プレスリリース
【矢野経済研究所プレスリリース】ホテル・旅館のSDGsに関する法人アンケート・市場調査を実施(2021年)〜ホテル・旅館を運営する企業の9割がSDGsの取組みの必要性を感じる〜
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、ホテル・旅館におけるSDGsに関する動向についての法人アンケートおよび市場調査を実施し、国内および外資系ホテル企業のSDGs関連の取組み、今後の展望を明らかにいたしました。
1.調査結果概要
本調査では、2021年9月に国内のホテル・旅館を運営する企業に対して、SDGsに関する動向について郵送アンケート調査を実施し、184施設から回答を得た。また、ホテル・旅館運営企業への直接面談調査も実施した。
まず、「SGDsに取り組むべきか」については、「思う(55.0%)」と「やや思う(35.6%)」との回答があり、約9割の企業が「宿泊事業者はSDGsに取り組む必要がある」と考えていることが明らかになった。多くの企業が昨今の環境問題などに課題意識を持ち、”社会的責任” としてSDGsへの取組みの必要性を感じている。
次に、「SDGsに取り組んでいるか」については、「取り組んでいる(13.3%)」と「やや取り組んでいる(25.0%)」との回答があり、現時点でSDGsに取り組んでいるホテル・旅館は38.3%であった。一方で、「取り組んでいない」と「あまり取り組んでいない」を合算すると32.8%であった。
直接面談調査でも、気象変動への危機意識やSGDsへの社会的要請を感じている事業者が多く、取組みの拡大・強化を進めている。調査対象の宿泊事業者の中には、「SDGsに取り組まなければ今後生き残るのは難しい」と考える企業も少なくない。
これらの結果から、多くのホテル・旅館が「宿泊事業者はSDGsに取り組むべき」と感じている一方で、現状取り組んでいる企業が4割弱に留まっている背景には、SDGsに取り組むためのノウハウ不足等があると考える。また、新型コロナウイルス感染拡大による経営環境の悪化や衛生面との兼ね合いも、自社でSDGsを推進するうえでジレンマとなっている。
また、検討中と回答した企業も3割弱あり、気候変動対策が重要課題とされ、2022年4月には「プラスチック資源循環促進法」が施行されるなど国の施策も進められているなかで、今後、SDGsに取り組む企業が拡大する可能性もある。
2.注目トピック〜SDGsの17目標のうち、ホテル・旅館が最も選択しているのは「目標11:住み続けられるまちづくりを」と「目標12:つくる責任 つかう責任」
SDGsの17の目標の中で選択した目標については、ホテル・旅館を運営する企業に最も選ばれている目標は「目標11:住み続けられるまちづくりを(58.5%)」と「目標12:つくる責任 つかう責任(58.5%)」で、6割弱の企業が選択している。他の産業でも選択されていることが多い「目標8:働きがいも 経済成長も」も57.5%となっている。
また、宿泊施設の立地が自然の多い内陸エリアであれば「目標15:陸の豊かさも守ろう(44.3%)」、海岸エリアなら「目標14:海の豊かさを守ろう(36.8%)」が選択されやすい。一方、「目標2:飢餓をゼロに(10.4%)」や「目標1:貧困をなくそう(11.3%)」、「目標6:安全な水とトイレを世界中に(11.3%)」は選択されにくく、これらの目標はSDGsに積極的に取り組んでいるホテル・旅館でも選択されていることは少ない。その他、「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう(19.8%)」も約2割と比較的低いが、地域が持続可能な観光を推進するに当たって宿泊施設が担う役割は小さくなく、地域の観光事業者や地方自治体等との連携体制の強化が今後期待される。
SDGsの17の目標では、ホテル・旅館を運営する企業の目標として設定しやすい目標とそうでない目標があり、基本的には事業を通じてSDGsの達成を目指すため、ホテル・旅館を運営する上で重要な ”地域” に関することが目標とされることが多いことがわかる結果となった。
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調査要綱
1.調査期間: 2021年7月〜11月
2.調査対象: 国内のホテル・旅館企業、外資系ホテル企業
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによる取材、郵送アンケート調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2021年11月30日
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