――FASSとはどのような検定なのか教えてください。

庄司 Finance & Accounting Skill Standardの略でFASS。経済産業省が公表した「経理・財務サービススキルスタンダード」をもとに開発された検定で、日本CFO協会が運営しています。経理・財務部門の日常業務で求められる「実務スキル」をどれだけ持っているかを測定する検定で、「経理パーソンのための検定」ともいわれています。

――経理系の資格では、日商簿記が有名ですよね。

庄司 日商簿記は、経理のベースになる帳簿会計を学ぶものです。経理業務に必要な知識ではあるのですが、実際の経理業務は簿記以外のさまざまな要素から成り立っているので、たとえば日商簿記2級を持っているからといって、経理の実務すべてがわかるわけではありません。ちょうど、調理師免許を持っているからといって繁盛するレストランが経営できるわけではないことと同じですね。

――FASSは、その日商簿記と、どう違っているんですか?

庄司 FASSは、経理・財務の「実務スキルを測る」ことを目的に開発された資格検定で、そこが日商簿記と大きく違うところです。出題範囲は、「資産」「決算」「税務」「資金」の4分野に渡っています。このうち、日商簿記の知識でカバーできるのは「資産」や「決算」の中でも一部に限られます。

「FASS」の講座が実施されているTAC八重洲校

検定結果の評価方法も違っています。日商簿記は3級、2級、1級の試験形式ですが、FASSには合格・不合格という概念はありません。TOEICのようにスコアが出て、スコアによってA~Eにレベル分けされます。試験日も、日商簿記は年に3回ですが、FASSは3日前までに予約すれば、好きな日に受けられます。ただし1度検定を受けたら、半年は受けられません。

――実務スキルを測る試験内容とは、具体的にはどういうものですか?

庄司 そうですね、一例として売掛金についてお話しすると、簿記では、「回収できなかった売掛金は、貸倒として損金計上しましょう」という帳簿学習をするだけです。

だけど、実際の会社では、簡単に損金を出さないために、さまざまな対策を講じます。FASSでは、実務の流れに沿って、まず取引先の信用調査の方法、それに応じた売掛金の限度額設定や担保設定から学び、請求書の発行、再請求、回収できない場合の対処法まで、売掛金を取り巻く経理フロー全般が出題範囲になります。これは、簿記では学べないことです。

――なるほど、まさに実務に通じる内容ですね。

庄司 だから、簿記2級がFASSではどのレベルに当たるとか、そういった対比はできないんです。会社を巡る「お金の流れ」が全体的にわかっていないと、高いスコアは狙えません。