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国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター

全国抗菌薬販売量2022年調査データ 2023年3月6日公開

(@Press) 2023年03月06日(月)11時00分配信 @Press

AMR臨床リファレンスセンターは、「全国抗菌薬販売量2022年調査データ」を2023年3月6日に公開します。
薬剤耐性が世界的な問題として取り上げられ、わが国でも2016年に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」が策定されてから7年が経ちました。「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」に基づき様々な取り組みがなされていますが、その中で抗菌薬の使用量のサーベイランスを継続的に実施することが求められています。今回はあらたに2022年までの全国抗菌薬販売量データを公開いたします。

全国抗菌薬販売量サーベイランス:
https://amrcrc.ncgm.go.jp/surveillance/020/20190902163931.html


◆今回発表のデータについて
2022年の販売量に基づく人口1,000人・1日あたり抗菌薬使用量(DID)は10.22DIDであり、2013年(14.91)比で約31.5%減少しました。2021年と比べると、全体で0.1%の増加が見られますが、ほぼ横ばいと言えます。抗菌薬の種類別にみると、2013年と比べて広域抗菌薬である内服セファロスポリン系薬は47.3%、内服マクロライド系薬は45.1%、内服フルオロキノロン系薬は46.4%減少しています。また、狭域抗菌薬であるペニシリンの割合が増加傾向を維持しています。適正使用の指標の一つであるAWaRe分類別にみると、2013年から2022年でAccess比が約13.0%から27.0%へ増加、Watch比が約85.6%から71.8%へ減少し、これらのデータからは抗菌薬の適正使用が進んでいると考えられます。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/347974/img_347974_1.jpg
図1

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/347974/LL_img_347974_2.jpg
図2

注1) 本データは、抗菌薬販売量に基づいており、実際の医療現場での抗菌薬の使用実績をそのまま示すものではありません。また、データソースが異なるため、匿名レセプト情報・匿名特定健診等情報データベース(NDB)に基づいた抗菌薬使用量サーベイランス( http://amrcrc.ncgm.go.jp/surveillance/010/20181128172333.html )とは数値が異なります。

注2) 数値は人口や抗菌薬ごとの使用量の差を補正するため、抗菌薬販売量を1,000住人・1日あたりのDefined Daily Dose(WHOによって定められたその抗菌薬が通常1日に使用される量の目安=DDD)で表したもの(DDDs per 1,000 inhabitants per day=DID)です。

注3) DDDは2023年1月に更新されましたが、過去との比較のため2017年1月時点のものを使用して計算しています。

注4) 人口は、総務省統計局の各年10月1日確定人口推計値を利用しています。2022年のみ、8月1日確定人口推計値を利用しており、今後更新予定です。

注5) WHOのATC分類でJ01に分類されている薬剤のみを抗菌薬と定義して集計しています。

注6) AWaRe分類は、WHOが抗菌薬適正使用の指標として推奨している抗菌薬の分類です。
Access :一般的な感染症の第一選択薬、
または第二選択薬として用いられる抗菌薬です。
耐性化の懸念が少なく、すべての国が高品質かつ手頃な価格で、
広く利用できるようにすべき抗菌薬です。
Watch :耐性化が懸念されるため、限られた疾患や適応にのみ
使用すべき抗菌薬です。
Reserve :他の手段が使用できなくなった時に
最後の手段として使用すべき抗菌薬です。
Not Recommended:WHOで臨床上の使用を非推奨としている抗菌薬です。
WHOは全抗菌薬に占める“Access”の割合を60%以上にすることを目標としています。


◆結果の総括
AMR対策アクションプラン2016-2020では、成果指標として、人口1,000人あたりの一日抗菌薬使用量(DID)を2013年の水準の3分の2に減少させること、経口セファロスポリン系薬、フルオロキノロン系薬、マクロライド系薬は50%削減することが挙げられていました。
アクションプラン策定後より抗菌薬使用量は徐々に減少しています。特に2020年以降はCOVID-19への感染対策が徹底して広く行われた結果、急性気道感染症の罹患が減り、診療所を受診する患者が減少したことも抗菌薬の使用量減少に影響していると考えられます。2022年も2020・2021年とほぼ変わらない抗菌薬販売量となりました。COVID-19の流行が引き続き影響しているものと考えられます。
今回、2021年と比べて抗菌薬全体とフルオロキノロン系抗菌薬の販売量の僅かな増加が見られました。この増加の原因の具体的な要素を探り、今後の抗菌薬適正使用推進に活かしていくのが今回の調査の課題と考えます。

プレスリリース提供元:@Press

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