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国立大学法人千葉大学

加齢性記憶低下の原因解明へ!〜老化に伴うインスリンシグナルの変化が記憶低下を引き起こす〜

(PR TIMES) 2017年02月15日(水)10時44分配信 PR TIMES

千葉大学大学院薬学研究院の殿城亜矢子助教と伊藤素行教授の研究グループは、血糖値の調節や代謝の制御を行うインスリンとインスリン依存的な脂肪細胞内のシグナルが記憶の維持に必要であることを明らかにしました。また、インスリンの量は加齢に伴って変化することなどから、加齢性記憶低下の原因解明に役立つことが期待されます。

研究の背景

 血糖値の調節や代謝の制御を行うインスリンは、細胞膜上にあるインスリンを受け取る受容体(インスリン受容体)に結合し、細胞内にシグナルを伝えることが知られています。このインスリンシグナルは、 哺乳類から昆虫を含む無脊椎動物まで進化的に広く保存されています。またインスリンシグナルは、発生 や成長、代謝の制御など様々な時期や組織で重要な役割を果たします。近年、インスリンが学習・記憶に 関与する可能性や、糖尿病などインスリンの調節異常が認知症のリスクファクターとなる可能性が示唆されてきました。しかし、インスリンが学習・記憶にどのような役割を果たしているのか、さらには加齢性記憶低下にどのように関与しているかは不明でした。


研究結果の内容

 今回、ショウジョウバエを用いてインスリンが記憶を制御するメカニズムや加齢性記憶低下との関与について調べました。 ショウジョウバエは匂いと電気刺激を条件付けすることによって、学習・記憶能を簡単に測定することができます。また、老化したショウジョウバエでは記憶する能力が低下することが知られています。まず、発生や成長の時期に影響することなく一過的にインスリンシグナルを抑制したショウジョウバエを作成 し、学習・記憶能を測定したところ、インスリンシグナルは記憶を維持するのに必要であることが明らかになりました。

[画像1: https://prtimes.jp/i/15177/160/resize/d15177-160-245590-0.jpg ]


 また、インスリン受容体は筋肉、脂肪組織や神経細胞など様々な組織に発現していますが、その中でも脂肪組織におけるインスリン受容体の発現が記憶の維持に必要であることが分かりました。ショウジョウバエでは、インスリンとインスリンによく似たインスリン様成長因子(IGF)の機能は、Dilp1から Dilp8まで8種でまかなわれており、機能分担しています。本研究により、このうち特にDilp3が記憶の維持に必要であることが明らかとなりました。このDilp3の発現は 老化にともなって特異的に低下することから、老化したショウジョウバエにDilp3を過剰に発現させたとこ ろ記憶が向上することが分かりました。これらのことから、若いショウジョウバエではDilp3と脂肪組織に おけるインスリンシグナルの活性化によって記憶が維持される一方で、老化したショウジョウバエでは Dilp3の発現が低下することで記憶低下が引き起こされていることが明らかになりました(図)。


研究結果の意義

 今回の結果から、インスリンシグナルの加齢に伴う変化が記憶低下の一因であることが示唆されました。 今回の研究成果は学習・記憶の仕組みの解明や加齢性記憶低下の原因解明に貢献します。また今後の研究の進展により、今回の研究成果が認知症の治療に役立つことが期待されます。
<掲載論文と著者> Age-related changes in insulin-like signaling lead to intermediate-term memory impairment in Drosophila. Cell Reports, in press. Kento Tanabe, Motoyuki Itoh and Ayako Tonoki 本研究成果は、2017年2月14日(米国時間)に国際科学誌「Cell Reports」に公開されました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/15177/160/resize/d15177-160-629047-1.jpg ]



プレスリリース提供:PR TIMES

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