プレスリリース
長引くマスク生活による無表情化・唾液減少で口内環境リスクが増加 口腔トラブルを経験した人が71% 舌も含めたお口のメンテナンスで対策を
監修 :片平歯科クリニック 院長 片平 治人
女性の健康力向上を通した社会の活性化への貢献を目指す『ウーマンウェルネス研究会supported by Kao』(代表: 対馬ルリ子/産婦人科医)では、コロナ禍における口腔環境の変化について、首都圏在住の495人(20代〜60代男女)を対象に調査を実施しました。
調査によると、マスク着用や在宅生活が定着してきた新型コロナウイルスの感染拡大以降(2020年3月以降)、71.7%の人が口内のトラブルを経験していることが分かりました(グラフ1)。
感じている症状としては、1位「口臭(54.0%)」、2位「口の乾き(42.0%)」、3位「口内炎(39.8%)」という結果でした(グラフ2)。
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長期化するマスク生活で、63.8%の人が「マスク着用により口を動かす機会が減った」と感じていることが分かりました(グラフ3)。「ストレスを感じることが増えた(67.1%)」「人と話す機会が減った(60.2%)」「表情が乏しくなった(59.4%)」という回答も多く見られました(グラフ4)。
また、一部の人には「間食の頻度が増えた(29.7%)」、「歯医者の受診を控えている(27.5%)」など、口内環境にとってリスクとなる変化がありました。
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こうしたコロナ禍での生活習慣の変化による口内トラブルのリスクについて、片平歯科クリニック院長の片平治人先生にお話を伺いました。
◆人と会う機会の減少やマスク着用により唾液が減少しやすくなり、口臭や口内炎の原因に
日常的なマスク着用や、外出自粛・在宅勤務で人と会う機会が減ると、口元や舌を動かさなくなることで唾液分泌が減少しやすくなります。また、マスクの中では口元の筋肉が緩み、口呼吸になることで口腔乾燥につながります。唾液には口の中を清潔に保つ働きがあります。唾液が減ると、唾液の本来持っている自浄作用が損なわれ、口内の菌が繁殖しやすくなり虫歯や歯周病など口腔感染症を引き起こす一因となります。また、ストレスの蓄積も唾液減少の原因となります。今回の調査でも挙げられている口臭や口の乾き、口内炎などの症状も、唾液の減少と関係するものです。
【唾液の減少度チェック】
口呼吸や唾液減少の自覚がない方も多いため、下記の項目をチェックしてみましょう。あてはまる項目が多いほど、唾液が減少している可能性が高いといえます。
□ コーヒーや紅茶・緑茶、お酒をよく飲む
□ 起床時に口が乾いている
□ 舌の上に白い汚れ(舌苔)がたまっている
□ 口臭を感じる
□ 口内炎ができやすい
□ よく喉が渇く
◆感染症対策のためにもオーラルケアが重要
感染症対策や全身の健康のためにも、口腔ケアは重要です。最近では、口内の細菌はウイルス感染に関与することが解明されつつあるとともに、適切な口腔ケアにより、特定のウイルス性疾患(インフルエンザ)の発症率が減少するという研究結果もあり、口内菌を減らすことはウイルス感染症予防につながる可能性が考えられます*。
*奥田克爾ほか、平成15年度厚生労働省老人保健健康増進等事業, 口腔ケアによる気道感染予防教室の実施方法と有効性の評価に関する研究業務報告書,地域保健研究会,東京 (2004) https://www.kao.com/jp/hygiene-science/general/oral-care/
◆舌のケアの重要性 − 口内の細菌の6割が舌に存在
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口内には600種類以上の菌がすみついています。個人差はありますが口の中の菌の6割以上が舌に存在する人もいます。歯磨きはしっかり行っていても、舌はケアできておらず、舌苔(白い汚れ)が付着して汚れている方が多いです。この舌苔は菌のかたまりで、バイオフィルムと言われる強固な膜のような状態で貼り付いていて、通常の歯磨きやうがいだけでは落ちにくいため、舌の上の菌まで除去するお口のトータルケアをすることが望ましいでしょう。
【対策】身体のメンテナンスをするように、お口メンテナンスで対策を
1.泡ハミガキで舌も含めて口内を清潔に
舌の菌を除去しようとして、歯ブラシでゴシゴシ舌磨きをすると、舌を傷つけてしまう恐れがあります。舌ブラシなどの舌専用品でケアしましょう。泡ハミガキを使うと、舌の奥やほほの粘膜など、歯ブラシが届かない部分まできめ細かい泡が行き届き、密着して汚れを洗浄できます。
2.舌のトレーニング
長引くマスク生活でゆるみがちになった舌の筋肉を鍛えましょう。仕事や家事の合間に毎日行うのがおすすめです。
(1)正しい舌の位置を確認
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切歯乳頭(上の前歯の裏の膨らみ)に舌をつける
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正しい舌の位置(舌が上あごに密着)
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間違った舌の位置(舌が下がっている)
舌先を切歯乳頭(上の前歯の裏の膨らみ)につけたままゴクンと唾液を飲み込み、舌が上あご全体にピタッと吸盤のようにくっつくようにします。これが正しい舌の位置です。口を閉じている時はいつもこの状態を意識しましょう。
(2)タッピング
正しい舌の位置を意識しながら、上あごにしっかり舌を密着させたまま口を大きく開けて舌の裏のスジ(舌小帯)を十分に伸ばします。そのまま5秒ほどキープしてから、「ポン」という音がなるように勢いよく舌を離しましょう。
唾液の分泌を促すマッサージ
耳の下にある「耳下腺(じかせん)」、あごの内側にある「顎下腺(がっかせん)」、あごの下にある「舌下腺(ぜっかせん)」の3つの唾液腺をやさしくマッサージすることで、唾液の分泌が促されます。
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監修:片平歯科クリニック 院長 片平 治人(かたひら はると)
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鶴見大学歯学部を卒業後、東京医科歯科大学歯学部付属病院での臨床研修を経て、1997年に片平歯科クリニックを開業。2003年に医療法人社団康治会設立、2017年昭和大学大学院医学研究科修了(博士(医学))。
<クリニックのコンセプト>
心身の健康の基本である「美しい口元」「美味しく噛む」「快適な睡眠」の実現に向けたトータルケアを目指し、日々の診療にあたっています。「生まれもったお口の機能の大切さ」を尊重し、当院の歯科医師、歯科衛生士がTeamで患者さん一人ひとりの口腔内環境とライフステージに応じた最適な歯科治療および予防処置を提供しています。
<意識調査概要>
調査方法:インターネット調査
期間:2021年9月3日〜9月10日
対象:首都圏の20歳〜69歳の男女495名
内容:コロナ禍における口腔環境の変化に関する調査
●ウーマンウェルネス研究会supported by Kaoとは
『ウーマンウェルネス研究会supported by Kao』は、現代女性のライフステージごとに異なる様々な心身の不調を解消し、女性が健康で豊かな生活を送り充実した人生を実現することを願って、医師や専門家、企業が集い2014年9月1日に発足いたしました。女性のウェルネス実現のために、公式サイト「ウェルラボ」(http://www.well-lab.jp/
)やイベントなどを通じて、女性が知っておきたい健康の基礎知識や不調への対応策など、心身の健康に役立つ情報を発信します。
●ウーマンウェルネス研究会の概要
・発足日: 2014年9月1日
・医師・専門家(50音順)(敬称略)
対馬 ルリ子 (産婦人科医、対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座院長)
小島 美和子 (管理栄養士、有限会社クオリティライフサービス 代表取締役)
川嶋 朗(統合医療医、東京有明医療大学 保健医療学部鍼灸学科 教授)
中村 格子 (整形外科医、スポーツドクター、医療法人社団BODHI理事長)
福田 千晶 (産業医、内科医・リハビリ医、人間ドック専門医、健康科学アドバイザー)
渡邉 賀子 (漢方専門医、麻布ミューズクリニック名誉院長)
・協賛:花王株式会社、パナソニック株式会社 (あいうえお順)
・Webサイト: 『ウェルラボ』:http://www.well-lab.jp/
(2014年9月11日OPEN)
本件に関するお問合わせ先
ウーマンウェルネス研究会 事務局
Email:info@well-lab.jp TEL:03-4570-3167
関連リンク
ウェルラボ
http://www.well-lab.jp/