プレスリリース
〜データセンタにおける次世代ネットワークスイッチ装置の実現に貢献〜
● CPO向け外部光源の技術報告が11th IEEE CPMT Symposium Japan(ICSJ2022)にてBest Paper Awardを受賞
● ケース温度55°Cにおいて非冷却で100mWを超える光出力を世界で初めて実現した8チャンネルCWDM TOSAとピグテイル型QSFP ELSを同展示会で発表
● 大容量情報通信と高効率エネルギー社会の実現に貢献
古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区大手町2丁目6番4号、代表取締役社長:小林敬一)の、データセンタにおける次世代のネットワークスイッチ装置に導入されるCPO(Co-Packaged Optics)に必要とされる外部光源(ELS:External Laser Source)の技術が、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)とEPS(Electronics Packaging Society)が11月9日〜11日に京都大学で開催する11th IEEE CPMT Symposium Japan(ICSJ2022)において、Best Paper Awardに選ばれました。また、この技術を用いたピグテイル型QSFP ELSを同展示会で発表します。
■背景
クラウドサービスや5Gなどの新しい情報通信サービスの普及にともない、通信トラフィックは増大し続けています。さらなるビッグデータを処理するハイパースケールデータセンタおよびBeyond 5Gに必要とされる低遅延を実現するエッジデータセンタにおいては、使用されるネットワークスイッチ装置の大容量化と消費電力の削減が課題となっており、次世代のネットワークスイッチ装置内の電気配線の一部を光に置き換える新しい装置アーキテクチャであるCPOの導入が期待されています。CPOでは、一枚の基板の上でスイッチASICの周りに高密度にシリコンフォトニクス光トランシーバが実装されますが、光トランシーバ内部に化合物半導体であるレーザ光源があると、スイッチASICの発熱によって高温環境で駆動することになり、特性が劣化して信頼性にも影響します。そこで、環境温度が低い筐体の外部にあるフロントパネルにELSを配置して、多芯偏波保持ファイバケーブルを介して光トランシーバに光を供給します(図1)。ELSを高光出力かつ低消費電力で駆動するには、高い光結合効率を実現し、非冷却状態で温度上昇を抑制する構造的な工夫が必要とされてきました。
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図1 CPOを用いたスイッチ装置の上面概略図
■内容
当社はこの度、高出力化合物半導体レーザと光パッケージングの技術を活かした8チャンネルCWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing)TOSA(Transmitter Optical Subassembly)とTOSAを用いたピグテイル型QSFP(Quad Small-Form Factor Pluggable)ELSをICSJ2022において発表・展示します。
高光出力のSOA(Semiconductor Optical Amplifier)集積型DFB(Distributed Feedback)LD(Laser Diode)の温度上昇を抑制するTOSA構造の最適化を行いました。また、出力光を偏波保持ファイバ(PMF:Polarization Maintaining Fiber)に高い効率で結合しました。これらにより、非冷却状態で、 TOSAは高いファイバ光出力を提供でき、ケース温度55°CにおいてLDバイアス電流350mA以上で100mWを超える光出力を得ることができます(図2)。
TOSAのサイズは23.5mm × 13.0mm × 4.0mmと小さく、他の部品と共にQSFPハウジング内に収容することができます(図3)。また、放熱構造を最適化したことで、ピグテイル型QSFP ELSのハウジングの温度とTOSAのケース温度との差を0.7°Cに抑制することができました。これにより、ピグテイル型QSFP ELSにおいてもTOSAと同様の高い光出力特性を得ることができます。
当社は、CPOの導入に必要なELSの提供を通して、大容量情報通信と高効率エネルギー社会の実現に貢献してまいります。
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図2 光出力とLDバイアス電流の特性
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図3 ピグテイル型QSFP ELSの内部構造
主な性能
チャンネル数:8
動作ケース温度:0℃〜55℃
波長:4-l CWDM x 2
光出力:>100mW/channel
偏波消光比:>20 dB(Slow軸)
相対強度雑音:<-150 dB/Hz
■古河電工グループのSDGsへの取り組み
当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。
古河電工グループのSDGsへの取組み
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