1. “お友だち紹介キャンペーン”は、適正な取得を定める法17条に違反する。


2. “お友だち紹介キャンペーン”は、お友だち本人の同意なくDMを発信するのは法律違反となる。


3. “お友だち紹介キャンペーン”は、適法である。


【答え】


1. ×

2. ×

3. ○


【解説】

 

個人情報保護法第17条は、「個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない」と定めています。

商品を購入した本人から友人を紹介してもらって、その友人の個人情報を取得し、DM等販売促進活動に利用する、いわゆる「お友だち紹介キャンペーン」は、そもそも適正な取得となるのか、偽りその他不正の手段により個人情報を取得することになるのかが問題となります。


1. 個人情報取扱事業者が、紹介されたお友だちの個人情報を何に使うか偽ったり、本人とお友だち双方に図書券や割引券を与えるなどと騙したり、十分な判断能力を有していない子どもを利用したりして、第三者の個人情報を取得する場合には、個人情報保護法第17条違反が問われますが、個人情報を不正に取得しない限り、原則として“お友だち紹介キャンペーン”は、適正な取得を定める法17条に違反することはありません。


なお、不正の競争の目的で,秘密として管理されている事業上有用な個人情報で公然と知られていないものを、詐欺等により取得したり、使用・開示した者には不正競争防止法(平成5年法律第47号)第21条により刑事罰(5年以下の懲役又は500万円以下の罰金)が科されることがあります。


2. 個人情報の取得には、原則として本人の同意は不要です(法18条参照)。いわゆる「お友だち紹介キャンペーン」のケースは、直接書面取得(法18条2項)ではありませんので、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかにその利用目的を本人に通知し、又は公表しなければなりません(法18条1項)。このように本人同意は不要ですが、利用目的のホームページ上への公表といった手続きを忘れると18条違反が問われますので注意が必要です。


ということで、一般に“お友だち紹介キャンペーン”は、適法に行うことができます。

ただし、紹介頂いたお友だちにとっては、いきなりDMが送りつけられてくるわけですから、非常に迷惑だと不愉快になるおそれがあるのも事実です。適法であるが迷惑であるということはありますので、その点の配慮は十分に考えて販売促進活動を行う必要があります。


【監修者】
鈴木 正朝(すずき・まさとも)


新潟大学法科大学院 教授
1962年4月生まれ。
中央大学大学院法学研究科博士前期課程修了 修士(法学)、情報セキュリティ大学院大学博士後期課程修了 博士(情報学)。専門は情報法。
ニフティ(株)を経て、現職。この間,山口大学,京都女子大学等の非常勤講師、(独)メディア教育開発センター客員教授を兼任。学外活動として、情報ネットワーク法学会理事、経済産業分野個人情報保護ガイドラインやJISQ15001の作成やプライバシーマーク制度の創設にかかわる。
主著は『個人情報保護法とコンプライアンス・プログラム』(商事法務)岡村久道弁護士との共著『これだけは知っておきたい個人情報保護』(日本経済新聞社)は、 2005年のベストセラーとなる。その他著書論文多数。

ホームページ:http://www.rompal.com/

鈴木氏執筆の過去掲載コラムはこちら
『どんと来い、個人情報保護法』


[イラスト]

加藤 豪(かとう ごう)

大阪府出身。ユーモアを含んだ勢いとコントラストの強いカラーのイラスト、人の心理をテーマにしたちょっとシュールな4コマ漫画、短編等を制作しています。

■ホームページ : http://www.occn.zaq.ne.jp/kato5/