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プレスリリース

株式会社矢野経済研究所

【矢野経済研究所プレスリリース】次世代モビリティ市場に関する調査を実施(2021年)2030年の次世代モビリティ(電動トライク、電動ミニカー、超小型モビリティ)の国内販売台数を10万2,700台と予測

(DreamNews) 2021年10月14日(木)13時00分配信 DreamNews

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、次世代モビリティ市場の調査を実施し、国内市場概況、海外類似市場の概況、主要参入メーカーの事業戦略を明らかにいたしました。ここでは、2030年までの次世代モビリティの国内販売台数予測を公表いたします。

1.市場概況

エネルギー消費に大きく依存する従来型の経済発展を捨て、経済発展と環境保全のデ・カップリングを目指す動きは、VUCA(Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性))と呼ばれる時代においても確かな方針として世界中で広がっていく。その中で自動車メーカには、慈善活動や寄付によるCSR(企業の社会的責任)とは別に、企業が本業で社会的課題の解決を目指すCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)の流れが加速する。特に交通渋滞、物流課題、公共交通空白地域の解消といった諸問題において、小型で小回りが利く次世代モビリティの果たせる役割は大きい。一方で、軽自動車やオートバイなど既存のモビリティに対して、コストや商品性で十分な優位性を示せていない次世代モビリティには乗り越えなくてはならない課題も山積している。

日本では、軽自動車の一種の区分として2020年より販売が開始された「超小型モビリティ」を中心に市場の拡大が見込める。欧州では、これまで年間販売数4〜5万台のニッチ市場であったQuadricycle(四輪車)市場にSEATやCitroenが相次いで参入、Renaultも新モデルを発表するなど市場に熱い視線が注がれている。反対に、これまで好調であった中国のLSEV(Low Speed Electric Vehicle)は、増加する重大事故を理由に安全基準が強化され、また企業の新規参入が大幅に制限された事に加え、「宏光MINI」に代表される微型EV(A00セグメント)の市場急拡大でこれまでと市場環境が一変している。

2.注目トピック〜国内における次世代モビリティの課題

現状の次世代モビリティは「機能は二輪車に近いが、価格は軽自動車並み」という車両であり、独自のメリットも少ないことから普及に向けた課題が多いといえる。トライクやミニカーは、税制面などでランニングコスト低減に繋がる一定のメリットがあるが、軽自動車の枠組みである超小型モビリティではその効果が薄い。

税金や車検はランニングコスト低減において重要な要素となる。超小型モビリティの自動車税は、少なくともミニカーと軽自動車の中間程度に落ち着かなければユーザへ「お得感」は与えられないが、実際は軽自動車と同じ金額となった。また、車検についても軽自動車と同等とみられ、ミニカーの優位性を際立たせる結果となっている。車庫証明については、軽自動車の区分となることから必要となるが、専有面積で考慮すると同等サイズであるミニカーには不要で、超小型モビリティには必要となるのは違和感がある。本件については認定制度下でも問題となっており、内閣府地方創生推進室が主導する国家戦略特区に関する提案(2017年10月)でも議題に上がっている。警察庁からの回答としては、軽自動車に該当する車両を除外することは困難であるが、保管場所の大きさは自動車の全体を収容することができれば十分としている。

任意保険についても「お得感」が争点となる。自動車保険ではファミリーバイク特約によって排気量125cc以下、あるいはモータ定格出力1.0kW以下のピンクのナンバープレートを装着した車両は第二種原動機付自転車と指定され、ファミリーバイク特約が適合される。現状では50ccのミニカーは対象となっているが、超小型モビリティはその範囲にない。基準緩和などによって超小型モビリティが特約の対象となれば、ユーザの購入意欲も増すであろう。次世代モビリティの特徴である「小型」であることは、物理的な制約が多い路上駐車で強みを発揮することが期待されるが、フリーフロート型カーシェアでは、路上駐車の緩和以外に、一般道路の両端部分を駐車帯にするなどのスペースの構築が必要なほか、ステーションがないことによる車両の分散を考えた際に、利用可能な車両をすぐに提供できるだけの豊富な車両台数なども条件として必要となる。これらの条件を考慮すると、本当にラストワンマイル(1.6km)の近距離移動であれば電動キックボードのようなマイクロモビリティで必要十分となる可能性は高い。

3.将来展望

次世代モビリティはそのコンセプトから、既存のモビリティに対してハード面で優位性を出すものではなく、各種社会課題への解決ツール、最低限の使用用途を満たした上での経済性の確立という軸で評価しなければならない。個人向けではユーザーがそこを理解し、低価格化が実現するためには一定の期間を要するものと考えられる。

一方、近年加熱するカーボンニュートラルの推進などから、国庫補助金等の公的資金を財源に政府や自治体の公用車、CSR実現のための営業車や配送車など業務用途でまずは市場を獲得していくのが、2030年までの成長シナリオになる見通しである。
次世代モビリティ各々の現状と成長シナリオを予測し、主な競合となる軽乗用、軽貨物車両に対してどの程度の市場を奪えるかという基準で、次世代モビリティ(電動トライク、電動ミニカー、超小型モビリティ)の国内販売台数は2030年にはAggressive予測で102,700台、Conservative予測で31,030台になると予測する。

※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2811

調査要綱
1.調査期間: 2021年7月〜9月
2.調査対象: 次世代モビリティメーカ、次世代モビリティ関連サービス事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話取材、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2021年09月30日

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株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
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