• トップ
  • リリース
  • 健康科学大学理学療法学科の村松憲准教授らが糖尿病性神経障害による転倒リスク上昇のメカニズムの一部を解明 -- 糖尿病性神経障害の新たな治療対象の存在を示す

プレスリリース

健康科学大学理学療法学科の村松憲准教授らが糖尿病性神経障害による転倒リスク上昇のメカニズムの一部を解明 -- 糖尿病性神経障害の新たな治療対象の存在を示す

(Digital PR Platform) 2016年11月28日(月)08時05分配信 Digital PR Platform

健康科学大学理学療法学科の村松憲准教授らは、糖尿病を発症したラットを対象に研究を行い、糖尿病性神経障害によってバランス機能などに深く関わるセンサーである筋紡錘が壊れてしまうことを発見した。本発見は、糖尿病患者で観察されるバランス障害の発症メカニズムの一部を説明し得るものであるのと同時に、発見に基づいた治療戦略の構築など、今後の臨床応用が期待される。なお、本研究は神経科学専門誌『Neuroscience Research』オンライン版(2016年11月5日)に掲載された。


 糖尿病患者は健常者に比べてバランス機能が低く、特に、糖尿病患者の30%〜50%が発症する糖尿病性神経障害を発症した患者の転倒リスクは健常者の数倍に達することが知られている。糖尿病患者の骨折のリスクは健常者の2倍に達するため、転倒による骨折も多く、寝たきりなどを予防する観点からも糖尿病によるバランス障害の予防は大変重要な問題である。しかし、糖尿病患者におけるバランス障害のメカニズムはほとんど明らかにされていなかった。

 村松憲准教授を代表とする研究グループは糖尿病によるバランス障害のメカニズムを明らかにすることを目的に研究を行っており、2012年には糖尿病の発症によってγ(ガンマ)運動ニューロンが減少することを明らかにした。
 今回の研究で注目したのは、γ運動ニューロンによって支配される「筋紡錘」という感覚受容器(センサー)である。「筋紡錘」は筋の内部に存在する筋の長さセンサーで、バランスを崩すなどして筋が伸ばされると筋を元の長さに戻す脊髄反射(伸張反射)を生じさせて姿勢を維持しようとする機能があり、バランス維持に極めて重要な役割を演じるセンサーであるといえる。また、筋紡錘を支配するγ運動ニューロンは筋紡錘のセンサー機能のオン、オフを行うスイッチとして機能している。このように、γ運動ニューロンと筋紡錘は密接な関係にあるが、糖尿病によるγ運動ニューロンの消失が筋紡錘にどのような影響を与えるのかという点については不明だった。

 本研究で村松准教授らは、糖尿病神経障害が四肢の末端に強く出現する特徴を利用して、糖尿病を発症させたラットを対象に、神経障害の影響を受けにくい「太ももの筋肉」と神経障害の影響を受けやすい「ふくらはぎの筋肉」を支配するγ運動ニューロンと筋紡錘に生じる変化について調べた。
 その結果、糖尿病によるγ運動ニューロン消失は四肢の末端(ふくらはぎ)のみに生じ、同部位の筋紡錘はγ運動ニューロンによる支配を受ける錘内筋線維(スイッチのオン・オフを行う部分)が完全に変性し、筋紡錘の総数も減少していることが分かった。一方、同じ糖尿病ラットでもγ運動ニューロンが傷つかない太ももの筋紡錘には異常が認められなかった。
 以上のデータは、糖尿病によって四肢末端部の筋紡錘を支配するγ運動ニューロンが消失し、それが引き金となって、バランス機能などを保つために重要なセンサーである筋紡錘が減少・変性してしまうことを示すものであり、糖尿病患者のバランス障害のメカニズムの一部を説明し得るものである。
 今後、これらの新知見に基づいた臨床研究を実行・発展させていくことによって、γ運動ニューロンおよび筋紡錘の障害を予防するリハビリテーション・治療法の開発などが期待される。

■今回の発見のポイント
1.糖尿病を発症したラットの四肢末端の筋内の筋紡錘が変性・減少することを発見
2.筋紡錘の変性は四肢末端を支配するγ運動ニューロンの減少に関連することを明らかにした

■社会的意義
1.糖尿病性神経障害による転倒リスク上昇などのメカニズムの一部を解明
 本研究はこれまで詳細が不明であった、糖尿病神経障害患者の転倒リスク上昇のメカニズムの一部を明らかにするもので、糖尿病の合併症への理解を深めるものである。
2.糖尿病性神経障害の新たな治療対象を示す
 本研究はγ運動ニューロン消失に関連した未知の合併症の存在を示し、これに対する投薬、運動療法などの各種治療法開発の必要性を示すものである。また、運動神経障害の治療や予防を目的とした各種リハビリテーションの開発を加速させる。

【論文情報】
 Effect of streptozotocin-induced diabetes on motoneurons and muscle spindles in rats
 Ken Muramatsu, Masatoshi Niwa, Toru Tamaki, Masako Ikutomo, Yujiro Masu, Tatsuya Hasegawa, Satoshi Shimo, Sei-Ichi Sasaki
 Neuroscience Researchオンライン版 2016年11月5日掲載
 ・参考URL: http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168010216302309

【研究チーム】
・代表: 村松憲(健康科学大学 理学療法学科 准教授)
・共同研究者(論文掲載順):
 丹羽正利(杏林大学)、玉木徹(健康科学大学)、生友聖子(健康科学大学)、升佑二郎(健康科学大学)、長谷川達也(富士山科学研究所)、志茂聡(健康科学大学)、佐々木誠一(茨城県立医療大学)

▼本件に関する問い合わせ先
<研究について>
 健康科学大学 健康科学部 理学療法学科
 准教授 村松 憲(むらまつ けん)
 TEL: 0555-83-5284(直通)
 E-mail: k.muramatsu@kenkoudai.ac.jp
<広報に関すること>
 健康科学大学 事務局 村松
 TEL: 0555-83-5240
 FAX: 0555-83-5100
 E-mail: kouhou@kenkoudai.ac.jp

【リリース発信元】 大学プレスセンター http://www.u-presscenter.jp/

推奨環境(ブラウザーのバージョン)
Microsoft Internet Explorer 6.0以降、Mozilla Firefox 2.0以降、Apple Safari 3.1以降
「スケジュール調整機能」は、Internet Explorer 6.0以降でのみ動作します。
環境依存文字については、正しくご利用いただけない場合がございます。

このページの先頭へ戻る