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マイクロ波化学株式会社

旭化成とマイクロ波化学、マイクロ波を用いたポリアミド66のケミカルリサイクルの共同実証試験を開始

(PR TIMES) 2023年04月27日(木)15時45分配信 PR TIMES

旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:工藤 幸四郎、以下「旭化成」)およびマイクロ波化学株式会社(本社:大阪府吹田市、社長:吉野 巌、以下「マイクロ波化学」)は、本年4月、マイクロ波技術を用いて、自動車向けエアバッグ、自動車部品等に使用されるポリアミド66※1(通称PA66、またはナイロン66。旭化成商標「レオナ(TM)」※2)の製造工程で発生する端材、使用済み廃材をマイクロ波を用いて解重合※3し、直接モノマーに戻すケミカルリサイクル技術の実用化を目指した共同実証試験を開始したことをお知らせします。
[画像1: https://prtimes.jp/i/76344/24/resize/d76344-24-ee046a529358c3fbce73-0.png ]


1.背景
旭化成は、現在、化石燃料からヘキサメチレンジアミン(HMD)とアジピン酸(ADA)を製造するとともに、HMDとADAを原料として耐熱性や強度・剛性に優れたエンジニアリングプラスチックであるポリアミド66(旭化成商標「レオナ(TM)」)を製造しています。
ポリアミド66は、自動車や電子製品向けの樹脂部品、エアバッグ向けの基布などの幅広い用途において使用されており、今後も世界的な需要は増加すると予想されています。一方、カーボンニュートラルの実現に向けて、化石燃料由来の化学製品については温室効果ガス(GHG)排出量の削減という社会的な要請の高まりから、その製造方法等に対する関心が高まっています。
一方、マイクロ波化学は、対象物質を直接的かつ選択的に加熱でき、エネルギー効率が高いマイクロ波を用いたプロセス開発を軸として、産業部門のカーボンニュートラル実現に向けて技術開発と事業開発を推進しています。ケミカルリサイクルに関しては、マイクロ波による独自のプラスチック分解技術プラットフォームである“PlaWave(R)”の構築を進めています。


2.今回の概要
このような状況のもと、旭化成とマイクロ波化学は従来の製造法よりGHG排出量削減可能なポリアミド66の製造法を開発するため、旭化成の50年以上のHMDとADAの製造の実績とマイクロ波化学によるマイクロ波技術の工業化実績を合わせることでその実用化を目指しています。
2021年度から開始した実験室レベルでの検討では、マイクロ波によるポリアミド66の高収率での解重合を確認し、解重合後の分離・精製プロセスの原理確認ができました。このたび、2023年度内にマイクロ波化学の大阪事業所内にベンチ設備の作製を開始し、2024年度にベンチ設備を用いた小型実証試験を行い、実用化に向けてプロセスの基礎データを収集します。
本取り組みで用いられるマイクロ波化学が有するマイクロ波プラスチック分解技術プラットフォーム“PlaWave(R)”により、低エネルギーでポリアミド66を解重合し、モノマーであるHMDとADAを高収率で得ることができます。本技術での解重合由来のHMDとADAを用いたポリアミド66製造工程は、既存のポリアミド66製造工程よりGHG排出量削減が期待でき、さらに、マイクロ波に再生可能エネルギー由来の電気を利用することで、一層のGHG排出量削減にも貢献できます。
 本実証試験では解重合から分離・精製までを一貫プロセスとして検証することでさらなるGHG排出量削減を目指したポリアミド66の資源循環を実現することが可能となります。


[画像2: https://prtimes.jp/i/76344/24/resize/d76344-24-cbd68b511eb80cbe2a10-1.png ]


3.今後について
小型実証試験の結果をもとに詳細検討を進め、2025年度までに事業化の可能性を判断します。また小型実証試験と並行してポリアミド66のケミカルリサイクルにおいて、バリューチェーン全体を巻き込んだビジネスモデル構築を行い、ポリアミド66のバリューチェーンのステークホルダーの皆さまとともにサーキュラーエコノミーの実現を目指していきます。

旭化成は、既に発表済み※4のバイオマス原料由来のポリアミド66の実用化検討とともに、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルの実用化検討を行うことで、ポリアミド66のお客さまのカーボンニュートラルへの取り組みに応じた最適ソリューションを提供し、お客さまにとってのグローバルパートナーとなることを目指してまいります。
マイクロ波化学は、既に発表済みのPMMA(アクリル樹脂)やASR(自動車破砕残渣)、容器包装プラスチック、軟質ポリウレタンフォーム等のケミカルリサイクルの社会実装の実現を進めるために、設備の大規模化や“PlaWave(R)”のさらなる汎用化に取り組んでいます。


※1:ポリアミド66について
ポリアミドは、化学構造から主にポリアミド66とポリアミド6に分けられます。ポリアミド66はより耐熱性や強度に優れていることから、自動車や電子部品など工業部材向けに多く使用されています。
※2:旭化成の「レオナ(TM)」事業について
旭化成は、HMDとADAを原料とするポリアミド66、ポリアミド6I、ポリアミド612に加えて、ひまし油といった植物由来の原料をベースにしたポリアミド610などのエンジニアリングプラスチックを生産するメーカーであり、自動車や電子製品向けの樹脂成形材料、エアバッグ向け原糸・基布、タイヤコードなどお客さまのニーズに応じた最適な素材を提供しています。
※3:解重合について
 重合の逆反応であり、ポリマーが熱などによりモノマーに分解する反応のこと。
※4:2022/3/16発表「旭化成、バイオマス原料由来のポリアミド66の実用化検討加速へ」
https://www.asahi-kasei.com/jp/news/2021/ze220316.html

【マイクロ波について】
マイクロ波は、家庭用電子レンジや通信分野において使われている電磁波で、物質を直接、選択的に加熱できる特長を持っています。2014年にマイクロ波化学が世界で初めてマイクロ波を用いた化学プラントを建設・稼働することに成功しました。再生可能エネルギーによる電化とマイクロ波プロセスを掛け合わせることで、従来法よりGHG排出量を90%削減することが可能であり、カーボンニュートラル実現に向けて注目されている技術です。

【PlaWave(R)とは】
PlaWave(R)はマイクロ波化学が構築するマイクロ波による独自のプラスチック分解技術プラットフォームです。熱分解だけでなく加溶媒分解にも適用可能であり、反応高速化、省エネ化、設備コンパクト化を実現します。ロゴにはマイクロ波によりグリーンなサーキュラーエコノミーを実現する思いが込められています。
[画像3: https://prtimes.jp/i/76344/24/resize/d76344-24-441f777a7c39b343f0be-2.png ]



プレスリリース提供:PR TIMES

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