある画像が確認可能です。このようなブレのない状態の血管を回転し、観察することで循環器内科医や放射線科医は狭窄の有無などを容易に把握することができます。

これまでにない演算量に対応するため、GPUを初めて採用

富士フイルムヘルスケアはこれまで画像再構成のエンジンにはCPUを採用していました。しかし、今回のCardio StillShotはこのように再構成時に計算を何度も繰り返すため従来の10倍という演算量(同社比)が必要になり、CPUでは実現することができませんでした。そこで、同社は初めてNVIDIAのGPUを採用しました。NVIDIA Ampereアーキテクチャで構築されたパワフルなビジュアル コンピューティング GPU である2基のNVIDIA RTX A6000 ( https://www.nvidia.com/ja-jp/design-visualization/rtx-a6000/ ) が、一連の処理を高速化させます。また、富士フイルムヘルスケアは、Cardio StillShotの開発において、ピクセル レベルで動きを試算する NVIDIA のOptical Flow SDK、計算を高速化する CUDA、および性能を最適化するNVIDIA のNsight Computeといった、NVIDIA のソフトウェア スタックとツールも活用しました。
[画像4: https://prtimes.jp/i/12662/291/resize/d12662-291-4b0bda7bedef78ffed9d-1.jpg ]


診断能の向上と患者の負担軽減への期待

通常、CT装置において高性能な機能を追加するためには、CT装置自体の高額な設計費と製造のアップグレードが必要となりますが、富士フイルムヘルスケアはNVIDIA の GPU を活用することでこの常識を打破し、ソフトウェアの強化を通じてCT装置に高い時間分解能という重要な機能の追加を実現しました。

Cardio StillShotにより、臨床現場における、撮影後に最良の再構成タイミングを探す時間の短縮が期待されるほか、動きによるブレの少ない画像が提供できるため、診断能の向上にも貢献します。将来的には心臓CT検査で使用する心拍数を下げる薬(βブロッカー)の投薬を不要にし、患者の負荷を減らすことも視野に入れています。現在は心臓、特に冠動脈、心筋、弁が再構成の対象となっていますが、心臓以外の部位への展開も検討されています。

世界中で販売予定、ITEMにて展示

Cardio StillShot は、SCENARIA View の最新モデルのソフトウェア有効化オプションとして、RTX A6000 GPU コンソールと併せて提供されます。4月5日より日本で販売を開始したほか、順次全世界で展開される予定となっています。また、富士フイルムヘルスケアは、既存のSCENARIA View製品を対象としたアップグレードとしてCardio StillShotとGPUコンソールを販売予定であり、これにより既存のお客様は、全身用X線CT診断装置を買い替えることなく、最新の心臓CTスキャン機能を得ることが可能になります。心臓CT検査が可能な装置を設置している機関は現在、国内では大規模な病院に限られていますが、そのような装置を持たない大半の中核病院や地方の医療機関でもCardio StillShotを追加で搭載することで、心臓CT検査の拡大が期待されます。

富士フイルムヘルスケアは、 4月15日からパシフィコ横浜で開催される2022 国際医用画像総合展(ITEM)において、SCENARIA Viewの展示およびCardio StillShotのデモを行う予定です。詳細は、こちら ( https://www.fujifilm.com/jp/ja/healthcare/events/7376 ) をご覧ください。



プレスリリース提供:PR TIMES

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