• トップ
  • リリース
  • 日本製鉄 「高延性厚鋼板を用いた衝突安全性に優れた船体構造の発明」により全国発明表彰「発明賞」を受賞

プレスリリース

  • 記事画像1
  • 記事画像2
  • 記事画像3
  • 記事画像4
  • 記事画像5

日本製鉄株式会社

日本製鉄 「高延性厚鋼板を用いた衝突安全性に優れた船体構造の発明」により全国発明表彰「発明賞」を受賞

(Digital PR Platform) 2022年05月31日(火)13時26分配信 Digital PR Platform

日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)は、 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所及び今治造船株式會社と共同で、公益社団法人発明協会による令和4年度全国発明表彰において「高延性厚鋼板(日本製鉄の商品名 NSafe®-Hull を用いた衝突安全性に優れた船体構造の発明」にて「発明賞」を受賞しました。
全国発明表彰は、発明の奨励・育成を図り、我が国科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的として行われている伝統と権威のある賞です。表彰式は本年6 月30 日に、ホテルオークラ東京にて行われます。受賞した発明の概要は以下のとおりです。

1.受賞案件:「高延性厚鋼板を用いた衝突安全性に優れた船体構造の発明」

2.受賞内容
【発明賞】
 日本製鉄株式会社 人事労政部 上席主幹(東北大学 特任教授)市川 和利
 (申請時:日本製鉄株式会社 技術開発本部技術開発企画部 上席主幹)
 元 新日鐵住金株式会社 厚板技術部 稲見 彰則
 日本製鉄株式会社 技術開発本部鉄鋼研究所高靭性鋼材研究部高機能化研究室 室長 白幡 浩幸
 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所海難事故解析センター
  センター長 山田 安平
 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所構造・産業システム系
  特別研究員 戸澤 秀
 今治造船株式會社代表取締役社長 檜垣 幸人

3.本発明の背景
 1989 年にプリンスウィリアム湾で発生した原油流出 事故を契機に、タンカーからの油流出による海洋
 汚染が問題となりました。そこで、1993 年に原油タンカーの二重船殻化が義務づけられましたが、そ
 の後もタンカーからの油流出事故が発生し、また、最近の海洋環境保護に対する関心の高まりもあっ
 て、船殻幅の拡大などの構造変更による安全性の向上が検討されました。しかしながら、これらの構造
 対策は施工コスト増大、船体重量増加による輸送速度低下や、可積載荷油量の減少を招き、地球温暖化
 につながる上に、船主負担増大も招きます。そこで、船体構造変更によらない有効で経済的な代替手段
 が期待されました。

4.本発明の概要
 本発明者らは、上述のような船体構造変更ではなく、衝突による船舶の損傷を軽減する材料技術を発明
 しました。発明者らは、事故統計等も踏まえ、船舶の損傷を軽減するための鋼板の全伸びの値を定めま
 した。すなわち、本発明は船側部の外板、内板、さらにそれらに付随する補強部材に、国際船級協会連
 合の統一規格で規定された全伸びの値の1.4 倍以上の全伸びを有する高延性厚鋼板を使用した船殻構造
 であり(図1)、十分に厳しい衝突速度(12ノット)でも超大型原油タンカーの破口発生を低減する
 ことを可能としました。


[画像1]https://user.pr-automation.jp/simg/84/59378/700_376_2022053111342962957eb55a5f2.JPG

図1:衝突安全性に必要な厚鋼板の伸びの決定(超大型原油タンカーでの解析例)。従来規則値の1.3 倍ではき裂発生、1.4 倍ではき裂が発生しないことが示され、1.5 倍の伸びを持つ高延性厚鋼板NSafe®-Hullを開発

5.本発明の成果
 図2 に示すように、本発明により、船舶の衝突安全性の向上を実現しました。本発明により、船舶衝突
 に伴う人命の損失や積荷の逸失を防ぐことを可能としました。特に油漏洩による海洋生態系や漁業への
 影響を低減することは、国連のSDGs「海の豊かさを守ろう」に整合します。既に数多くの船舶に実装
 されており、2014 年には英国王立造船学会年鑑で、ユニークで特徴ある50 隻の一つとして、本発明
 による一番船が選定されました。また、世界新造船受注量の各々1、2位である中国と韓国でも本発明
 は特許登録されています。日本海事協会などで本技術に関わる認証制度が策定され、本技術を採用した
 船舶は国交省告示「先進船舶」として税制優遇されます。また、入港料減免に関わる制度にも導入され
 ています。

[画像2]https://user.pr-automation.jp/simg/84/59378/350_258_2022053111343762957ebd3d7ed.JPG
[画像3]https://user.pr-automation.jp/simg/84/59378/350_266_2022053112014162958515c2015.JPG
 (a) 従来鋼                 (b) 高延性厚鋼板NSafe®-Hull

図2:超大型原油タンカー被衝突時(12ノット)のタンクの破口状況比較(非線形有限要素法計算)

日本製鉄は、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にも合致した活動(「7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、「13.気候変動に具体的な対策を」と「14.海の豊かさを守ろう」)を通じて、これからも社会の発展に貢献していきます。

■参考情報1;国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所プレスリリース
 https://www.nmri.go.jp/news/press/press20220531.html

■参考情報2;高延性厚鋼板NSafe®-Hullに関わるその他の受賞案件
 2016年度 日本船舶海洋工学会賞表彰(発明考案等)賞
  https://www.jasnaoe.or.jp/commendation/list.html
 2018年度 第51回市村産業賞 貢献賞
  https://www.nipponsteel.com/common/secure/news/20190311_100.pdf
 2019年度 内閣総理大臣表彰 第8回ものづくり日本大賞表彰 製品・技術開発部門 九州経済産業局長賞
  https://www.nipponsteel.com/news/20191227_100.html
 2019年度 第66回大河内記念生産賞受賞
  https://www.nipponsteel.com/news/20200213_100.html
 2020年 九州地方発明表彰特許庁長官賞 
  http://koueki.jiii.or.jp/hyosho/chihatsu/R2/jusho_kyushu/detail/jpo.html
 2020年度 第3回日本オープンイノベーション大賞表彰 国土交通大臣
  https://www.nipponsteel.com/news/20210218_100.html
 2020年度 第47回岩谷直治記念賞
  https://www.nipponsteel.com/news/20210301_200.html

■参考情報3;高延性厚鋼板NSafe®-Hullに関する補足情報
 https://www.nipponsteel.com/product/plate/list/02.html
以 上

お問い合わせ先:総務部広報センター 電話03-6867-3419



[画像4]https://user.pr-automation.jp/simg/84/59378/400_60_2022053111340162957e99b83b8.JPG

[画像5]https://user.pr-automation.jp/simg/84/59378/250_31_2022053111340962957ea1e47a5.jpg




このページの先頭へ戻る